2023年を振り返る

2023年はとにかくいろんなことをやってみた1年だった。
普段腰が重い自分にとっては珍しいことだったので、せっかくなので記録に残しておく。

2月 坊ちゃん嬢ちゃん第2回公演「ドッペルゲンガーちゃん」

所属劇団の坊ちゃん嬢ちゃんで、久しぶりに公演を打った。
坊ちゃん嬢ちゃんは、劇団綺畸の同期仲間で卒業公演を打つために結成した劇団だ。つまり2014年の2月以来、実に9年ぶりの公演ということになる。
活動再開のきっかけは、2022年のゴールデンウィークに行った同期との飲み会で、誰からともなく酔っ払った勢いで「ねえええもう一回やろうよおおお」と言い出したところから企画がスタートした。飲酒もたまにはいい仕事をする。
同期ともう一度演劇を、という目的のほかに個人的にもう一つやりたいことがあって、それは主催者という立場で公演をやってみることであった。
学生時代から役者の経験しかなかったので、10年以上演劇を続けているにも関わらず公演というものがどのように立ち上がりそして本番を迎えていくのか全体像を把握していなかったのである。
というわけで平日は仕事をしつつ右往左往しながら主催業を進め、休日は役者として丸2日稽古に勤しむ生活をしていた。
自分で選んだ道とはいえなんてマルチタスクだ。普段からこのスタイルの劇団を尊敬する。若干発狂しかかった頃に本番がやってきた。
小屋入りしてからは私の小さいキャパではもうとりあえず役者に集中することしかできず、いろんなことをスタッフさんにぶん投げてしまったが、無茶振りにも関わらずスタッフさん達は全てを完璧にこなしてくれた。なんてありがたいんだ。
役者3人だけの小さい小さい舞台だったが、なんとかやりたいことができたと思う。やってよかった。

本番1時間前、作演に「ごめん!演出3つ変えていい?」と告げられた瞬間を収めた写真

3月 昇進

会社で昇進し、中間管理職の役割を担うことになった。
主に能力が追いついていないことと、演劇と両立できるかの2点が心配で打診を受けてからグダグダと悩み続けていていたが、「別にやってみてダメだったらやめればいいだけの話じゃん」と家族に言われ、そう言われてみればそうだなと思い謹んでお受けすることにした。自分がかなりの小心者のため、身内にこういうスタンスの人間がいてくれると助かる。
ここまでやってみて、なんとか演劇と両立はできている。よかった。
能力は全く追いついていない。何も分からないままにひたすらに走っている。そろそろ何か一つでいいから分かりたい。

4月 結婚式

静岡にある三嶋大社で神前式を挙げた。
自分にとって昔から馴染み深い場所であったことや、交通の便が良く遠方からの参加者もアクセスしやすいことなどから、大社で式をやることに決めた。
それにしてもコロナやらなんやらで入籍してから結婚式まで丸一年ほどかかってしまった。
親族だけの小規模な式であったが準備はそれなりに大変で、リモートでプランナーさんと打ち合わせしたり、会場に飾る花の営業を受けて「全部一番小さいので」と答えて花屋のやる気を無くしたり、現地に足を運んで鰻などを試食していたらあっという間に本番が来てしまった。
本殿前での写真撮影が式のサビだったため、晴れるかどうかが肝だったが、ピンポイントで見事に雨予報で死ぬかと思った。

本当に結婚式当日だけ雨予報だった。親に「お前の行いが悪いからだ」と言われた

当日は執念で晴れ、無事に式も写真撮影も済ますことができた。神様ありがとう。
やってみての感想としては、非常に月並みだが、親に晴れ姿と元気で楽しくやっているところを見せることができて良かった。

5月 結婚パーティー

普段お世話になっているお友達の皆さんを呼んでパーティーをした。
会場は月島にあるレストラン「月島スペインクラブ」。義理の父の昔からの行きつけのお店で、貸切もできるそうだよと紹介してもらった。
開放感がありながら集団ごとに会話も楽しめそうな造りが良いなと思ったのと、何より酒と飯が最高なことから会場に決定した。
結婚パーティーは全て自分達で企画運営することにしたので、強力な助っ人として何人かの演劇仲間にお願いし最強の幹事軍団を結成した。
幹事軍団の皆さんは本当に協力的で頼もしかった。足を向けて寝られない。その節は本当にありがとうございました。
おかげさまで準備は割と順調に進んでいったが、盲点だったのが衣装だった。
お互い強いこだわりがなかったため手配が後手に回ってしまい、ようやく衣装屋に目星をつけて試着の予約ができた頃には、もうその日に衣装を決められなければ裸一貫で会場に向かうしかないくらい本番ギリギリだった。
会場中を動き回る予定だったので「動きやすいドレスをお願いします」と矛盾したオーダーをして衣装屋さんを困らせつつも、なんとか決定した。
当日は本当に楽しかった。ご参加いただいた皆さんに楽しんでもらえたようでありがたいし、「もう一回やってほしい」という感想をたくさんもらってそれも嬉しかった。
私だって金と時間が許せば何回だってやりたい。次は盛大に生前葬とかやろうかな。

