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【1月結】最強寒波に負けない小倉の熱いステージ


■これまでのあらすじ

大阪の東洋ショーでストリップの見方が変わり、どんどん興味を持ち始めた野坂さん。引っ越し先の福岡県にもストリップ劇場があることを知り、場所やスケジュールを調べ始めたところ…。

※本記事は演目に関するネタバレがないよう気を付けていますが、読む人によってはネタバレに感じる部分があるかもしれません。ご了承ください。

■観劇当日

気分は初デート

1月25日(木)、ちょうど引っ越し前から継続していた案件がひと段落ついたタイミングでA級小倉劇場(略してAQK)に初めて伺いました。
この日に決めた理由はいくつかあるのですが、SNSで写真を見て気になっていた踊り子(ダンサー)さんが1月21日~31日に出演するというのが大きかったです。

気になっていた、というより一目惚れしていました。

当時の私はその踊り子さんがSNSで掲載されているステージ写真を何度も開いては閉じ開いては閉じを繰り返すほどの深刻な病状でした。

「動いている彼女を見てみたい…」というピュアな恋心と、「ライバルの多い業界で売れているということはきっとパフォーマンスも凄いんだろうなあ」というワクワクを胸に、初デートのような気持ちで自宅を出発しました。

初めての小倉劇場

その日の福岡は記録的な寒気の影響で道路も混乱していましたが、予定より30分遅れでなんとか劇場まで到着。遅れたとはいえ12時30分には到着できたので、入場料の4,000円(早割料金)を払い、すぐさま座席確保のため劇場内に入りました。

会場内はすでに薄暗く、座席数は50席くらいかなというこじんまりとしたステージ付きのバーのような空間。
ただどの席もステージまでの距離がめちゃくちゃ近いです。
よくある「踊り子さんにお手を触れないでください」が現実味のある、少し手を伸ばすだけで触れられてしまう距離です。

初めての劇場ということもあり、どこに座れば見やすいのか分からなかったため、無難そうな正面寄り2列目の座席を選びました。
開演まで小さなテレビでを流していました。

舞台上では下りた幕の前に小さなテレビが置かれて、AVのサンプルらしきものが流れています。
アンアン言ってるテレビをお客さんが囲んで、気まずそうな雰囲気で目線を逸らしたりたまにチラ見したりを繰り返しながらショーが始まるのを待つ時間はとてもシュールです。

■香盤

  1. 立葵

  2. 涼宮ましろ

  3. ALLIY

  4. ささきさち

  5. 小宮山せりな

※敬称略

■ショーの感想

すべての踊り子さん、演目をご紹介するのは自分の筆力では力に余るので、特に印象に残ったものを書き留めさせていただきます。

涼宮ましろ

2番手で登場した涼宮ましろさんの「新作」は、自分のフェティシズムに非常に刺さるもので、観劇中に脳を素手でかき回されているような、脳が侵されているような感覚におちいりました。

涼宮ましろさんは派手な色のウィッグが似合う色白の美人さんで、彼女が舞台の上でポーズを決めると、VRゴーグルなんてかけなくても目の前に“二次元”が”いる”という奇跡を味わえます。

この演目では前髪で目元が隠れた状態で踊るシーンがあるのですが、その時の表情がどのようなのか、ギリギリ見えそうで見えないところに危うさやスリリングさを感じます。

一方で、ポップな演目では笑顔全開で会場を盛り上げていて、とても表情のバリエーションが豊かな踊り子さんという印象でした。

ALLIY

3番手のALLIYさんのステージは、ミュージカル風だったりスーツダンスだったり、ポールダンスを取り入れたりとバリエーション豊富で、お客さんにエンターテイメントとしてのショーを楽しんでもらおうという情熱を感じました。

特に雪花が舞う木曜日にピッタリな演目で見せていただいた、豪快かつパワフルなベッドショーは圧巻でした。
ポラロイド撮影のときに「あの脚を客席に向かって…するところが好きです!」と伝えたら、目の前で再現してくれて感動で意識飛びかけました。ファンサ神対応!

