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FXで100日後に億り人を目指すまつりちゃん【第2話】リスクリワードをコントロールせよ!


「言われたとおり、3日間は何もせずに休んだか?」

「は、はい……。相場だけをじっと眺めていろだなんて、美味しいごちそうをただ眺めている気分でしたよ」

「1日で4万円近く溶かしておいて、何がごちそうだ。
”休むも相場”という格言もある。負けて不安定な精神状態で取引するより、休んでいる方がはるかにマシだ。損をする可能性がこれっぽっちもないんだからな」

「それより、休んでいる間に課していた宿題は終わったのか?
”自分がどうして負けたのかを分析しておけ”――そういったはずだが」

「もちろんです! 私が負けた原因、バッチリわかりましたよ!」

「それは頼もしいな。では、聞かせてもらおうか」

「神です」

「……は?」

「ですから、神が私を負かそうとしているんです。
取引を20回以上やって、15回ぐらいはマイナスでした。
上がるか下がるか1/2なはずのに、この勝率はおかしいです。
つまり、神様が私を殺そうとしているんです」

「…………」

「ひょっとしたら、どこかの大金持ちが私の部屋を監視していて、私を苦しませてその様子を楽しんでいるのかもしれません。
そうだ師匠! この部屋に隠しカメラがあるか、まずは調べてみましょうよ」

「……なるほどな。
お前が負けた原因は明確だ」

「それはな、


『リスクリワードの管理ができていない。』

これに尽きる」

「リスク……? リワード?」

「リスクリワードは、過去の損切り時のマイナスと、利確時のプラスの割合だ。例えば、損切り1000円に対し、含み益2000円なら、リスクリワードは2になる」

「……お前の取引履歴を先ほど見たが、このリスクリワードが0.2だ。つまり、お前は2000円勝つために1万円損をする取引を毎回やっている。そりゃ、回数が重なれば負けるに決まっている」

「な、なんということでしょう……」

「だいたい、勝率が50%なわけがないだろう。
お前が言っているのは『ギャンブルは勝つか負けるかしかない。だから半々だ』ぐらいの、もっとも愚かな理論だ。
ギャンブルに限らずだが、ド素人が参戦して勝率50%なんてありえない。
そんな考えで挑んでいる時点で、お前の勝率は0%だ」

「う……ぐっ」

「次に、高いロットをやめろ。
ロットを高く持つより、低い方が安定して勝てるようになる」

「高いロットの方が、勝ったときの利益が大きいじゃないですか。
それなのに、低い方が勝てるようになる……?」

「それがさっきのリスクリワードの話につながる。
お前の取引履歴を見ると、わずか0.2pipsの損が出ただけで損切りしている取引がいくつもあった……なぜだ?」

「いやぁ、ゴールドってすごいんですよ。一瞬の動きで数千円動くから、気が気じゃなくて……」

「原因その2がそれだ。
1pips未満の動きなんて、予測できるわけがない。値動きっていうのは上下に揺れるのが基本なんだから、そんなわずかな揺れで損切りなんてしていたら、負けるのは当たり前だ。精神衛生上も冷静でいられなくなる」

「まずは四の五の言わずに、俺の言ったとおりにやってみろ。
今のお前は、なんで負けたのかもわからんまま無駄に金を減らしているだけだ。なんの糧にもなっちゃいない。
俺の教えた通りに取引し、そこから学べ」


「……はい。すみませんでした」

「……とはいえ、俺の言ったことを1つだけ守っていたな。

『必ず逆指値をいれろ』


それを守っていたからこそ、かろうじて退場は免れている」

(ふっ、説教ばかりしても仕方ないか)

「少し出かけるぞ。準備をしろ」

「あ、はい! 了解っす!」

(どこに行くのかすら尋ねない。
俺を信じ切ってやがる……
純粋なのか、単純なのか。そんなところまであいつにそっくりだな……)

…………

「うまいっすね、ここのラーメン」

「俺の行きつけの店だ。外すわけがないだろう」

「師匠……色々ありがとうございました。明日から、またがんばってみたいと思います」

「ああ……」



トレード2日目。
目標金額まで、あと30,38919円


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