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「オマージュ」と言っておけば、パクりは正当化することができる便利な言葉

スコッチでもバーボンでもない

スーパーの酒コーナーの棚で、見覚えのある角型のガラス瓶が視野に入ってきました。

画一的な形状が多いスコッチウイスキー(シングルモルト)の瓶と違って、アメリカンウイスキーのボトルには個性があります。

そのウイスキーとは、黒地のベースに白抜き文字が特徴的な“ジャック ダニエル”ブラックです。

アメリカンウイスキーの中で、1番メジャーなラベルかもしれません。

マッシュビルがトウモロコシ80%、ライ麦8%、大麦麦芽12%という比率の“ジャック ダニエル”はバーボンウイスキーの一種ですが、テネシーウイスキーでもあります。

(コーンを80%使っていることから穀物配合はコーンウイスキーの要件も満たしていますが、焦がしたオーク樽で熟成させるのでコーンウイスキーには該当しません)

テネシーウイスキーを簡単に説明すると、バーボンウイスキーの一大産地ケンタッキー州産ではなく、ケンタッキーをライバル視しているお隣テネシー州産のウイスキーで、尚且つサトウカエデ(カナダ国旗の中央に、その葉がある樹木)の木炭でろ過(チャコール・メローイング)したバーボンのことです。

昔ながらの製法と現代のハイテク機器をミックスした“ジャック ダニエル”の製造過程が、よく分かる動画を見つけました。

ウイスキー作りに興味がある人なら、職人たちの仕事っぷりに思わずいいねボタンを押したくなることでしょう。

45分ほどあるので、ヒマな夜にでもウイスキー片手に観てみてください。


1863年、蒸留所オーナーのコーン牧師からウイスキー製造の事業をわずか10代(出生記録が火災で消失しているため、正確な年齢が不明)で引き継ぎ、1866年に現在の工場敷地内にある水源を含む300エーカーの土地を取得したジャック少年は、自身の名をつけたウイスキーを市場で売り出し始めます。

ただの不登校ユーチューバーゆたぼんに、各方面から「中学校行け!」とお叱りの声がでてますが、時代は変われど同じ年ごろですよΣ ゚Д゚≡( /)/エェッ!

実業と虚業の違いこそあれ、なにが正解か?が分からない。

1904年にはセントルイス万博に出品されたウイスキーの中で唯一の金賞を受賞し、名実ともにアメリカを代表するウイスキーになっていくのでした。

フランク・シナトラを筆頭に、多くのミュージシャンに愛飲されていることも、“ジャック ダニエル”のストーリーを強固にしていく材料になりました。


でも、陳列されているボトルをよく見るとなんか違う…



ポリシーは、あるか?

この世には意図せず似てしまうことがあり、また意図して似せてしまうこともあります。

意識した程度ならまだしも、やり過ぎて訴えられるケースもありまして…


前職で、飲食チェーン大手のモンテローザが経営している東京の居酒屋店長をやっていた同僚がいて、そのブラックっぷりは聞いていてあきれることばかりだったのですが、今回は労働基準法の話ではなく、運営する店舗の不正競争防止法の話です。

モンテローザの『パクり』疑惑は、

白札屋白木屋

和民魚民

月の雫月の宴

すしざんまいすしざむらい

いきなりステーキカミナリステーキ

塚田農場山内農場

などは、Amazonで売っている雲上時計のロゴだけは違う『オマージュ時計』みたいなかわいい方で、

目利きの銀次目利きの銀次

は、そのまんま感満載の“ロレックス”の『コピー時計』レベルの悪質さ。

日本では、和歌山市の喫茶店を訴えたコメダ珈琲のように、トレードドレス保護される事例は少なく、訴訟問題に発展しても落としどころは『和解』になることがほとんどです。

モンテローザの社長が言っていたらしいのですが、「流行っている店を見つけて、それをブラッシュアップして出店する」と。

それまでのモンテローザの悪行から、このようなやり方に「けしからん!」と世間様に叩かれるのですが、これはなにもモンテローザにかぎったことではなく、日本で時価総額が1番高いあの優良企業もやっている手法なのです。


有名な話では20年ほど前、“ホンダ”ストリームの人気ぶりを傍で見ていた“トヨタ”が、満を持してウィッシュを投入しては販売力のあるディーラーで売りさばき、ストリームは潰されました。

あと分かりやすいところでは、

エルグランドアルファード

とか。

『後出しじゃんけん』しても、勝てなければ批判されることはありません。



パッと見ジャック

棚に並んでいる四角柱のボトルは、見慣れた“ジャック”よりも一回りスリムで、『JACK DANIEL'S』ではなく『ZACKARIAH』と書いてあり、『Old No.7』のロゴの場所には『HARRIS』の文字が。

誇らしげに『TENNESSEE WHISKY』と記してあるオリジナルと比べて、『KENTUCKY STRAIGHT BOURBON WHISKEY』と書いてあるので、これは正真正銘バーボンです。

ちなみに、バーボンでもライでもコーンでもアメリカのウイスキーは、スペルにを入れるのが普通(ほかの地域のウイスキーは、入れないのが普通)ですが、テネシーだけは銘柄によって入ったり入らなかったりします。


世界で1番売れているアメリカンウイスキー、“ジャック ダニエル”の雰囲気だけ寄せた“ザッカリア ハリス”と名づけられたそのバーボンは、よくあるパターンの創業者の名前じゃないので、ハリスさんが作っているわけではありません。

オマージュ商品は本家よりも割安で、このバーボンも千円ちょっとと“ジャック ダニエル”の半値程度しかしない最下層バーボンなので、マズさに悪態でもついてやろうと飲んでみたら…そこそこ飲めました。

もちろん、ストレートやロックで飲む勇気はないので炭酸割りですが、個人的にはほかの千円台廉価バーボンよりもバーボンらしい味がすると思います。

普段飲みには最適な“ザッカリア ハリス”のドーパミン放出は、68%

とくにアメカジ古着が好きで、ブランド名には左右されずコスパを重視している人は、セルフブランディングに統一性が増すのでオススメのバーボンです。

ウイスキーのボトルなんか、クリスタルでできているような超高級品でもなければ高いか?安いか?は銘柄で判断するしかなく、知名度がないということは、逆にチープなのが周りに悟られづらいメリットがあります。


ネット上には、“エヴァン・ウィリアムス”にも似ているとの声がありました。

“エヴァン・ウィリアムス”も有名なバーボンウイスキーですし、たしかに細いボトルは“ジャック ダニエル”よりも酷似していますが、イメージ的に「黒地に白文字のラベルといえば、ジャック ダニエル」なのです。

本日のキーワード。

「◯◯といえば◯◯」



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