21年の時をこえて、今を生きる。

今日あったことを、昔を振り返りながら綴っておきたいと思う。
こちらは36歳独身男性。浮いた話が一切ないタイプ、重度のshyboyだということは前提条件としてご確認いただきたい。私と会ったことのある皆様なら分かるであろう。
話は小学校まで遡る。それはそう。女性との関わりなんてそこまで戻らないと出てこないからである。

この先何度も言うが、女の子の名前なんて直接呼べないくらいのshyboyだった。そんな私にA小学校の担任は「まっちくん」というニックネームをくれた。担任が呼び始めたそれは、瞬く間にクラスに広がり、みんなが「まっち」「まっちくん」と呼び始めた。5年のクラス替えを経ることで、A小学校の同学年みんながそう呼ぶようになった。

ABCD4つの小学校が混ざる中学校に入学。私は一目見たら覚えるようなタイプの顔でもあり、そこに「まっち」という愛称とともに、最初の定期テストで3位を取ったり、なぜか1年で生徒会長に立候補させられたり、合唱で伴奏をしたりなど目立つ場所に登場する機会が多かったことにより、shyboyの私がどんどん認知されていった。喋ったことのない人からも初対面で「まっちくん」と呼ばれていたくらいなのである。それは、当時接点がなかった人と今久しぶりに会っても「あ、まっちくんだよね?」という有様。でもこれは卒業後に感じたこと。中学生の自分は何も考えず学校生活を送っていた。
かくいう私も2年生の時点で180人以上の同級生の名前、出身小学校、部活、1年生の時のクラスが全部頭に入ってたので、私も全員を知っている状態である。とはいえそこはshyboy。女子を80人知ってても、会話したことのある人は半分以下。ましてや、部活もクラスも出身小学校も違う人と話すなんて、当時の私には緊張でしかなかった。前置きはこのくらいでいいだろう。

年が明けてそろそろ中2も終わる春休み、私はあることに気づいた。教室以外で私を見つけると、「あ、まっちくんだぁ」と、こちらに大きく手を振るクラスメイトがいることに。明るくて笑顔がよく似合うソフトテニス部の女の子Rである。春休みの部活、休憩時間が重なったり、部活の行き帰りの時など、こちらに向けて笑顔を振りまいていた。特になんとも思ってなかった子なのだが(というよりまだそういう感情がなかった)、この勘違いから、だんだんと片想いがはじまっていく。
中3、5月の校内陸上大会。なぜか3000m走に出た剣道部の私が、ぶっちぎりで最下位を演出したこの日。担任は午前中出張。お昼時に帰ってきた担任は、クラス全員にミスタードーナツを買ってきた。クラス37名は数あるドーナツから1個ずつ選んでいった。その子がいつとったのかは分からない。私はshyboyなので、言わずもがな一番最後に残ったドーナツをとった。すると、
R「あー、まっちくんのおいしそうだなー、交換しよ☆」
私「ぇ…いいけど。」 
R「やったぁ☆」
ということで、私はその子とドーナツを交換したのである。
この時点で、私はその子に好意があったので内心ニヤニヤしていたのだが、ふとここで気づく。(あれ…??俺ドーナツとったの最後なのに…)
その後、初恋という名の片想いが続くこととなった。
しかし、まっちは片想いを両想いにしようなどということは考えていなかった。それがどういうことなのか全然分かっていないほど純粋だったからである。


中3秋。最後の学校祭、球技大会と怒涛のように学校行事が進んでいった。学校祭の合唱コンクールでは3年連続での優秀伴奏者賞を頂いた。球技大会は男女混合のバスケに出場し、我がクラスはバスケ部が女子1人しかいないというハンデながら、私のまさかの3ポイントなどもあり奇跡の1勝。校内の実力テストでも初の1位。精神的にもノってる状態で日々を過ごしていた。
そんな11月半ばのある日。その日は学校から塾直行だったので、いつもと違うB小学校方面へ向かった。塾についたはいいが、教室の中は子どもたちで満席で、教室の外で席が空くのを待っていた。すると、目の前の道路を、クラスメイトと友達M(どちらも女子)が通り過ぎた。と思ったら、いきなり俺の前に現れたのである。
クラスメイト「あのね、Mちゃんが、まっちくんと仲良くしたいんだって!」
私「ぇ・・・?」
びっくりした。何これ。Mさんとは多分一度も話したことがない。ただ、上のRちゃんと同じソフトテニス部の部長で、Rちゃんが手を振っているときによく近くにいた子だ。俺が3ポイントを決めた試合で戦っていた相手チームの子でもある。かわいらしい子で男子に人気があり、ありえないような萌え声の持ち主らしいのだが、あまり声を聞いたこともなかった。そんな子が私に??
その後、クラスメイト「はい!握手して握手!!」
と、私とMさんに握手までさせたのである。こっちは恥ずかしがり、あっちも恥ずかしがっているようにみえた。超緊張した記憶がある。舞いあがった。私はその日から、よくわからない気持ちになっていた。こんなことがあったことは当時もちろん誰にも言わなかった。私はもしかして好きになってるのだろうのか。誰が好きなのか。好きって何なのか。
この日から卒業まで、よくわからない片想いみたいなものが続いた。といっても、この出来事以降もほとんどしゃべる機会もなく。高校に入ったMさんと電車で会ったが、スルーされたのは言うまでもない。あの出来事の後、積極的に行っていたら、もう少し仲良くなっていたのか。いやいやshyboyには無理。真実はなんだったのか、そのクラスメイトに5,6年くらいしてから聞いたことがあるのだが、クラスメイトすらもそんな記憶はないという。
今思えばあの時期が私の最大のモテ期であり、未来永劫二度とないモテ期だったんだろう、勘違いながらもそう思っていた。


