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1ヶ月の戦い

1ヶ月の戦いと言われると、お笑いで戦ってたんだろうなとお思いでしょうが違います。

まぁお笑いでも戦ってはいたんですけど、別の戦いが同時並行で行われてました。
人生賭けたMの戦いがなんか負けてるのもその別の戦いで疲弊してたせいかもしれません。

その話を今回させて下さい。

みなさんはトコジラミという害虫をご存じでしょうか?

少し前にテレビなどで取り上げられていたのですが、海外で大発生して問題になっている害虫です。
観光客の増加から日本でも定着するようになっており、今実は密かに世間を困らせている害虫でございます。

それが家に出ました。

僕は暇なとき生き物系のYoutuberや害虫駆除のYoutubeを好んで見るので、元々このトコジラミの恐ろしさを知っていました。

ある日ベットに死骸が転がっているのを発見しました。
そのとき思った感想は率直に

「終わった」

でした。

知っている人もいるかもしれませんが一度この害虫の恐ろしさを語らせてください。

「トコジラミ:別名南京虫」
カメムシの仲間で成虫は体長5mmほど
吸血昆虫であり、食事は哺乳類の血のみ
水など一切飲まず血のみを食す。

基本的には屋内にしか発生しない屋内害虫でカーペットの裏や畳の縫い目、床や壁のつなぎ目など狭くて暗い場所に生息する。

非常に憶病な性格なため日中は生息地から動くことはなく、夜中人間が寝静まった夜中の2時~4時ごろに露出している肌から吸血する。

刺したとき痛みはなく、刺された後は赤く腫れあがり、痛痒い症状が出る。
その痛痒さから夜眠れなくなり精神に異常をきたす人もいるほど。

繁殖力が高く1度交尾したメスは1日に約4個の卵を産み、生涯で約400個の卵を産む。
また生命力もすさまじく、血を吸わない状態でも1~2か月は生き延びる。

そのため気づいた時には取返しのつかないほど家で繁殖しているケースがほとんどらしい。

やべえでしょ。

ちなみにこれらの情報は何も見ずに書きました。
僕が多分大阪の芸人で今一番トコジラミに詳しいです。

さてなぜうちに出たのかですが原因は不明です。
基本的に人の衣服やカバンについて家に持ち込んでしまうのですが、ホテル、居酒屋、ネカフェ等々、どこに生息していてどこから持ち込んだのかがわからないのがこの害虫の恐ろしさ。
海外からの郵便物の段ボールに潜んでいることもあるらしいです。

そして一度発生すると自力で駆除が不可能と言われています。

その理由は高い繁殖力と生息地の特定の困難さにあります。
本当に人目に付きにくい自力で見つけることが難しいところで繁殖しているうえ、市販の殺虫剤に耐性を持った「スーパートコジラミ」なるものも誕生しているそうです。

なんなん俺ら君らのスキンヘッドの仲間破裂させた覚えないねんけど。
勝手に怒りのパワーで目覚めんといてほしい。

種類によっては効く殺虫剤もあるのですが、効くのは成虫と幼虫のみ。
卵に殺虫剤は効きません。
しかも卵は1mmほどで目視で見つけるのも難しく、少しでも見逃せば再度繁殖してしまうという鬼畜ぶり。

