2021/01/19(未明-p.250)


 当たった……。

 夜バイトから帰ってくると荷物が届いていて、先日六本木の蔦屋書店のイベントで、オンラインの保坂和志と山本浩貴のトークイベントがあり、視聴できるチケットとサイン本を購入していた。
 イベントの前にできたら本は読んでおこうと思って、というのは、YouTubeに挙がっている山下澄人とのトークイベントの動画(「書く気のない人のための小説入門」めちゃくちゃおもしろい)で、そのときは山下澄人の『緑のさる』が刊行されたときだったみたいだけれど、保坂さんが、
「ここでこの本について2人で話をするっていうのはわかっているんだから、読んでこなきゃダメですよ」
 と聴衆にむけて言っていて、でも山本さんとのトークのときにはそれは言ってなかった。司会の女性の方が、「サイン本を購入された方は、本が届いてから読まれると思いますが……」と言っていたからかもしれない。
 サイン本はもしかしたらイベントの前に届くのかもしれない、とアホだから一瞬思ったけれどそんなはずはない。保坂さんはイベントが終わってからサインをして、それから発送されるに決まっている。

 イベントが1月17日の日曜日にあって、2日経って19日にサイン本が届いた。イベントの前日に最寄りの本屋さんで一応買っておいたサインのない普通の本は、ほとんど読まなかったし、山本さんがときどき引用して一節を読み上げていたけれど、ちょうど日曜日のイベントの時間は外にいて、帰宅途中で、自転車を押しながらイヤホンで聴いていたから、本を開いて、読み上げるのと一緒に文章を追うことはできなくて、いよいよなんのために前日に買ったのか意味がわからなかったけど、ミルクボーイよろしく、好きな作家の本は「なんぼあってもいいですからね」。

 Twitterの六本木蔦屋書店のアカウントを、ほかにも参加したいイベントが今後あるかも知れないから、そのときに見逃さないためにフォローしておいた。保坂さんと山本さんのイベント終了後更新されて、何冊あるのか知らないけれど、このあと発送するサイン本のうち、
「1冊だけ猫の足跡サイン(右)がおひとりさまに届きます!」
 とツイートされていて、たしか坂口恭平さんもそんなようなことをしていたな…、坂口さんの場合は当たったら電話して、と電話番号もたしか一緒に書いてあったっけ…、みたいなことを思って、でも僕のところにはこの当たりのサイン本は来ないだろうから何も考えていなくて、「うちには来ないだろうな…」とすら思わなかったんだけど、さっき家に帰ってきて封を開いてサインを確認したら、その当たりの、猫の足跡サインが入った保坂さんのサイン本、だった。

 一瞬意味がわからなくて、べつに当たっているからと言って何かがもらえたりするわけではないんだけど、でもどうしてこれがここに来ているのかわからなくて、とにかくなんで1冊しかいない猫の足跡サインがここに来ているのかよくわからなかったけれど、Twitterの写真と見比べてみると、筆跡とか、「保坂」の「坂」の字の崩れてる感じとか、どうやらこの本で間違いないらしい。

 今年はいいことがあるかもしれない。
 にしても何で? とどうしても思ってしまう。

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