旅の終わりを決めたとき

僕は自転車で日本一周をしている。北海道を出発して沖縄へ。そしてさらに北上して現在地は秋田県。

僕はここで自分の旅の終わりを決断した。

長く旅をするにつれて、スタイルも変化していった。
義務感で行く観光をやめ、夕日や星空を眺め、自分の限界を知るためなのか、高い峠に登る。
そんな日々を繰り返していくうちに段々と走れなくなっている自分に気がつく。乗鞍峠や渋峠も超えたし、向かい風の山陰を500km走破もしたのになぜ?マシントラブル?

そうではない、僕の気持ちがもう自転車で旅をすることを拒否していたのだ。近くに感じていた100kmの道のりも果てしなく遠くなり、坂道では簡単に諦め足をつく。どうしてしまったのか。
その答えは僕よりも7つも下の男の子が教えてくれた。

彼らとは新潟県を北上中にすれ違った。19歳と20歳のコンビチャリダー。僕が初めて自転車旅をしたのも彼らと同じ歳のとき。全てが新しく、輝いて、自分は無敵に思えた。
完全に若気の至りだけれども、あの時を凌駕する高揚感は未だかつてない。そして目の前にいる若者達はおそらくあの頃の自分と同じものを、今の自分には手にできないものを持っている。

それから抱えていたモヤモヤは走っていく時間とともに消えてゆき、秋田のキャンプ場から星空を眺めながら決断に至った。

自分はもう次のステップに進む番なんだ

秋田市についたら居酒屋へ行って、翌朝のフェリーに乗り込んで北海道へ帰ろう。自分で始めたこの旅を終わらせてあげよう。

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