写真__8_

新月に狙っても「満月に不満足」

新月に狙って満月に達成というリズムが、一般に言われています。

一度ゼロになったエネルギーが満月に向けて充填して、満月から次の新月に向けてエネルギーを放出していくという理屈です。占星術上での新月とは、太陽と月が同じサイン同じ度数にあることですが、おおよそ2週間後の満月時に、太陽が新月時と同じサイン上にあるのはマレですね。たいてい、満月になったときは、太陽は次のサインに移動していることが多いので、テーマである太陽の狙いは、達成の満月時には次のサインに移動していて次のサインの意図を達成していることになります。

この原理を最初に聞いたのは、松村潔氏の講座か練習会かなにかのときだったのですが、これを聞いてさらに占星術が好きになりました。狙ったものが次々と手に入るわけではなく、手に入ったときにはもう何を狙っていたのかすら忘れている。星の影響は無自覚無意識に降り注ぐので、いちいち自分の感覚で満足を手に入れることは、新月と満月のリズムにおいてはさほど重要ではなく、忘れているけれど意図は達成し、達成した時には次のフェイズにテーマが移動しているというのが、人間の生活活動には合っていると思うのです。

そもそも2週間程度で狙って手に入ることとは何か。ほとんどが生活の繰り返しの中での習慣により入手できることなのではないでしょうか。先月まで無理だったことが今月なんとかなっている、出会うべき人とつながって、自分の役割をはたしていく。その繰り返しで次々と私たちは先に進むためのテーマを見つけて人生のコマを進めていきます。

毎日毎日が同じ繰り返しのようでも、季節が変わり、気分もやるべき日常の支度も始末も変わっていきます。空調の効いた都市的な暮らしの中では、支度も始末も変わり映えがなく、時間経過に自分の気持ちをのせていくモチベーションは落ちて行きます。南国の島暮らしで四季はさほど変化がなくても、昼と夜のメリハリはあり、活動と非活動のリズムはきちんとついています。台風や嵐の時期もありますよ。そんな中での月の満ち欠けは、地上という環境の中で生きていくリズムを作り出して行くのです。

月は常に目先のことに揺れ動き、揺れ動くからこそ、新しい何かに手をつけようとする。生き物としては、じっと動かないでいることで安心を得るのは眠りのときだけで、意識は忙しく次の一手を狙っているというわけです。もっと大きなくくりで、ネイタル天体が何かを狙い、準備をそれなりにしていたとします、その準備済みのネイタル天体に新月・満月が直撃したときは、具体的に「うわぁ」ということが起こりますよ。準備がない場合は、準備のための何かをスタートさせるきっかけになったりはするのでしょうね。

さてさてサインの初期度数で新月が起こると、満月も新月と同じサイン内の太陽で起こります。これは、満月時の達成感がよりわかりやすくラッキーだと言われています。新月のテーマが、ちゃんとテーマがずれないで満願になるという理屈です。満月時、月は太陽と180度反対のサインにあるので、太陽サインの持っていない性質を月のサインで完全補填!ということで達成感が得られた!という実感があります。

2014年8月25日の乙女座の新月は、9月9日に満月になります。新月と満月、同じ乙女サインでいいですね、と私もニコニコとなってました。でも待って!乙女座の満月ということは、180度対抗の月は魚ですね。ということは、今回の満月は「予想外」ですよ。

乙女座は自分の能力だけできちんと完璧に最後までやり切る!というのがテーマのサインです。他者は常に自分の完璧性を自分で確認するために存在しているので、反対側の魚サインは乙女側からみると、自分の予定外の予測不可能事態を取り込んでくるです。簡単にいうと新月の狙いは、予定の枠からあふれてだいなしです。

数年前の子どもの中学校のPTAの活動で、合唱祭に参加したときのことを思い出しました。子どもたち主体の行事ですがPTAも1曲参加する習わしです。当日のためにピアノ伴奏を引きうけた会員さんの指導で練習日が複数回。仕事持ちの人も多いので夕方の時間帯に都合をつけて集まり、ピアノのある教室を借りて練習します。最初はぎこちなかった歌声も、上下のハモりパートに分かれて練習、合わせて練習を数度繰り返し、後は本番を残すだけという仕上げの段階では、そこそこのママさんコーラスになっていました。で、当日はなんと練習にまったく参加していない教職員の皆さんや客席にいる子どもたちも一緒に歌うのね!知らなかった!全然、あのハモりを完成させた意味ないじゃん!という闇鍋みたいなステージに!膝からがくーんと崩れそうになったのですが、生徒さんたちが、ものすごく楽しそうで、なんとアンコールもやるほども盛り上がり。これが乙女の準備を台無しにはするが、魚が加わることで乙女が創造もしなかった豊かな展開をもたらすという実例です。

こういう例だと、乙女の新月が満月時に天秤ー牡羊にずれたなら、もう乙女新月のときの「自分の能力でできる限りの完成」を目指したことは、忘れているんだと思います。今回の9月9日の満月は、乙女が自分の計画を忘れていないまま、魚の混沌が持ち込まれるという楽しさがあります。

いや、それ楽しさなのかな、ちょっと自信ない。

満月図のアセンは蠍。ひとつに目的を決めて集中することになったようです。蠍の支配星は火星と冥王星。火星は1ハウスにあり、この集中していくテーマの強調です。冥王星は2ハウスにあり、自己保存の現場(金銭、稼ぎ)を山羊座的な社会のシステムサイズに合わせることをあきらめません。そのために11ハウスにある天秤座の水星にスクエアのアスペクトを取り、いつかやろうと先延ばしにしていた技能の作り替えに対してプレッシャーを与えています。

この次の満月は、魚の見せるイメージの介入で、もう一ランク上の技術目標を設定するような出来事が起こる、と読めますね。個人のチャートで満月のオポが個人天体にアスペクトしていますか?もしくは、どのハウスに入っているでしょう?

乙女座の新月は、自分の技能磨き、満月の達成には具体的に「これをやらないと」という目的感が手に入るという流れです。魚の見せるイメージは、乙女から見ると予想がつかないという意味でモンスター。

きれいはきたない、きたないはきれい、というのはマザーグースですが、影のない光は「死」を意味します。光と影はセットで「現実」を作ります。乙女と魚のオポジションは、いつもそんな感じです。



ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?