吾輩は迷い猫である⑤　アニマルコミュニケーター

吾輩は、迷い猫である。
名前は、梅。
前回の飼い主は、なかなかに愚かだった。
そして今日、さらに愚かに磨きをかけるのである。
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皆さんはアニマルコミュニケーターをご存知でしょうか。
動物と心で会話する人です。
TVなどにも出ることがあり、実はたくさんいます。

私は普段はスピっていない方です。
日刊スポーツ0学占いを参考にする程度です。

しかし、動物病院の先生に、アニマルコミュニケーターのDさんを教えてもらいました。
先生の犬も2回脱走し、いる方角が当たったそうです。
気が動転しているし、獣医のオススメだし、
掴む藁は多い方がいい精神で、Dさんにお願いしてみました。

Dさんは東京にはいないので、梅の写真や基本情報をメールしたあと、電話しました。
電話しながら梅に話しかけるとのことです。

「集中します……梅ちゃん…………
あ、反応ありました。生きてますね。」

「梅ちゃん、おなか空いてない？……うん、すごく空いてるって。どっか怪我してない？……大丈夫だよって言ってます。」

良い知らせなんだけど、根拠がなさすぎて…
まぁ悪い知らせよりいっか。

「あのね、飼い主さんがすごく心配しているよ。……あ、心配しないでって言ってますね。
……梅ちゃんは臆病というよりも慎重な子ですね。うん、元気そうです。」

心配しないでだと！？！？
しかし梅っぽい気がする。あいつはクールなメスなんです。

「脱走地点からみて、東から南東にいかないくらいまでの、50m…反応ない、100m…あ、反応ありました。50〜100mにいるみたいです。」

えー結構遠いな…。地図に50,100mの同心円を書き入れます。

目撃情報がほしいので、梅に念じてもらいます。

「あのね梅ちゃん、できるだけ人に見てもらうようにしてね。……うんわかった、と言ってます。」

そんな感じで終了です。
なんとも掴みどころのない藁でした。

ついでに探偵が不安なんだという話を泣きながらDさんに話すと、

「飼い主さんが不安だと猫にも伝わりますから、落ち着いてくださいね。今の探偵さんはできることをしていると思いますよ。」

急にまともすぎるアドバイス！！

最後のアドバイスだけでも有意義だったかもしれません。
料金は50分17000円くらい。時間は小分けにできます。
迷子に限らずペットの気持ちを知りたいときに利用できるみたいです。

完全に信用してるわけじゃないけど、数日梅を見ていないし行方が皆目検討つかず、ほかに拠りどころもありません。

その日から、なんとなく、東の猫目撃情報は重点的に調べたり、
南東のあやしい地点にカメラを置きまくったりし始めたのでした。

⑥へつづく