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Claris FileMaker Server 19の機能強化および互換性に関する変更点

こんにちは、エミックの松尾です。Claris FileMaker 19が先週発表され、FileMaker Serverという製品名がClaris FileMaker Serverに変更されました。今後Linux版が出荷される予定であることが明らかになりましたが、バージョン19のClaris FileMaker Serverにはどのような機能が追加されているのでしょうか。今回の記事では、Claris FileMaker Server 19の機能強化および互換性に関する変更点について記しています。

Linux版のClaris FileMaker Server 19が今後出荷予定

プレスリリースでは今後追加される機能の1つとしてLinux版のClaris FileMaker Server(以下、FileMaker Server)が用意されることが明記されていましたが、現時点ではまだ正式版として発売されているわけではありません。

詳細については前回の記事をご参照ください。正式版が発売されてからになるかもしれませんが、Linux版については別の機会に解説したいと思います。

Claris FileMaker Server 19 ヘルプでの記述

Linux版が登場すること以外に、バージョン19ではどのような機能追加があったのでしょうか。Claris FileMaker Server 19 ヘルプでバージョン19の新機能について確認したところ次のように記載されていました。

FileMaker Server では、Claris FileMaker プラットフォーム全体で信頼性、パフォーマンス、スケーラビリティ、およびセキュリティをサポートする多くの機能強化が行われています。

残念ながら、ヘルプには新機能や変更点の詳細は特に記載されていませんでした。しかしながら、ナレッジベースに掲載されているClaris FileMaker Server 19 リリースノートで詳細を確認することができます。

Windows Server 2019に正式に対応

ナレッジベースの記事によると、FileMaker Server 19ではWindows Server 2019に正式に対応しています。一方で、バージョン19ではWindows Server 2012のサポートが終了しています。

これにより、Windows Server版のFileMaker Server 19でサポートされているオペレーティングシステムは、Windows Server 2019 Standard Edition、Windows Server 2019 Datacenter Edition、Windows Server 2016 Standard EditionおよびWindows Server 2016 Datacenter Editionとなっています。

なお、macOS版のFileMaker Server 19については、macOS High Sierra 10.13がサポート対象外になっています。

Claris FileMaker WebDirectでカードウインドウに対応

バージョン19では、FileMaker Pro 16で追加された機能であるカードウインドウスタイルをClaris FileMaker WebDirectでも利用できるようになっています。

これに伴い、FileMaker WebDirectにおいて、Get(ウインドウスタイル)関数でウインドウスタイルがカードであるかどうかを判定できるようになり、Get(ウインドウ左位置)およびGet (ウインドウ上位置)関数がカードウインドウである場合のみ機能するように挙動が変更されています。

さらに、株式会社ライジングサン・システムコンサルティングの岩佐さんが公開している動画を見てみると、Claris FileMaker Pro 19の新機能と組み合わせることで、Claris FileMaker WebDirectが大幅に進化したことが分かります。この動画は非常に興味深いので是非ご覧ください。

Admin APIで暗号化パスワードの保存に対応

FileMaker Server 19では、Claris FileMaker Admin APIでデータベースが暗号化されている場合に入力する暗号化パスワードを保存できるようになっています。これにより、Admin APIにおいてもfmsadminコマンドのopenコマンドで利用できる--savekeyオプションに相当する機能を利用できるようになりました。

その他の改善点や変更点

バージョン19では、複数のODBC接続使用時のパフォーマンスが向上し、同梱のOpenSSLがバージョン1.1.1dに更新されています。バージョン1.1.1系統のOpenSSLはバージョン18.0.2以降で同梱されていましたが、Claris FileMaker 19 セキュリティガイドにはTLS(Transport Layer Security) 1.3に対応しているかどうかに関する記述は特に見当たりませんでした。

その他にバージョン19では仕様が一部変更されている点もあります。バージョン18で追加された起動復元機能が初期状態では無効になっています。また、TopCallStats.logおよびClientStats.logファイルの環境設定が保持されるようになり、FileMaker Serverを再起動した後で最長呼び出しの使用状況およびクライアントの使用状況を都度有効にする必要がなくなっています。

サポートされるクライアントに注意

FileMaker Server 19でサポートされるクライアントは、Claris FileMaker Pro 19、FileMaker Pro 18 Advanced、Claris FileMaker Go 19、FileMaker Go 18、iOS App SDK 19もしくは18を使用して作成されたiOSアプリケーションおよびClaris FileMaker WebDirectとなっています。

バージョン17のFileMaker Pro AdvancedやFileMaker Goから接続できなくなっているので、その点には留意する必要があります。

まとめ

Claris FileMaker Server 19の機能強化および互換性に関する変更点について解説しました。FileMaker Server 19ではWindows Server 2019に正式に対応し、Claris FileMaker WebDirectでカードウインドウやJavaScriptによる拡張に新たに対応しています。Admin APIやODBC、セキュリティ関連などで機能追加や改善が行われている一方で、バージョン19ではWindows Server 2012やmacOS High Sierra 10.13がサポート対象外となっていたり、バージョン17以前のFileMaker Pro AdvancedやFileMaker Goから接続できなくなっていたりします。バージョンアップする際には事前に使用状況を調査する必要があるでしょう。





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