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体を持って生きていること
どの本で読んだのか思い出せないのが惜しいけど、ひとつ大切に思っている言葉がある。たぶん哲学者の池田晶子さんの本だったと思う。
その本では「なにが私を私たらしめるのか」について色んな角度から突き詰めていた。生きるとは何か、死ぬとは何か。死ぬと私は消えるのか。肉体が消えると私が消えるのなら、私は肉体でしかないのか…。
いろんな考えのあとに、「私」は記憶や思い出が形成する、という一つのアイデアが浮上する。ということは、未来の技術で人の記憶を身体の外に保存できたら、その人は肉体が消えても生き続ける?
じゃあなぜ身体が必要なんだろう、という疑問が湧いてきた時に、その本では、身体が無ければ陽の光の暖かさや風の心地よさを感じられないと書かれていた。読んだ時、それだ!と思った。
人間が愚かにも戦争ばかり繰り返して、身体的にも精神的にもお互いに傷つけ合い続ける。経済を成長させる意味はもう感じられないし、何かを作ろうと思ったらほとんどのものはすでに作られている。なんのために生きてるんだろう?
そういうことを考えてしまう時、私は陽光の暖かさや風の心地よさを感じるためだろうと思うことにした。少し細かく言うなら、物語を読んで涙が流れる、素晴らしい絵の前でため息を漏らす、家族に触れる、悲しくて胸が締め付けられる、そういうこともまた生きる意味だろう。
来年も、生き延びていきましょう。今年1年ありがとうございました。
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