アース製薬の研究員がインタビューでこう答えていました
「家に一番出てほしくない害虫はトコジラミですね」

どうでしょう。恐ろしさは少しは伝わったでしょうか。

そんなこんなで死骸を見つけてしまった僕ですがまず大パニック。
僕は知ってました。
駆除業者でも駆除が難しい害虫なため、駆除費用が簡単に10万を越えることを。

うちは3人でルームシェアしている3LDK
被害が全部屋に広がっていれば10万じゃ済みません。

心を落ち着かせまず敷布団をめくると2匹の生きたトコジラミがうろちょろ。
速攻で潰しました。

ここから僕の長く辛い戦いが始まります。

次にマットレスをひっくり返すとマットレスのふちに2匹並んで固まっていました。
ありえんキモイ。速攻でぶっ殺し。

ここで大きく動き続けるとトコジラミが別の部屋に逃げ込む可能性を感じ一旦停止、隣の部屋はふすまで区切られているのですが、隙間をすべて養生テープで塞ぎました。

被害は最小限に、死ぬのは自分だけでいい。

まず卵が産み付けられているかもしれないベットの敷布団、布団、枕、カーペットをすべて捨てました。

愛媛の実家から持ってきてお世話になった僕の寝具たち、今までありがとう。

そして自分の服すべてとカーテンをコインランドリーの乾燥機にかけました。
殺虫剤の効かない卵にも弱点があります。
それは熱です。
熱によって死滅するのでもしかしたら衣服に産み付けられてる可能性もあるタンスの奥の冬服まで乾燥機に入れました。

今年の冬服、全部縮んでるかもしれん。

そして僕の部屋は畳です。
トコジラミは畳と畳の境目の隙間にも生息します。

6畳の部屋の畳、すべてスチームアイロンをかけました。
ゆっくり、確実に、熱蒸気が畳の奥底まで届くように。

この時点で新たに成虫は1匹も見ることなく幼虫すらいませんでした。
そのことから家に持ち込んでから1週間以内ということがわかりました。
卵の孵化にかかる時間が1週間以内ですので。

でも油断はできません。押入れの奥、コンセントの中、扇風機までばらして中を確認しました。

そしてマットレス。
こちらも丁寧に隅々までスチームアイロンをかけました。
正直マットレスも捨てた方が早かったのですが、実はこのマットレス、うちの両親が僕に譲ってくれたもので、非常に高かったらしいのです。

というのも両親が結婚記念に買ったもので、フランス製の当時すごく良いマットレスだったと聞いておりました。
さすがに捨てるのがはばかられました。

恐らく僕はこのマットレスの上で生を受けてるはずですから。

ちなみにシングルベットです。

そして残効性のある殺虫剤を怪しいところ全てにかけました。
これにより孵化してしまったトコジラミも残っている殺虫成分で死滅します。

そして駆除のため丸1日かけて部屋をひっくり返しました。

卵が孵化するのに1週間。
幼虫が成虫になるまで1か月。
この期間はまだ油断ができません。

僕は1か月の間トコジラミが発生してないか毎日部屋の四隅や寝具回りをチェックし、座椅子で寝ました。

そして発見から2か月ほどたちますが現在、存在も虫刺されもありません。
完全勝利です。

悲しいのは同居人の反応です。

同居人はそもそもトコジラミの存在さえ知らない無知な奴らですから、僕が大騒ぎして大掃除してる姿を冷たい目で見ていました。
「え?マツザワなにしてるん?」
この温度差ですよ。

僕がたまたまトコジラミを知っていて、たまたま早期発見できたからよかったものの、もし大量発生を許していたら自分たちも刺されたあげく駆除費用が数十万かかっていたはずです。

それだけのことを僕はしたはずなのにへらへら笑って毎日をなんとなく過ごす、感謝の言葉もない。

正直このnoteを書くのは勇気がいりました。
完全駆除したと僕が言い切っても敬遠したくなる人も出てきそうなので。

ただ、そのリスクを背負ってでも、誰にも認められないこの努力を知ってもらいたかった。
共有したかった。
褒めてほしかった。

でも誰も賞賛してくれない。

だって誰もトコジラミを知らねえから。

トコジラミの生態から駆除の過程。
まさかの過去最長のnoteとなりました。

読んだ人は僕と関わったらトコジラミに刺されるなんて思わないで下さい。
どうか僕を讃えてください。

業界では自力で駆除不可能といわれた害虫を自分の手でうち下し、同居人2人を守ったのです。

英雄として崇めてください。

長くなりましたが最後に
トコジラミのおかげでめっちゃ部屋綺麗になりました。

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