叛逆おもろいよね

ほのか 「よっ!」
ゆき 「・・・」
ほのか 「久しぶりー!どう?元気にやってる?」
ゆき 「・・・うん。」
ほのか 「そっかそっか!まぁ元気が一番、幸せが二番ってね。諸説あるだろ
うけど。」
ゆき 「お姉ちゃん、変わらないね。」
ほのか 「ん?そりゃそうだよ。私は私。ここは譲れないね。」
ゆき 「そういうもんかな?」
ほのか 「そういうもんでしょー」
ゆき 「そういうもんかー」
ほのか 「・・・どしたの?なんかあった?」
ゆき 「ん・・・」
ほのか 「・・・ん?」
ゆき 「あのねお姉ちゃん。」
ほのか 「おう、どうした私の愛する妹よ?」
ゆき 「私結婚するんだ。」
ほのか 「おっとー!!夫が出来るってかー!」
ゆき 「そう、夫が出来ます。」
ほのか 「あたしに義弟が出来るってかー!」
ゆき 「そう、おとうとが出来ます。」
ほのか 「そかそか、いやーめでたい!おめでとう!」
ゆき 「ありがと。喜んでくれるんだ。」
ほのか 「そりゃそうだよー。当たり前でしょ?」
ゆき 「当たり前か。」
ほのか 「あんたには迷惑かかっちゃったかなーって思ってたからね、来てくれて嬉しいよ。」
ゆき 「だからね、聞いておきたいの。」
ほのか 「ん?何?」
ゆき 「私、ちゃんと聞きにきたんだよ、お姉ちゃん。」
ほのか 「あんたの頭にちょっと腫れてるとこがあるってこと?」
ゆき 「えっ、なんで知ってるの?」
ほのか 「いやだってそれ、あんたがこんなちっちゃいときにあたしがブランコから落としちゃって、それでついたやつだから。」
ゆき 「まじか。」
ほのか 「うん、まじ。結構血も出ちゃって私もあんたもずっと泣いてて、死んじゃったらどうしようって思った。」
ゆき 「知らなかった・・・」
ほのか 「聞かれなかったから。ごめんごめん。」
ゆき 「いやもういいけど、って違う。そんな話じゃない。」
ほのか 「あら?違うの?」
ゆき 「どうして、あんなことしたの?」
ほのか 「あんなこと?」
ゆき 「お姉ちゃんがここにいる理由だよ。」
ほのか 「理由ねぇ。」
ゆき 「ずっと考えてたんだよ。でもわかんなかった。だからちゃんと聞きたい」
ほのか 「まぁ、あんたにはわかんないかもねぇ。」
ゆき 「お姉ちゃん私ね、進んでいきたいんだ。だから知りたいの。知ったうえで、お姉ちゃんの妹として、ちゃんと飲み込んで生きていきたいんだよ。殺人犯の妹です。でも姉は間違ってないですって。」
ほのか 「いやあんた死ななかったじゃん。」
ゆき 「私じゃない。その話もういい。」
ほのか 「もういいの?」
ゆき 「・・・よくない。」
ほのか 「あんたにはわかんないと思う。」
ゆき 「ちゃんと話してよ。」
ほのか 「話すも何も。」
ゆき 「・・・」
ほのか 「んー・・・」
ゆき 「・・・」
ほのか 「あんた頑固だからなぁ」
ゆき 「出直してきてもいいけど?でも毎日くるからあんま変わらないよ。明日言おうが今日言おうが。」
ほのか 「んー、仕方ないか。」
ゆき 「・・・」
ほのか 「私が殺したの。」
ゆき 「・・・うん。」
ほのか 「私があの子を殺して、だから私はずっとここにいる。これでいい?」
ゆき 「・・・よくない。」
ほのか 「なんでよ、あんたが聞きたいって言ったんでしょー。」
ゆき 「そんなのが聞きたいんじゃない。」
ほのか 「そんなのってなんだそんなのって。」
ゆき 「お姉ちゃん嘘ついてる。」
ほのか 「はぁ?ついてないよ。」
ゆき 「誤魔化さないで。わかるよそんくらい、妹だもん。」
ほのか 「・・・」
ゆき 「お姉ちゃんは、殺してない。」
ほのか 「・・・」
ゆき 「どういうこと?このままだと一生ここにいるんだよ?それでいいの?」
ほのか 「・・・いいんだよ、それで。」
ゆき 「よくないでしょ!」
ほのか 「・・・」
ゆき 「・・・」
ほのか 「あんたが思ってるほど、あたし良い人じゃないよ。」
ゆき 「良い人だろうが悪い人だろうが、私はちゃんと知っておきたいだけなの。」
ほのか 「・・・」
ゆき 「そんなに、憎かったの?」
ほのか 「憎くはない。」
ゆき 「じゃあどうして!?」
ほのか 「だから言ってるんだよ。あんたには理解できない。憎い以外に人を殺す理由が見当たらないあんたには。」
ゆき 「・・・わかんないよ、なんだよソレ。」
ほのか 「楽にしてあげたかったの。」
ゆき 「・・・」
ほのか 「誰だってさ、逃げたいときってあるじゃない?でもね、逃げられない人だっているんだよ。」
ゆき 「そんなこと、お姉ちゃんが決めることじゃない。」
ほのか 「うん。そうだね。あたしがもう見てられなかったの。辛くてさ。」
ゆき 「・・・」
ほのか 「自分じゃもう動けなくなっちゃったあの子を見て、あ~、なんでこんなことになっちゃったんだろう、私に出来ることってもうないのかなって。今ならまだ助かるかもしれない、でも助かったところでどうなんだろう、もっと辛いだけなんじゃないかなって、だから・・・」
ゆき 「・・・だから」
ほのか 「私が終わらせたの。」
ゆき 「・・・」
ほのか 「私が、殺したの。これでいい?」
ゆき 「・・・うん。」
ほのか 「・・・ごめんね。ガッカリさせちゃって。」
ゆき 「・・・いや。」
ほのか 「もう行きな。んで、もう二度と来なくていい。私のことなんてもう忘れちゃっていいからさ。」
ゆき 「・・・うん。」
ほのか 「じゃあね。」
ゆき 「・・・お姉ちゃんは殺してない。頼まれたから自殺を手伝ったんじゃないかって思ってた。お姉ちゃんバカみたいに優しいから。優しいし、思い込み激しいから。ちょっと違ったけど、でも、うん。納得できた。私の大好きだったお姉ちゃんが、ひとを傷つけたんじゃないって納得できた。」
ほのか 「・・・おんなじだよ。」
ゆき 「違う。」
ほのか 「なんにも変わらない。あたしが金目当てだろうが、恨んでようが・・・あたしのエゴだろうが結果はおんなじなんだよ。」
ゆき 「・・・結果は、そうだね。」
ほのか 「どんな理由でも、あたしはもうずっとここにいて、ここで終わる。・・・あの子がいないってことは、あたしにとってどんなことよりもどうでもよくなることなんだ。」
ゆき 「うん、わかった。」
ほのか 「来てくれて嬉しかった。さようなら。」
ゆき 「・・・また来るよ。」

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