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いきもの素人がモグラの種類を見分けるには

 「『年寄りは説教と自慢話と昔の話だけはするな』というけれど、その3つを話さなかったら僕には下ネタしか残ってない」と、忘年会で研究者のT師匠は嘆いていたが、私はまだ大学生なのに下ネタしか話せない。困ったものである。

川で拾った意外なもの

 先日、水生昆虫の観察会を開いたのだが、川で水生昆虫を探している最中に、参加者の一人の高校生が「やばいもん見つけました!!」と言いながらこちらに走ってきた。いったい何を見つけたのかと見てみると……

モグラの死体だった。
 すかさず参加者から「何モグラですか?」「コウベモグラかえ?」「モグラが川でおぼれることはよくあることなんですか?」と質問が飛び交ったが、私はモグラについては何も知らなかったので「モグラのおててかわいい」としか言うことができず、参加者の質問に答えることはできなかった。

ぱっと見でモグラの種類を見分けるのは難しい

 観察会が終わった後、知り合いの研究者、T師匠にそのモグラを持っていった。T師匠は色々な生き物の研究をしており、モグラも研究対象の一つだったからである。
 T師匠はモグラを手に持つと
「持った感じコウベモグラですね。四国にはコウベモグラとアズマモグラしかいないんですけ、アズマモグラの方が腸が小さくてちょっと軽いんです。目安としては、卵の重さより少し軽いとアズマモグラって感じです。」
 と教えてくれた。
 見た目だけだとどうやって判断するのかを聞いてみたところ、
「コウベモグラの方が体がちょっと大きいんですけど、決定的なのは上顎切歯突出度って言って前歯と犬歯の長さが……ってマニアックすぎるよね 笑」
 と言っていたので、見た目ではあまり分からないのかもしれない。

見た目の違いが分からなければ生息場所で

 家に帰って学研のフィールドベスト図鑑『日本の哺乳類』でモグラを調べてみたのだが、場所によって生息しているモグラの種類はかなり限られていることが分かった。
 見た目で種類が分からなかったらとりあえず生息場所で判断しとけばいいということだ。以下にだいたいの場所とその場所に住むモグラの種類を紹介する。

北海道……モグラは存在しない。
東日本と紀伊半島……ミズラモグラかアズマモグラ。アズマモグラの方が圧倒的に多いので、とりあえずアズマモグラと言っとけば当たる。
佐渡島……サドモグラ
越後平野……エチゴモグラ
西日本(紀伊半島以外)……アズマモグラかコウベモグラ。コウベモグラの方が圧倒的に多いので、とりあえずコウベモグラと言っとけば当たる。
九州……コウベモグラ
屋久島と種子島……ヤクシマモグラ
沖縄……モグラは存在しない。
尖閣諸島……センカクモグラ

 モグラの種類を知っている人は少ないので、このモグラ早見表で自分の住んでいる場所のモグラの種類を覚えておけば、いざモグラを見かけたときにイキり散らかせるだろう。
 しかしこのモグラ早見表、西日本と東日本の境界線や具体的なモグラの分布までは書いていないので、図鑑で調べるなりなんなりして自分で調べてみると良いかもしれない。


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