リコリス・リコイルのED曲「花の塔」販売にまつわる"レーベル都合"について
結論から
この曲のダウンロード販売は”レーベル都合”によりAACのみ
(非可逆)圧縮音源は一般論として可聴外の音を切り捨てる仕組み
アルバムCDに収録されている「花の塔」をWaveSpectraで見たところ 「花の塔」だけ上限周波数が配信のAACとほぼ同じ21kHz付近で CDスペック未満のデータがCDに収録され、CDとして売られる という前代未聞なことが行われている
CDを売りたくて配信をAACに制限してるわけじゃないのか…(困惑)
オチとかはないです。
この曲のダウンロード販売はAACのみ
私は8話が放送されたあたりでこの作品を知りました。
OPED曲をフルで聴きたくなったので、ダウンロード購入を検討しますが、「花の塔」は、どこもAAC形式のみのようです。また、Amazonは他で販売されているものより若干ビットレートが低いようです。
こういうことはよくあります。
理由は知りませんが、OTOTOYさんのところには"レーベル都合"と備考欄にあります。
これは価値観の問題ですが、私は特段の事情がなければお金を払うならCDスペックかそれ以上のものにしたいです。
そして選択肢が圧縮音源しかないのであれば購買意欲が大きく減退します。圧縮音源はストレージの容量に厳しい制限があった時代のもので、持ち出すときに仕方なくMP3などを使うという我慢の象徴でした(個人の感想です)この場合は、配信には320kbpsのAACしかないのですが、さいわいCDメディアでもこの曲を聴くことができます。それがアルバム「酸欠少女」です。
「花の塔」は2曲目に収録されています。
圧縮音源かどうかは波形を見ればだいたいわかる
※この項目は詳しい人は読み飛ばしていただいて結構です。
そもそも上の方で可聴外の音を切り捨てるとか簡単に書いてしまったので
詳しい人は回れ右して出ていったかもしれませんが、そうでない人向けに圧縮音源についてざっくり説明すると、可逆圧縮と非可逆圧縮があります。
このうち配信で使われてるAACは非可逆圧縮といって人間が聞き取りにくい心理的に注目しづらい範囲の音を切り捨てるなどして主観的な音質を保ちつつ容量を小さく(圧縮)する技術です。客観的に見るには波形を見ます。
CD音源の波形は普通こうなってます。
CDのスペックは44.1kHz/16bitでして、下のグラフがその半分の22.05kHzまで伸びています。
これをNero AACで一気に256kbpsまで圧縮したものがこちらになります。
下のグラフが18kHz付近でガクッと落ち込んでいますが、これがいわゆる
非可逆圧縮を行った音声データの波形です。
「花の塔」はどうでしょうか。
AACデータを買いました。
ビットレートは320kbpsだそうです。
これをデコードしたものがこちらになります。
なにやらバチバチにクリップしてる気がしますが置いといて
21kHzあたりからガクッとグラフが落ち込んで、そこから先は振れません。
元が非可逆で圧縮されていたものですから当然です。
せっかく買うなら、これじゃなくてCDにしましょう。クリップ云々は形式がなんであっても同じことです。
CDならCDのスペックで収録されてるって思うじゃん
リスナーが「花の塔」をCD相当のスペックで聴きたいと思った場合、
"レーベル都合"でダウンロード販売では非可逆の圧縮音源に制限されておりそれが叶わないことを見てきました。ならCDを買えばいいんです。
CDをパソコンに搭載されている光学ドライブで吸い出して、それをFlacに可逆圧縮してロスレスで曲を楽しみましょう。よくわかんないけどレーベルにも都合があるんでしょう。CDの方がアーティストへの入りが良いのかな。
あと疑ってるわけじゃないけどちょっとWaveSpectraにもかけてみるね。
さっきのAACとほとんど違いがないような…
さすがに目を疑ったんですけどこんなことってあるんですかね。
とりあえず他の曲も調べてみたら「花の塔」以外はちゃんとCDのスペックで収録されているようで、どうも「花の塔」だけはどんなメディアであってもリスナーにCDスペック以上のものは提供しないというレーベルの都合があるようです。CDへの誘導のためにAACに制限してたんじゃないのか…。
こういうのやると音楽を聴かずに波形を見る人みたいに言われそうですが
そもそも論としてCDにAACを入れてCDとして売るのはアリなんですかね。
しかもこの曲だけってのがとても不可解で引っかかります。
どんな都合でこんなことになったんでしょうか。
おまけ
e-onkyoさんでオープニングも買いました。96kHz/24bitのハイレゾです。
こちらはスペック通り48kHzのあたりまでグラフが振れています。
ClariSさんの曲は販売形態が多岐にわたり、CDだけでも初回生産限定版、期間生産限定版と、その特典のありなしの4種類があり、それぞれ収録曲やアルバムアートのデザイン、果ては特典ディスクの収録内容まで違います。
バリューとして明らかにCDの方を上位に位置づけているようで、このあたりに今の販売側の空気が表れているように思います。
CD主義の日本の音楽業界を批判する向きがあるのは詳しくないものの把握していますが、それぞれがニーズに合わせて買えば良いので選択肢があるのはいいことだと思っています。しかしCDの中身がちゃんとCD相当でないと話がややこしいことになってきます。
たとえば誰かアーティストの新譜が初回限定版CD+Blu-rayという仕様でリリースされたとして、Blu-rayが付属するからにはそこには1080pのH.264で映像が記録されるのを期待するところを、なぜか480pのMPEG2で収録されていたみたいな話だと思うのですが…。あんまり変なたとえ話をすると論点が迷子になって藪蛇になりそうですね。やめましょう。
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