私は大学を卒業し、小学校教師となった。

中学卒業から13年ほど経った、8年ほど前だろうか。既出のクラスメイトが、私の男友達と結婚することになり結婚式に参加した。そこで久しぶりにMさんの姿を見た。相変わらずかわいらしいその姿に目を奪われつつも、当然2次会まで話もせずに終わるくらいの相変わらずのshyboy。この時点でMさんは結婚していて、看護師をしているという話だけは他の友達から聞いていた。あくまでも他の友達から。


この3月、私は異動となり、地元へ戻ることとなった。この職の経験によって、shyboyなりにほんの少しだけ人と話せるようになってきた(子どもの前では余裕だが)。教師生活14年、我ながら少しは力をつけて、いよいよ地元凱旋。名簿を確認すると、どうやら知り合いの先生はいないようだ。
異動2日前の3月30日、B小学校出身で中2、3年と私とクラスメイトだった女友達から突然電話がかかってきた。ちなみにこのクラスメイトは私と電話をした上で「まっちが喋れるようになってた」と素敵な感想を述べてくれた。その電話の内容は、「まっち、久しぶり。今度〇〇小に行くでしょ。そこね、同級生いるよ。誰かは教えないけど」「その子はまっちのこと知ってるけど、まっちはその子を知ってるかどうか分からない」。私の記憶をなめとんのかと思いつつ推理をめぐらせる。おそらく私と同じクラスになったことがなく、その友達と仲がいいことを考えるとB小学校出身ということになるだろう。さらに「明るい子」という情報を組み合わせると、それほど選択肢は多くない。しかし、これといった答えが導き出せないまま、当日を迎えた。

新任地に到着した私は、外で1人の女性とすれ違った。その瞬間。
「あー!」
反応からしておそらくこの子だ。しかし中学卒業から21年。しかもマスク。この子は誰だろう。
「わたし、Mです。」
目の前に現れたのは、後述のMさんだったのである。
ちょっと待って。あなたはB小学校でその子と仲はいいだろうが、看護師だからと選択肢から真っ先に除外していた。
どうやらMさんは看護師から転身して養護教諭になったらしい。
ってか、ええええええええええええ!!!!私とMさん、一緒に働くの!!?

Mさんは既に、私がピアノが弾けて同級生であることを職場で話してくれたらしい。それだけでも光栄なことだが、お昼ご飯を食べながら当時のことをいろいろと話してくれた。マスクを外したその姿は36歳という年齢を感じさせないかわいらしさ。声も私の記憶が正しければあの頃のままである。さらに、午後の廊下でも20分程、中学校時代の話を一緒にしてくれた。あのMさんが、私の顔だけをまっすぐに見ながら話をしてくれている、そして対等に話をしてもらえてること、21年前、8年前には想像もできなかった光景が現実となっている。もちろん向こうから話しかけてきてくれてスタートしたのだが、私も十分に彼女の話し相手となることができたのではないだろうか。「喋れる人でよかった」彼女のこの言葉は私の心に響いた。
ちなみにだが、彼女は当時のことをその時一緒に来たクラスメイトに聞かれたことがあったらしいが記憶になかったようだ(何してくれてんだ)。でもまぁ彼女にとってその程度の出来事だったのだろう(そのクラスメイトの暴走かもしれない)。そして、「Rちゃんがまっちくんのことを好きだったから、Rちゃんと私(Mさん)の苗字が一緒なので勘違いをしているんじゃないか」と推察していたそうで。いやいや中学校の全員の名前を覚えていた私の記憶は正しいと念押しをしながら、「Rちゃんがまっちくんを好き」というワードに突っ込み切れなかったので、そこについては追い追い追及していきたいと思う。私を好きな人がいた。それだけでこの人生、生きていける気がするので。ちなみにちなみに、Mさん曰く「Rちゃんのあれはだめだ」と男子を勘違いさせる行動についてはやんわりと釘をさされておりました。
ということで、最低でも1年は同じ場所で働くことになる。既婚者であるにせよ、私にとっては素敵な1年になるのかもしれない。

あ、仕事はきちんとやります。

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