舞う
舞う
四温かな詩集ひらいて栞おく
逝く人を見送るように春の風
白塗りの舞踏家桜散るままに
花水木寛解という手形もち
百年の壺をかかえて梅を干す
羊歯萌ゆる宇宙のどこか森あるか
畔青む爺のステップ早くなる
薫風やマイムマイムの手が離れ
青胡桃勝気なわたし取りもどす
菖蒲園マチスのダンスみた後に
西瓜抱き天下無敵の子どもたち
かき氷知らない町の猫なつく
居るだけでパワハラになる皇帝ダリア
重陽や弓射るように子を放ち
百年の後に芽を出せ胡桃生る
紅葉かつ散るピナ・バウシュの鎖骨かな
穭穂や元に戻らぬ過去がある
かんころ餅玄界灘の血が流れ
岩戸開き面をはずして見る雪間
冬すみれ遺品のひとつは白い羽
※2024年7月 草笛年次大会にて「草笛賞」の優秀賞となった。
「草笛賞」は該当者なし。選者の方が「精進して、来年は草笛賞をとるように言っていたよ」と事務局の人が教えてくれたけれど、どう精進していいのかわからない。この20句も2、3の句に1週間ぐらいでつけたしてイメージをつくっていった。それはそれで面白かったが、選者先生方の選に入るとは思っていなかった。
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