始末に負えない

これってさあ
こういう風でいいと思う❓

深夜のオフィス
同僚がモニターを睨みながら
ぼくを呼びつける

入力待ちの文書は
カスタマー対応報告書
始末書のことだ

あんたこういうの得意でしょ？

文書作成に秀でる期待では
毛頭ない

始末書と言えばアイツだ
不名誉極まりない称号
“やらかしのアイツ“
ねぇどうやって書くの？
他部署から電話がかかってくる
こともある
「なんでぼくに聴いてくるわけ❓」
「だって、課長があの人なら詳しいって言ってましたから」

始末書を辞書で調べてみる

“事故を起こした場合に、事実の経緯・顛末を上司または官に提出する文書“

始末書に詳しい
ぼくはしょっちゅう“事故“を
起こしているとみなされているらしい

“事故“が目立つのは認めよう
だが言わせてもらえば
“もらい事故“であったり
理不尽なカスタマー
お客とは呼べないクレイマーとの
闘いの末に不意打ちを
食らったものばかりで
よくやったと褒めてもらいたいくらいだ

カスタマー対応報告書
ビジネス文書みたいだが
つまりは反省文
あんたは会社に迷惑をかけたんだから謝んなさい

文書の検印の欄には
上司、管理本部長、役員、社長の
枠がある

コイツらにこれを書かされてる
悔しさはわからないんだろうな
“適切な“用語を選び、組み立て
推敲し、“謝罪“を表明する
読んでる方は、　
またコイツか、ふーん

何の感慨もないだろう　

それでも、一方的に頭を垂れるのは我慢ならないので、
“行間“に
おれは悪くないぞ
組織に不利益しかもたらさない
ごくつぶしを退治しようとしたんだ
売られた喧嘩を買っただけだ
そもそも、反撃してもいいかは
上役に了解とってあるんだぞ
オレの話しも聴けよ

カスタマーからの苦情内容
苦情が寄せられた原因
どう対応したか

もう何度も書いているから
サラサラと書ける
うん、過不足なく書けた
悪くない
懲罰的な意味あいで書かされて
いるのに悦に入る自分は
どうかしてる気もする

上司コメント欄をみると
ガッカリする

どんな理由であろうと
節度を持って対応するべき

おいおい
ちょっと待ってくれよ
難癖をつけて、支払いを踏み倒す
誰もが手を焼いていたクレイマー
だぞ
節度がないのは相手の方
誰もリングに上がらないから
打ち合った部下に
もっとお行儀良くだと⁉️

怒り心頭を通り越して
やるせないのは

文に愛がないから

もっと要領良くやれよ
おまえが問題起こすと
オレの出世に影響するんだよ
面倒くせえなあ

始末書のアイツは
始末に負えないわけだ

要領のいいやつが勝ちさ
森重樹一が叫ぶ歌は
何だったか

ふん、負け犬の遠吠え
でも心意気はウルフ

飼い犬、野良犬、忠犬
ZIGGYのマケイヌでも聴こう
要領よくなんてくそくらえだ
どうかしてるんだろうな