祈り人
早乙女太一くんから、突然電話をもらいました。
今度、映像を作ろうと思うんだけど、やって?
「わかった!で、何するの?」
映像の監督。一緒にやろう!映像は任せた。僕が踊りは作る。
そこから始まった1ヶ月弱。
頭はパンク寸前。早乙女太一くんとは、もう太一くんが17歳あたりからの友達。
私が写真家として、太一くんの写真集やドキュメンタリーを作ったり、
私が女優として一緒に舞台をやったりした制作仲間なのです。
まずは、太一くんと構成を考え、振り付けを決めて、衣装を決めて
稽古、稽古、稽古。
私はカメラワークを考え、太一くんの構想を脚本に起こし、
とにかくやれることはなんでもやりました。
心配性とせっかちなのもあって、ぐわわわ〜〜!って音がなりそうに。
助っ人で頼んだのが、CM監督の柿本ケンサクくん。
柿本くんに誰か良い映像カメラマンいないかな?って聞いたら「僕やろうか?」
えええ〜?まさか〜?だってめちゃ有名な演出家だし、、絶対言うこと聞いてくれないでしょ?
って言ったら、『聞く聞く。』だって。それならではとお願いしたら
でも、聞くどころか叱られっぱなし、、。「無理、だめ、やれません」
やりたいことは沢山あっても予算がないとできないから、、。と。
頭のイメージがどんどん予算によってしぼんでいく、、。なんだよ、出来ないじゃん!
スタジオが高い〜とか、スローモーションのカメラ入れたか、ステディカム入れたら
また高くなる〜〜。それで太一くんからの要望もこれとこれやるから。
ええええ、、間に挟まれた私は、あっちに行ったり、お願いしたり、最終的には泣いたり。
でも結局、柿本くんに教えてもらわなかったら大変な事になってた。サスガです。持つべき友だな、ありがとう!って感謝感激。
撮影日。撮影は1日しかない。
撮影監督の柿本ケンサクくんが、「プレゼント持ってきたよ〜」と見たら
すご〜〜いクレーン!!マジか!!!!
さすがです。あんだけ怒られたのに、最後は優しいのね。うふふ
撮影スタート!もう目がいくつあっても足りない。
画が足りなくなるような失敗は、、、と思っても時間がない。
次から次に撮影していかないと、間に合わない!!
バレンタインデーも近かったし、美味しい少し高いお弁当を50人分差し入れたのに、
誰からも「ありがとう!」も言われず、、、弁当食べる時間もないってくらい、、。必死。でも誰か一言、笑。いや、それどころじゃないでしょ。
あー!責任がガツーーんと押し寄せる。ここにいる才能溢れた皆様を背負って、、。
早乙女太一くんは、もう踊りすぎて、脳内麻薬が出てる感じでフラフラとしていました。
酸素ボンベを吸いながら、フラフラ。5キロくらい一気に痩せたみたい。
大丈夫かな?
どうにか時間ギリギリで撮影終了!
やりきった!とにかくやりきったぞ!!えらい!すごいぞ!太一えらい!柿本くんチームがいてくれて良かった。こんな豪華な撮影した事なかったよ。
しかし、まだまだ終わりじゃない!編集が始まります。ここからが、私の仕事!イキリ巻いてたけど、仮編集は編集さんにやって貰わないと時間もないし、監督はその後が仕事と言われ、エンジン全開を落ち着いて、とにかく素材とのにらめっこ。ものすごい踊りをカメラで追うのはものすごく大変だったようで、長いシーンがない。これは困った。さーてどうやって編集しよう。
でも、ズーーとカメラの中で必死で踊っている早乙女太一くんを見ていたら、なんだか神々しくて
神聖な気持ちになってきた。
素晴らしいな、、。
今回のストーリーの祈り人だ。
『 日本では古来より人々の幸せを祈るために、人形が作られてきました。
「い の り」の語源は、呼吸 生命であリ、呼吸を響かせ、生き抜くことであります。心に火を燃やし、自分自身と戦う 心臓の音が鳴り響くことなのです。』
太一くんの舞は、まさしく、心臓の音が聞こえてくる。
編集作業というものは、とても大変でめちゃくちゃ時間がかかります。
何回も、何回も見ながら、音と画を繋いでいく。
使えない俳優はきっと、編集段階で「この役者は絶対次は使わない」って監督に思われるんだな〜と実感。
だってそれくらい演者の動きをひたすら何時間も見て編集すんだもん。
逆もあって、演じる人が素晴らしいと、何時間見てても飽きない。なんどもなんども同じシーンを見る
音と動きをきっちり合わせながら、編集するのはまた大変。
素晴らしい編集さんの腕があったから、私の永遠に続きそうな要望に応えてくれた。
撮影に入る前に、自然の映像や音を撮影しに地方に行っててよかった。
使えないだろ=な。と思ってた映像が使えた!
