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電気の仕組みはこう変わった。〜電力システム改革の混乱〜 第一回「電力システム改革の概要をおさらいする」

今年の春、電力システム改革の総仕上げとして、発送電分離が行われた。

如何なる変化にも混乱はつきもの。

しかし、現場を見つめていると、まともに理解していないことが非常に多く、電力会社の都合によって変わったのではないかと勘違い極まりない声も耳にする。

反発を恐れずに指摘するが、
全ては第二次安倍内閣により2013年4月2日に閣議決定されたものであり、我々有権者の責任である。筋違いなことはやめてもらいたい。

ここで、電気について2013年の閣議決定から今年の春までにどのような改革がなされたのかをできるだけ噛み砕いた上で複数回にわたり解説しようと思う。

第一弾「広域的な送電線運用の拡大」

2011年に発生した東日本大震災。
福島第一原発が津波などにより被災したことから、各地の原発が相次いで停止されたことにより一気に電力需要が逼迫した。特に、東京電力管内は発電能力を上回る需要が一時見込まれ、計画停電をしていた。
通常このケースでは近隣の電力会社同士で連携して融通をしあっていたのを国が一括で指揮をとることができるようにしたものだ。
これにより、停電リスクを減らすという効果がある。

第二弾「小売の全面自由化」

電力システム改革の要となる改革で、

北海道エリア→北海道電力
東北エリア →東北電力
関東甲信越エリア→東京電力
北陸エリア →北陸電力
中部エリア →中部電力
関西エリア →関西電力
中国エリア →中国電力
四国エリア →四国電力
九州エリア →九州電力
沖縄エリア →沖縄電力

従来は上記の通り地域毎の電力会社がワンストップで電気のサービスを行なってきたが、これに他業種からの参入ができるよう自由化をしたのが「小売自由化」である。

参入してきた主な業種は携帯電話などの通信業、ケーブルテレビ局、不動産管理業、石油小売業、自治体との三セク方式による法人、商社などだ。

各社とも自社サービスとのコラボレーションで囲い込みに躍起だ。しかし、仕組みを理解していない事業者や消費者が多く、そのとばっちりは既存の電力会社に跳ね返ってくる。これはたまったものではない。

第三弾「送配電部門の中立化」

送配電部門とは言わば「電気の運送会社」だ。
各小売事業者からの依頼に基づき、電気を届けるための電線や電柱、鉄塔、変電所といった設備を活用して家庭や工場に送るもの。
これまでは、既存の電力会社が兼業していたものを独立化したものが最後の総仕上げとして発送電分離と呼ばれるものだ。
各社とも分社という形で切り離したが、沖縄電力についてはこの例外とされた。
離島が多いため、分離をすると沖縄電力として成り立たないことが理由のようだ。
https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/030_09_00.pdf

今回は、電力システム改革のアウトラインをわかりやすく解説をしてみたが、如何だろうか。

次回は、生活に密着した内容に触れていく。





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