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【彼記録】憧れソファ

お値段以上のCMでお馴染みの、あの緑のお店。
先日、旧ソファを手放した我が家。次にお迎えしようと検討しているソファがここにある。


サイズは旧ソファよりもやや大きい。決して広くない我が家がさらに窮屈になる事はわかっているが、このソファがとても魅力的なのだ。

何が魅力的かというと、なんとそのソファ、
電動リクライニング機能つきなのである。
ふらっと訪れ、偶然見かけたそのソファに私は即 一目ぼれ。

リクライニングソファでくつろぎながらの映画鑑賞。
まるで映画館ではないか。
いや、リクライニングできるぶん、映画館超えしている。
さらにそのソファ、中央の背もたれを倒してテーブルとしても使える。
ただテーブルを使うとなると、真ん中が潰れてしまうので2人掛けに。
だとすると、テーブルを使えるのは子供が寝静まった夜。
そうか。晩酌しながらの映画鑑賞。


間違いない。魅力的だ。

私は目を閉じ、自宅にそのソファを迎えたイメージをする。


旧ソファのサイズよりも幅がやや出るな。
なら新ソファ、テレビに対して平行ではなく、垂直に置くのはどうかしら。


いや、するとあのソファの醍醐味である、私の妄想したスタイルでの映画鑑賞が叶わない。意味がない。

もういっそ、設置場所が限られるソファを中心に、テレビの方を移動してしまうか。


私は方眼ノートを取り出し我が家のリビングの平面図を書き、ソファの設置パターンを数通り書き出した。

うん。当初の予想通り、新ソファは旧ソファの位置に収まらず旧ソファよりも約20cmはみ出て動線が悪くなる。


しかしソファの前にテレビは必須。


やはり私の頭は、テレビを移動する作戦であらかた固まった。

テレビの新たな設置場所は、目隠しも兼ねて掃き出し窓の位置へ。

現在の場所では、この窓が側面にある事で天気の良い日は特に外からの光が画面に反射し見づらかった。

その問題がこの移動によって解決できそうだ。

よしよし。この案でいこう。

ーーー以上は私が試行錯誤していた二年前の話である。

今年も冬が終わろうとしている。炬燵もしまい、部屋の模様替えを考えていたら、突然彼の口からこんな言葉が。

「ソファでも見に行く?」


私はこれまで常々アピールは続けてきたが、全く手ごたえも感じられないまま時が過ぎていた。

なので彼の方の口から飛び出したこの言葉はまさに、「寝耳に水」

そうと決まれば話は早い。
私は彼の気が変わらないうちにと速攻準備を終え、私のソファのあるあの緑色のお店へ。

彼はソファの並ぶエリアをうろうろと歩いている。

私の一目ぼれソファはというと、設置場所は変わりつつも、ちゃんと置かれている。きっと人気商品なのだ。


色々なタイプが展開されていて、二年前からちょくちょく見に来るがずっと目立つ場所に展示されている。お値段は私達には高いが、きっとそれ以上の価値があるはずだ。

一通り見終わった彼は、私のソファのもとへ。


テレビで〇トリのリクライニングソファのCMが流れる度、また彼とこの店へ来る度に幾度となく「このソファが良いの」「リクライニング機能が付いてるの」とプレゼン気味にアピールを続けてきたにも関わらず、彼は随分と遠回りしていた。

ただこの遠回りを見て、やはり彼もこのソファの事が気になっていたのだと確信した私。


彼:「子供も大きくなったしね~」


私:うんうん。もう飛んだり跳ねたりしないよね~。


彼:「お家時間長くなったしね~」


私:「うんうん、あなた家にいる時間増えたもんね!」


去年なんて家には寝に帰ってくるような働き方だったけど、仕事が変わって家でのんびりテレビ見れる時間増えたもんね~!

彼:「サイズでかいのかな?前のソファがあった場所に置けるのかな?」


私:「奥行きはそう変わらないんだけど、幅206センチで旧ソファより20センチ幅があるのよ。旧ソファの場所に置くとね、飛び出しちゃって動線が悪いから、別の壁に寄せて設置しようと考えているの!そのへんのシュミレーションは何度もやったから任せて!」
(二年前からねっ)



黙り込む彼。
残る問題はなんだい?
気になる事はなんなんだい?


安いものではないし、やっぱりお値段が気になっているのかな。


そうだよね。子供達にもこれからお金がかかる年ごろになってくるし。かといって今後お給料が増える訳でもない。


これまで散々欲しいアピールをしてきたくせに、目の前の彼の姿を見て急に不安になる私。


そして謙虚な姿勢で彼に尋ねてみる。

私:「これやっぱりうちには高いかな~リクライニング、絶対必要な機能じゃないしね。ほかに良さそうなのあった??」


彼:「うん。高いけどね。ずっと使うものだしそこはしょうがないね~」


おっ!?なんと前向きな返し。私期待しちゃっても良いの?

彼:「ちょっと考えよっか。」

彼はソファの説明チラシを一枚貰ってすたすたと出口へ。


そうです。彼はとても思慮深い男なのです。


一方私はというと、ついに念願のソファが我が家へ?!


期待しうかれるのであった。よっしゃっ(ガッツポーズ)


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