2021/05/24(ガープ-p.85)


『機界戦隊ゼンカイジャー』にでている増子敦貴が僕んなかでちょっとブームになってて、「界賊の唄」を聴きまくってる。

 世〈界〉を股にかける〈界賊〉ってのもうまいこと考えるなあ、昨日みた「IPPONグランプリ」でも「うまいっ!」って思った回答があったんだけど、誰のどんな回答だったか忘れてしまった。

 以前この日記に、夢にA先生が出てきたって話を書いた。高校時代の部活の外部指導員のA先生とは、当時僕はその部活で役職を与えられていたので、カンタンな日報みたいなものをA先生に毎日送っていた。「今日はこんな活動がありました」とか「こんなトラブルがあってこうなりました」みたいなもので、でもそんなに毎日毎日なにかあるわけではないから、いつも、
「今日もなんの問題もなく活動できました」
 と送っていたんだけど、あるとき呼び出されて、
「あんな報告なら、もらったってしょうがないだろ?」
 と言われ、すみませんでした、と言ったけれど、なにも起こんねえんだからしょうがねえじゃん、そもそも毎日トラブルが起こるような部活は部活としてダメじゃん、なにもないのはいいことじゃん、と思った。そもそも俺が書きたくて書いているものではないし、と心の中で毒づいた。A先生のことは当時も尊敬していたし好きだったんだけど。

 今日のこの日記に「界賊の唄」のリンクを貼ることができるのかのテストをした。公開しなくてもプレビューで、公開される形とおなじ形で見ることができる。まちがって公開してしまわないように、タイトルに「テスト」と書いてプレビューした。

 この「テスト」を見るといつも思い出す。さっきA先生に毎日部活の報告をしていたことを書いたけれど、あるとき急にA先生から、
「テスト」
 とだけ書かれたメッセージが送られてきた。いつもはメールでやりとりしていたのに、急にiPhoneのメッセージのアプリに送られてきて、「テスト」の意味がわからなかったし、A先生は長々と文章にして部員に指示するのではなく、短い言葉で、箇条書きみたいなメールで指示をすることが多かった(それでも意味が伝わるんだからすごい!)。仲間に見せると、ちょうど中間テストが終わった時期だったから、
「生徒の点数が悪かったことを言っているんじゃないか?」
 活動量の多い部活だったから、必然的にみんな勉強の方はおろそかになる。この部のほとんどの生徒は成績が悪いのは有名で、もちろん俺もその一人だったんだけど、でも部活も一生懸命やれ、勉強も一生懸命やれなんて出来るはずがない。そんなのを子供に求める方がおかしくて、どっちかが充実しているならそれでいいし、それで十分すぎるぐらい十分だ。そもそも、それを求めている大人(学校の先生たち)がそれをできていなかった。うちの部活の顧問は、「部活の顧問」としては一流だったが、「学校の先生」としては正直ダメだった。ほとんど自習だった。今思えば、子供だけじゃなく学校の先生に対してもおなじで、「部活の顧問も一生懸命やれ、学校の先生も一生懸命やれ」と、両方求めるのは間違っているのだ。だから、そういう風に、部活も勉強もなんてムリだよ、と体現してくれている学校の先生はうちの部活の顧問しかいなかったから、その意味ではよかったのかなと思う。ほかの先生はそういうところは隠しているから。両方やるのが「先生」だと思っているから。でもそんなのムリだよ。

 こんな話がしたかったんじゃないけど、A先生から「テスト」とだけ送られてきて、みんな「この前の中間テストの結果が悪かったってことじゃないの?」、A先生は直接的に「お前たち、勉強もちゃんとやれって言ったのに、なんだこの結果は!」と言うのではなくて、婉曲的に、相手に分からせるみたいな言い回しを多用する人だったから、一言「テスト」としか書かれていないメッセージを見て、「分かれよ」ってことなんだろうと解釈して、それなりに長い、「こうならないように、テスト期間中は部活動が休みだからといって遊んでばかりいないでちゃんと勉強をするようにと言われていたにもかかわらず、こんな結果になってしまってすみません」みたいな、反省文みたいなものを送ったんだけど、あれからしばらく経って、高校もとっくに卒業して大学生のときにふと思ったんだけど、あのとき、A先生はiPhoneを買ったばかりで、使い方にも慣れてなかった。いままではメールでやりとりしてたけど、メッセージだったらLINEみたいに過去のやりとりをカンタンに、スクロールして遡ることができる。だからメールで報告を送ってもらうよりメッセージで送ってもらった方がいい。「試しに」という意味で「テスト」と送ったら、中間テストの反省文がずら~っと送られてきた。
 勇者は、ひどく赤面した。あれから「テスト」と書くと、A先生はあのときどんな気持ちだったんだろうと思う。

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