『領怪神犯』がとても良かった話

 とっても良かったから読んでね!!!!!


 だけじゃ読んでくれない人向けに追記します。
 後ろの方ほどネタバレが増えるので、気になった時点で記事を閉じて、読んでください。


 領怪神犯とは。
 町や村の単位で信仰される神々がいる。ただそこにいると信じられているところもあれば、邪魔と思いつつ仕方ない現象のように扱われていることもあれば、助けてくれる存在として大事に祀られていることもある。
 一概に善とも悪とも言えず、一様に善悪どちらかの性質があるわけでもない。
 ただそれは、人知を超える力を持っている。

 そんな領怪神犯を、役所の秘密組織である特別調査課に所属する2人が調査していく。

 無愛想で優しくて苦労しそうな先輩の片岸と、愛想の良いどこででも生きていけそうな後輩の宮木のコンビがまた魅力的です。
 それぞれに何か過去がありそうながらも、軽口を叩きながら、しっかり仕事をする。でもその対象はわけのわからない"神"たち。

 定期的に巨大な人体の一部を空から降らす何か。不老不死を齎すらしい何か。何かしてくれるらしい何か。
 善な面があったり、悪な面があったり、ちょっと手間はあるけど悪とは言い切れなかったり、様々な"神"とのエピソードを書いた連作短編?中編?です。

 この小さなまとまりの繰り返しがとてもテンポよく読めます。いろいろな神を見ていくうちに本の残りページが少なくなっていって、待ってまだ終わらないで!ってなります。

 気になりました? 本編はすぐそこです! たぶんKindleがいちばんはやい。
 1巻が発売された後くらいに、このくらいの説明で友達のVtuberが何人か読んでくれて、全員が高い満足を得たと言っています。この表現胡散臭いな。


 もちろん連作であり1冊の本なので、話は短編の繰り返しには終わりません。
 1巻だけでも、1話だけでも面白いんですけど、その底にずっと静かに流れているものがあります。秘密部署の上司たちや主人公の過去など、情報が増え、わかることが増え、わからないことも増え、気になることも増えたり減ったりしていくうちに、きっとこの世界の魅力に取り憑かれることでしょう。そして2巻を買い、3巻を買う。多少忙しくて時間がかかっても、そうなります。僕にはわかる。

 この小説、全部で3巻あります。
 今後続編が出るかはわからないんですが(出たら僕が小躍りして喜びますが)、そうなったらきっと別の方向性の本になるんだろうと思うくらい、3巻で完結します。
 でも1巻が尻切れ蜻蛉で終わるわけではなく、ちゃんとそれ1冊で纏まっているので、安心して買うことができます。大丈夫です。1巻だけじゃ全然何も終わってないのにもう10年も新刊が出ない、なんてことはありません。完結済み。安心する響き。

 というわけで読んでみてはいかがでしょうか『領怪神犯』
 怪異モノとしての魅力と、バディモノとしての魅力があります。
 小説なので避けられがちなびっくり系のホラーにもなりません。


 完結した本編について「ここすき!!!!」みたいのもたくさんあるんですが、Vtuberとして何かを発信するならまだ触れてない誰かに届けるという方向性のほうがなんかそれっぽいかなと思ったのでネタバレのほぼないこんな文章とさせてください。推敲はしてません。

 特別調査課みんな好きだけど、一番好きなのは宮木さんです。


Q. なんでそんな好きなのにTwitterで小説家をフォローしてないの?

A. 日常の思考思想が未来でネタバレになったら悲しいから。カクヨムのフォローはしてます。


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