名物の巨大なパエリアがぐりとぐらのパンケーキのように運ばれてきた。なお自分は海老アレルギーのため食べることができない

8月 劇団ダブルデック第11弾「2020ネンマツ?」

劇団ダブルデックの4年ぶりの公演に参加させてもらった。
ダブルデックは、劇団綺畸のOBOGによる劇団で、綺畸時代から計7回ほど出演させてもらっている。
久々のダブルデックの公演ということで気合は十分だったが、4年ぶりのデックに身体と心がついていけるか心配だった。
稽古が始まると、稽古場にはびっくりするくらいいつも通りの皆さんがいた。作演出のゴロ六郎さんは「芝居の作り方忘れた」と言いながらいつも通り演出を付け、役者陣はいつも通りゴロ六郎さんの演出に「なんで!?」と言いながらも喜んで演じていた。
4年間でそれぞれ環境は激変したはずなのに、変わっていないことがなんだか嬉しい。
本番は椎名町にあるシアター風姿花伝で行われた。いつか立ってみたいと思っていた憧れの小屋だった。風姿花伝の板上で、バキバキの音響照明の中で演技する時間、最高だったな。
今回、劇団員の皆さんがご家庭とお仕事と芝居の三足の草鞋を履きながら公演を成功させている姿は、自分にとって希望だった。(自分なんかには想像もできないような大変さが当事者の皆さんにはあったと拝察しつつ。)
私はこの劇団の皆さんを尊敬している。自分たちがやりたいことに貪欲で、いつでもやれる方法を探して実行しているからだ。
まだまだ背中を追いかけさせていただきます。

後ろの人は何役の人なんだ?

10月 劇団美辞女2023「美女〜もしもし編〜」

ダブルデックの稽古が始まった6月ごろ、劇団美辞女の主宰の一人であるワタナ・ベリヨから、美辞女の公演を10月にやるので出演してほしいです、と声をかけてもらった。
2020年「ひみつうらない?」以来、3年ぶりの美辞女。ダブルデック終了後間髪入れず稽古開始、準備期間は約1ヶ月、こちらもまたパワフルな演技体が特徴…果たして自分にできるのか?と3分ほど葛藤したが、出演することにした。だって出たいから。
今回の劇は女だけのコメディということでコンセプトを聞いた時からワクワクだった。12人の女で構成された稽古場は、それこそなんかの部活の女子部みたいで、どこかしらで常に誰かが喋って笑って賑やかで面白かった。(ちなみにダブルデックの稽古場ではどこかしらで常に誰かが疲労回復のために寝転がっていた。)
みんないいやつでかわいくて、でも全員アマゾネスのようで、狩らなければこちらが狩られるという緊張感があった。今回役者最年長だったが、余裕をかましている暇はなかったので髪を振り乱しながら稽古をしていた。
トピックといえば、やっぱ土マチで演劇人生最大のミスをしたことだね。こんなことってあるんだ。詳細は劇団がまとめてくれた動画があるのでご覧ください。本当に申し訳ありませんでした。

アマゾネスの元気さ、達者さ、たくましさはかなり刺激的だった。負けてられないね。またバトルしたいね!

11月 bo en「Pale Machine 10th Anniversary Live」

今年の出番も全部終了だ〜と一息ついていた頃、Not in service の村岡さんから、「ライブイベントにアナウンサー役で出演できる役者を探しています」といった旨の連絡をいただいた。どういうこと???
お話を聞くに、とあるライブイベントの中で、記者会見という体の寸劇的なコーナーがあって、そこで出演者にインタビューをするアナウンサー役の役者を探している、とのこと。
一体どういった雰囲気になるのか想像もできなかったが、面白そうだったのでもちろん出演することにした。お声がけありがとうございます。
事前に何回か打ち合わせをし、午後休を取って会場に向かった。
代官山のライブハウスには、フロアいっぱい400人のお客さんがいて、普段キャパ100以下の小劇場に立っている自分にとって見たことのない景色が広がっていた。
舞台上で行われるパフォーマンスはそれはもう圧巻だった。出演者の皆さんもスタッフの皆さんも当たり前だけどプロの人たちだ。この中で自分は演技するのかと若干震えた。なんとか出番を終え舞台袖に戻った自分に対して、他の出演者の皆さんが拍手で迎えてくれた。優しい嬉しいありがとうございます。
なんだか夢のようで、でも楽しくて、不思議な一日だった。

まとめ

というわけで、この一年は仕事に芝居にそのほかにと盛りだくさんであった。
たくさん得たものと、そして同時に失ったものもあった。
最後にそれをまとめて終了としたい。

失ったもの

  • 余裕

    • 本当に余裕がなかった。仕事と演劇とその他のバランスを限界ギリギリで保っており、何か一つが狂えば全てが崩れ落ちる確信があった。疲弊により気持ち的にもピリピリしてしまう時期が続いた。これは今後の課題だな、やっぱなにはなくとも体力をつけるところからかな〜

  • 豊かな暮らし

    • 元々家事が嫌いなこともあって優先順位が地の底に落ちた。部屋は50平米のゴミ箱と化したし(ていうか私がした)、忙しさのピーク時は家事どころか風呂に入るのもやっとで、「入らなければ人様に迷惑をかける」とわずかに残った社会性が私を風呂場に駆り立てていた。完全に疲れていた。

    • 特に下半期は出かけても目的地がオフィスか公民館の二択だったため、なんだか四季の移ろいも曖昧であった。少し考えないと今が何月か分からない時があった。

  • 有給

    • 小屋入りを3回したのでそこそこ使った。

得たもの

  • なんとかなるの精神

    • この1年はやってみたらなんとかなったの繰り返しだった。ビビりの自分にとってこの経験はデカい。これからも迷ったらやる。

  • 白髪

    • 元々の髪質もあって20代後半の頃からボチボチ生えてきてはいたが、ここ半年で一気に加速した。明らかに職責の変化による影響だと思う。会社員ってこうやって老けてくんだな〜

  • 友達

    • 演劇活動を通じてたくさん友達ができた。何より嬉しいね。

  • 思い出

    • プライスレス。


以上、若干キャパオーバーながらも本当に楽しい一年でした。お世話になった皆さんありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
2024年も楽しい一年になりますように!


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