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「セクシー田中さん」改変に見る「陰キャvs陽キャ」問題

「セクシー田中さん」のドラマ化事件に対し、ゆくよは、こんなふうに思う部分があります。

今回の事件は「陰キャ」と「陽キャ」の違いがもたらした悲劇だったのではないかと。。。

ふつう、小説家、漫画家というのは、クラスの一軍カーストに入るような、学校の人気者になるような人ではなく、どちかというと大人しくて目立たない人が多いのではないでしょうか。
言い方は悪いかもししれませんが、今でいう「陰キャ」系の人種。
ちなみに80年代オタクのゆくよも、当然「陰キャ」です。笑

けれども、人間関係が苦手で一人の時間が多いからこそ、本を読んだり、創作に興味をもつようになってくる。

それに対し、脚本家の相沢友子さんという方は、若い頃に歌手としてデビューするなど、元タレントだったとネットで知りました。
たしかに、お写真を拝見しても50代とは思えないような美貌で、明らかに「陽キャ」属性の方だと思われます。

そんな「真逆の属性」の二人の作家が関わった「セクシー田中さん」とは、「普段は地味なOLが、夜はベリーダンサーとしてセクシーな女性に変身する」というお話。

これは、日頃ひたすら机に向かってコツコツ漫画を描き続ける地味な作業をする芦原妃名子さんが、物語の中では、空想の中では「女性性を発揮し、きらびやかに輝く」ということのメタファーでもあったのではないでしょうか。
と同時に、学生時代は地味な陰キャだったけれども、漫画家としては大きな成功を遂げたことのメタファーでもあったはずです。

作品はその作者の魂であり、主人公は作者のアバターであることが多い。
そういう意味で言えば、「昼は地味な事務員、夜はきらびやかな女性に変身する」田中さんは、陰キャながらも漫画家として華々しい成功をとげた、芦原妃名子さんご自身だったと思われます。

ところが!!!

そんな作品を脚色することになった相沢友子さんは、まさに真逆の属性。
というか、真逆の人生を歩まれた方。
もともとは芸能界という華やか世界で活動していた方。
それなのに芸能人としては成功することができず、脚本家という「地味な仕事、裏方」をする立場に「堕ちてしまった」。

相沢友子さんにとって脚本家としてそこそこやっていけることは、大きな成功では決してなかったのではないでしょうか。

それゆえ、芸能人と一緒にインタビューを受ける「表の仕事」の時に、美しいヘアメイクで臨む時だけが、「表に立つ仕事をしている本来の自分」に戻れる時だった。

そんな相沢友子さんにとって「セクシー田中さん」とは、「本当の自分は毎日机に向かっている地味な自分」という現実を突きつける、「忌まわしいテーマ」を含んでいた作品だったのかも。。。

それゆえに、相沢友子さんは「セクシー田中さん」を彼女なりに改変した。
暗い部分を見なくてすむように。
それが、原作者の芦原妃名子さんには、納得できない改変につながってしまったのではないかと推測されるのです。

陰キャ、陽キャ、真逆の属性の二人の作家が、それぞれのコンプレックスを刺激するようなモチーフの作品に関わってしまった。。。

これが今回の「原作改変」「改悪」というこの事件の一つの要素になっていたのではないかと、ゆくよは勝手に思うのでした。。。

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