Claris FileMaker Server 19.2に対応したfmcsadmin 1.2.0を公開しました
こんにちは、エミックの松尾です。Claris FileMaker Admin APIを用いてGo言語で実装したコマンドラインツールであるfmcsadminをGitHubで公開していますが、Claris FileMaker Server 19.2.1およびClaris FileMaker Server for Linuxに対応したfmcsadmin 1.2.0を先日公開しました。今回の記事では、fmcsadmin 1.2.0の新機能と変更点について記しています。
fmcsadminの概要
fmcsadminはサーバー管理者向けのコマンドラインツールです。コマンドラインインターフェース(CLI)でFileMaker Admin APIを操作し、FileMaker Serverに付属するfmsadminコマンドと同様の使い勝手を実現します。
当初はFileMaker Cloud for AWSでfmsadminコマンドを使用できない問題を解決するために開発しましたが、現在では標準のfmsadminコマンドにはない機能としてリモート管理機能を備えている点が特色となっています。
fmcsadminは、オープンソースソフトウェアとしてGitHubで公開しており、無料でご利用いただくことが可能です。ライセンスはベータ版ではApache License, Version 2.0でしたが、バージョン1.0.0以降ではMITライセンスに変更しています。
fmcsadmin 1.2.0の新機能
昨年12月にFileMaker Server 19.2.1の提供が開始されましたが、当該バージョンのFileMaker ServerではFileMaker Admin APIの機能が拡張されていました。FileMaker Server 19.2.1でAdmin APIの機能が拡張されたことを受けて、今回fmcsadminを更新した次第です。
fmcsadmin 1.2.0では、FileMaker Server 19.2.1およびFileMaker Server for Linuxに正式に対応し、プラグインの一覧を表示およびSSLサーバー証明書を管理できるようにしました。また、スケジュール設定を削除するためのdeleteコマンドも新たに利用できるようにし、FileMaker Server 19.1.2以降でサーバーの設定を変更できない不具合も修正しています。
プラグインの一覧表示にはlistコマンドを使います。使い方はfmsadminコマンドと同様で、使用例は次の通りです。
fmcsadmin -u USERNAME -p PASSWORD list plugins
CSRファイルの作成やSSLサーバー証明書のインポートおよび削除処理を行う場合にはcertificateコマンドを使います。使い方はfmsadminコマンドと同様であり、細かい解説はここでは省略します。
スケジュール設定を削除するdeleteコマンド
FileMaker Server 17でFileMaker Server Admin Consoleが刷新されましたが、当該バージョン以降ではAdmin Console上で確認できなくなっているスケジュールタイプがあります。
具体的には、メッセージスケジュールとデータベースの検証スケジュールの2種類がFileMaker Server Admin Console上で設定内容を確認できなくなっています。Admin Console上では確認できないものの、これらのスケジュールタイプはバージョン17以降でも引き続きサポートされており、fmsadminコマンドやFileMaker Admin APIを使用すれば設定内容を確認することは可能です。
ただし、スケジュールの削除についてはFileMaker Admin APIを使用する必要があります(2021年2月現在)。fmsadminコマンドでスケジュールを無効にすることはできますが、不要になったデータベースの検証スケジュールを削除したい場合には、fmcsadmin 1.2.0で追加されたdeleteコマンドを使うとよいでしょう。
スケジュール設定を削除するには事前にスケジュールIDを確認する必要があります。スケジュールIDを確認するには“fmcsadmin list schedules”を実行すれば確認できます。もしも削除したいスケジュールのIDが2である場合には、次のように実行することで当該スケジュールを削除できます。
fmcsadmin -u USERNAME -p PASSWORD delete -y schedule 2
(2021年8月22日追記:2021年6月に提供が開始されたClaris FileMaker Server 19.3.1においてFileMaker Server Admin Consoleで再度データベースの検証スケジュールを作成・管理できるようになっています。)
Apple Silicon Mac上ではRosetta 2経由で動作
2021年2月現在、fmcsadminはApple M1チップ上ではRosetta 2経由で動作します。現時点ではApple Silicon Macにネイティブ対応していませんが、バージョン1.3.0でUniversal BinaryとしてApple Silicon Macに正式に対応する予定です。公開まで今しばらくお待ちください。
まとめ
fmcsadmin 1.2.0の新機能と変更点について解説しました。Claris FileMaker Admin APIを用いてGo言語で実装されているfmcsadminは、FileMaker Cloud for AWSでfmsadminコマンドを使用できない問題を解決するために誕生したオープンソースソフトウェアです。バージョン1.2.0では、Claris FileMaker Server 19.2.1およびClaris FileMaker Server for Linuxに正式に対応し、プラグインの一覧を表示およびSSLサーバー証明書を管理できるようにしました。また、スケジュール設定を削除するためのdeleteコマンドも新たに利用できるようになっています。fmcsadminは、リモート管理にも対応していて、Linux、macOSおよびWindowsでご利用いただくことができます。
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