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VOL. 16 詩:タイムラインの明日

君の声に隠された 世界線の気まぐれに
気付かなかった沈黙は 暗闇が照らす十字架

霞み取り出す十字架は 夢裡の旅路の欠片かけらのように
透き通っていく沈黙は 淡い光が覆っていく

ぶり奏でる戻れぬ道は 夢中の霧へと悠久に
永遠とわに溶けゆくまだ見ぬ場所は 煙雨に紛れ駆けて行く

硝子に浮かぶ自分が今 二人に鼓動を言い聞かせ
過去と未来の被膜が今 二人を揺らし続けている
あの日の冷たい風が今 二人を優しくくるんでいく

そう もう手を離さなくてもいいんだ


あたしね 言えなかったことがあるの
信じてくれたことが嬉しかったって
いっぱい いっぱい 嬉しかったの

あったかい光があたしを包んでくれてるの
もう手を離さないでね ずっとこのまま
夢から覚めてもどうか気付かないで

あたし 先生に会えて本当に良かった
そばにいることしかできなかったけど
でも……約束は守れたかな……

うん あたしは大丈夫 だってずっと一緒だから


止まった時計の針を動かすよ

希望も絶望も不安も寂しさも安息も あの日のことは
晴れの日も雨の日も風の日も雪の日も あの時のことも

もう少し時間を進めよう
星空に花が咲くように
群れの中で逸れないように
その花を枯らさないように

僕を見つけて手を振って 笑って大きく手を振って
ねり教室を出た君は 二段飛ばしで駆け降りる
校庭を斜めに突っ切って 鞄を抱いて走って来るんだ
僕の名前を呼びながら 精一杯の声で呼びながら

そう もう名前で呼び合ってもいいんだ

さあ行こう 心配いらないよ
今度は僕が約束を守るからね


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