そして何より筋肉の付き方が彫刻のように美しい…!
キレイだけどそれ以上に「美しい」という言葉がふさわしいです。
とある演目では、生命の躍動を感じられるような立ち姿に感動して泣きそうになりました。

ささきさち

4番目に登場したささきさちさん。
何を隠そう彼女が「一目惚れ」したお相手です。

今回全部で3つの演目を見ることができましたが、どの演目も印象的だったので順番に感想を書き綴っていきます。

1本目の「デート」という演目は、“恋する女の子”の初々しい表情やしぐさをたくさん浴びることができます。
初めて彼女を見たお客さんも、きっとダンスショーで恋に落ちるほど笑顔がキュートで、국민 첫사랑(国民の初恋)という言葉が頭によぎります。

そしてベッドショーではメロウな名曲にあわせて徐々に心を開いて、体をあずけていくという演出。ピュアの中にアンニュイが混ざった表情がとても印象に残っています。

あとこれは若干ネタバレかもしれませんが、OPショーの曲が、大好きなアルバムの中の大好きな曲なんですよ…。
自分のような何者でもない、冴えない人間が世間に向けて声を発信できるのは、落ちサビの歌詞に今でも勇気づけられているからかもしれません。


2本目の「シュガークラフト」は、一言でいうと"致死量オーバーの糖分"です。
最初にこの演目を見ていたら、頭がどうにかなっていたかもしれません。それほど甘くて、それほど刺激の強い作品でした。

幕が上がった瞬間に、ステージを支配する豪華な衣装と小道具(小さいとは言ってない)に目を奪われます。この演目の世界観を一瞬で理解させるための装置として完璧です。
ダンスショーはこれぞアイドルといったキュートな振り付けなのですが、とても自然にそれをやりきっているのが素晴らしかったです。難しいことを当たり前のようにやってのけるのがプロの仕事なら、彼女のダンスはまさにプロだと感じました。

そしてベッドショー、ここまでの明るくポップな雰囲気とはうってかわって妖艶な一面を覗き見ることができます。

少しでも物音を立てれば消えてしまいそうな小さな息遣いを、客席のだれもが聞き逃すまいと息を止めて見守る時間。
拍手やタンバリンでダンスを盛り上げるのがストリップで、この静けさもストリップだということ。また少し奥の深さを知ることができました。


そして3本目の「ムーブオン」、この演目を見るまで私はささきさちさんという方を誤解していました。

彼女は「かわいい」を表現したい踊り子さんなのかなと勝手に思い込んでいたのですが、この演目のアングラ演劇のようなパフォーマンスを見て、芸術的なこだわりを持ってショーを作っているように感じられました。
他の演目についても、まだ自分がこだわりを見つけられていないだけなのかもしれません。

特に印象に残ったのが、すべてのショーを終えて舞台から去っていくときの表現です。
ここでも静けさが主役になるような演出をしています。

抽象的なパフォーマンスの意味、なぜMove Onというタイトルを付けたのかなど、この演目に関してはまだ分からない事ばかりです。
ですが、鑑賞後に考える余韻を与えてくれるのも舞台芸術の醍醐味なので、次に同じ演目を見るまでひたすら考えようと思います。

この公演を見た直後、彼女の人となりや文化的なバックボーンが気になってNoteの過去記事を最後まで辿りましたが、とても文章が上手で繊細な感情を大切にする方、そして運転免許を持っている、くらいしか分かりませんでした。
そんなミステリアスさも演出しているのであれば、私は完全に掌の上です。

■まとめ

といったところで小倉でのストリップ初観劇は幕を閉じるのですが、翌々日と、またその翌々日も劇場に通っています。
(もちろん同じ出演者です。)

あまりに楽しすぎて純粋にまた行きたかったというのもあるのですが、こうやって感想を書くのであれば、もう一度見て演目に対する解像度を高めたいと思ったからです。

実際、座る位置によって見える景色は全然違いました。
この話については次回の記事で話します。

なにはともあれ…良い出会いに恵まれ、幸の多い小倉初観劇になりました。

これからもストリップに、そして今回出演された踊り子さん方に注目していきたいです。



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