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1.トランプ政権から学ぶ民主主義について

 こんにちは!最近、アメリカ大統領選挙がとても話題になっていますね。アメリカの今後については多くの人が固唾を飲んで見守っているところでしょう。

 さて、アメリカ現大統領であるトランプ氏については、様々な批判の声を耳にしますが、その代表作として、『ON TYRANNY』(by TIMOTHY SNYDER)という本があります。この本の面白い点は、トランプ政権を比喩してはいるのですが、一度もトランプ氏の名を用いないこと。「私たちは過去の歴史から何を教訓にすれば、暴政を防ぎ、民主主義を守っていけるのか?」ということをテーマに、それぞれの章で教訓が示されています。私が今授業で扱っている本なのですが、とても読みやすく面白いので、皆さんにも少し紹介していきたいと思います。

”1 Do not obey in advance.’’~先回りして服従するな~

 第一章はこのテーマから始まります。筆者は、「人間は、権威者の考えを忖度し、権威者が求めている以上のことを捧げようとする」と言います。ナチス政権下におけるドイツ人らがその一例です。なぜそのようなことが起こるのかはよくわかりませんでしたが、人は、新しい環境やルールに簡単に順応してしまうのだそうです。

この章では、「アイヒマン実験」が例として挙げられています。この実験は、1961年にミルグラムが行ったもので、「ある条件の下では、人は誰でも残虐行為を行ってしまうのか?」ということを検証したものです。被験者Aは、被験者Bに電流を流す装置を渡されます。被験者Bは、電流が流される演技をしているだけなのですが、もちろんAは本当に電流は流れていると思っています。それにも関わらず、被験者Aは、被験者Bが死亡するまで電流を流し続けました。

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 要するに、人は、自分に求められていることならいくら残虐なことでもこなしてしまうわけです(ミルグラム効果)。いくら倫理観を持っていると主張する人だとしても、環境が変われば、いくらでも人は変わり得ることになります。

”5 Remember professional ethics.”~専門家としての道徳心を忘れるな~

 もう一つ印象に残っているのが、第5章です。専門家は、人より知識を持っているからこそ、良くも悪くも簡単に人々に影響を及ぼし得ます。”Professional ethics must guide us precisely when we are told that the situation is exceptional. Then there is no such thing as "just following orders".(非日常的な状況において、職業倫理は我々を正確に指南するので、「命令に従っていただけだ」なんてことはあり得ない。)とあるように、知識を持つものは、それだけ慎重な行動をとる必要があります。以下は、職業倫理として定義されている例です。

・正直さ
・インテグリティ(完全性・高潔性・真摯さ・誠実さ・一貫性)
・透明性(隠し事をしないこと)
・アカウンタビリティ(説明する義務とそれに対し責任を負うこと)
・守秘義務
・客観性
・相手に対する尊重・尊敬の念
・順法(いわゆるコンプライアンス)
・忠誠心               (Wikipedia より引用)

これから私たちは学んだことを生かして社会に貢献していくわけですが、それらが悪い方向に利用されないよう、倫理観を保ち続けていきたいですね。

今回は以上になります。次回はもう少しわかりやすく面白い記事になるようがんばります。