2021/01/20(未明-p.258)

 
 毎年、河川敷でおこなわれる町内会のどんど焼きで振る舞われる豚汁と甘酒が好きだった。豚汁と甘酒がセットで100円、どこにでもあると言ったら失礼だけど、有志のおばさんおじさんが作る豚汁と甘酒なんだけど、寒い風がたまにビュービュー吹き付ける中、正月飾りや達磨が放り込まれた火を見ながら、「あったけぇ〜」と思いながら飲むのはやっぱり美味しかった。

 小学校、中学校のころは年末年始は家族でスキーに行くのが恒例だった。
 ある年の元日、スキー場のふもとにある案内所の入り口の前で甘酒を配ってるらしいという情報を父がどこかから聞きつけ、いつもより早くスキー場に、甘酒がなくなって終了してしまったらもったいないから、いつもより早くスキー場に着いた。
 行列ができていたか閑散としていたかは忘れたけど、「間に合ったあ〜」みたいな感じで受け取る列にならんで、女性の、たぶん大学生くらいの人だったと思うけれど、一升瓶から注いで紙コップに入った甘酒をもらって、そのときから僕は甘酒が大好きだったから、歓び勇んでのんだら、めちゃくちゃマズかった。

 びっくりして紙コップの中をのぞくと、黄色い液体で、ぜんぜん甘酒っぽくない。こんなの見たことなかった。
「おとうさん、美味しくない」
「えっ? どれ」
 一口飲んで、
「ほんとだ、なんだこれ?」
 と言った。

 そのときは2人で、
「この地域(長野)の甘酒はこういう甘酒なのかな?」
 という結論になったんだけど、今から考えると、たぶん黄色い液体は、甘酒の酒粕が沈殿した上澄み液だったんだと思う。本当は一升瓶を振るとかして混ぜてから注がないといけなかったんだけど、その女性は甘酒をよく知らなかったのか振らずに注いでしまったから、マズくて見たこともない甘酒になってしまった。「長野の甘酒はこういう甘酒なのかな?」ってそんなわけない!笑

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