よかった〜。
寒い中、這いつくばって、湖の映像を撮って、怪しい森の中にカメラ持って入って行った。
光を頼りに、森を歩く。迷子にならないように、、。
火を庭で起こし、焚き火を撮影した。めちゃくちゃ寒い時期で手が震えた。
寒〜〜!
これ以上着込めないくらい、ぐるぐる巻きにして撮影した。
お、使えそうだ!売り画像も探したけど、やっぱ祈りが入ってない。
画像には、祈りがあるかないか、、やっぱあると思う。
早乙女太一くんは、昔はめちゃくちゃ無口だった。まあ、17、8歳だったから、仕方がなかったのかもだけど、反抗期?
でも、今でも大人嫌いがあるみたいで、私と大して話しをしてくれない。
自分では昔と変わって話せるようになった。とか言うけど、そうは思えない。嫌われてんのかな、?
性格は変わってないのだ。性格なんて変わらない。私も15歳の時からずっと同じだもん。
だから、こうしたいのかな?とか、、嫌なんだろうな?とか想像で理解する。聞かないと、自分から話してくれない。う〜〜ん。
でも、インタビューだと色々話してくれる。どんだけシャイなんだ。
だから私はメイキングついでに、関係ない事も色々聞いてみてた。家族の話とか
子供の話。これは外には出せないかもだけど、とっても面白かった。
「今は幸せ」って言ってた。離婚とかして寂しくないの?とか辛くないの?とか
どうにかネガティブな話しを聞き出そうとしたけど、
いたって前向きで「幸せ。子供のために頑張れる」ってお父さんぽい事も言ってて
やっぱ、会ってない間に成長してたんだな〜と思う。私は何を成長したかな?、、。
しかし、太一くんの振り付けや大勢の中のドンとしての才能はすごい。普通はどんな人にも優しいし、モナリザの微笑み、じゃないけど太一微笑み。で。でも違う時は無言で黙らせるっていうか。圧で皆んな黙る。凄い。やっぱ大勢の中で生きてきた大衆演劇の座長だから。チーム作りはさすが。私のようにジタバタしない。29歳、偉いな〜
ギリギリまで編集をして、それでも時間がなくて、、、でもやれるだけはやった。
こんな頑張った作業は近年なかったな。
楽しかった。生きてるって感じがした。
いろんな事をしたいのに、外に出て行くきっかけがなかった。意外にシャイだし、。
だから、コロナだったし。どんどん引きこもってると、どんどん鬱になって、、。
自分が嫌いになりそうだった。
でも2021年はなんか最初から違うって思ってた。
年女でもあるし。
今年から風の時代に入った。もう地固めはOK、これから飛び立つのじゃ!
そんな時期だったから、太一くんが私を誘ってくれた事がとても嬉しくて、どうにか期待に応えたいと思って必死だった。
撮影を終えた後も、ずっとテンション上がってる。(笑)
でももうエネルギーたまった!
さ〜〜て、これからはドシドシやるぞあ〜!作品残すぞ!
時間と予算の中で、よく頑張ってやった!と自分に褒めてあげたい作品になりました。欲を言えば、もちろん後悔も反省も色々あるけど、でもその時の今を必死に撮りました。
そうやって出来上がった作品です。よかったら見て欲しいです。
(ストーリー)
日本では古来より人々の幸せを祈るために、人形が作られてきました。
「い の り」の語源は、呼吸 生命であリ、呼吸を響かせ、生き抜くことであります。
心に火を燃やし、自分自身と戦う 心臓の音が鳴り響くことなのです。
文化庁「文化芸術収益力強化事業」を受託したヤマハ株式会社が、演劇・伝統芸能・音楽・博物館などの文化芸術団体と ともにスマホアプリ「おもてなしガイド」http://omotenashiguide.jp/を活用し、自宅からオンラインで芸術を楽しむ新しいスタ イルの実証実験を開始しました。
その一作品として早乙女太一プロデュース「祈り人」映像作品が選出されました。
監督は早乙女太一と、女優・写真家の松田美由紀が共同で務める。
早乙女太一が原案、振付、構成をを担当し、松田美由紀が撮影プランの演出、編集を担当しています。
視聴の販売は20日18時から3月31日まで
https://vimeo.com/ondemand/gwmgsyxn
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