2021/05/17(ガープ-p.24)


 藤井風「罪の香り」を熱唱しながら仕事に向かう。生きてて楽しいな、とか、心の底から楽しくはないけどまあいいかな、みたいに思えるのはこういう瞬間で、会社とかが社訓に「社員の人生を豊かにする」みたいなことを書いているのを見たりすると「こっちに入ってくんなよ」と思う。
「罪の香り」の、武道館で歌われたDVDを見ると、歌詞の「神聖な場所」というところを藤井風が歌っているとき、両手でスタンドマイクを包み込むような仕草をするんだけど、そのときの手が震えているように見えて、ドキッとする。「エロい」と言ってしまえばそれまでなんだけど、もっと不道徳というか……、ああ、形容すればするほどどんどん実感から離れていく。同じ場所を何度も見てしまう。

 また月曜日が始まる。こういう生活があと40年はつづくのかと思うと頭がクラクラするんだけど、でもまわりの人にできて俺だけにはできないなんてことはないと思うから、なんとかなるんだろうと思う。よく、そういう風に考えるようにしている。もちろん、習熟度とか、キャリアが短いとか、あの人みたいに出来たらいいな、と感じるときはあるけれどそういうことじゃないしに、仕事は世界中のほとんどの人ができていることなのに俺だけが世界でただ唯一できないなんてそんなことはありえない。しかも歴史があるものだったら、俺がもしミスったりしても、そのミスはすでに誰かがやってるから、世界初のミスを、この俺が犯すはずはないから、それも安心してる。うんこしたいからそろそろ行く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?