マガジンのカバー画像

MEDEL Books

19
マシューが書いた小説や記事が読めます。
運営しているクリエイター

2020年5月の記事一覧

第11話 神隠し

第11話 神隠し

時は遡り1年前の事。
研究所から1キロ程離れた山道を1台の貨物トラックが走っていた。

その貨物トラックには『ピギーズピッグファーム』と書かれている。どうやら養豚場から豚を運んでいるようだ。

時間は早朝5時過ぎ頃。
右は絶壁、左は岩壁。道は細く舗装もされていない離合が難しい程の険しい道を進んでいた時だった。

それは突然起こった。

地震だ。

トラックは横揺れに合いながらもそのまま走行を続けた

もっとみる
第10話 謎の男達

第10話 謎の男達

その頃研究所に一台の車がやって来た。
森林の中にある古びた研究所には似つかわしく無い黒の高級リムジンだ。

その車中には白髪オールバックで口髭を蓄え葉巻をくわえたスーツ姿の紳士風の男性が足を組んで座っている。

黒い高級リムジンは施設入り口の前に横付けで停まった。

するとサングラスに七三分けのボディガードらしき男性2人が車から出てきた。
1人はすらっと細マッチョ系で、もう1人はガッチ

もっとみる
第9話 メデタの父

第9話 メデタの父

「そうなんですか?まさか目から出る涙が昆虫の人化を抑える効果があったなんて!」

「そうなんじゃ。しかもデターの姿に戻ったのは良いんじゃが、言葉はそのまま話せとった。不思議じゃ。」

「えぇ?!覚えた言葉はそのままで昆虫に戻ることが可能という事ですか?これは世紀の大発見かもしれませんねぇ博士!」

「あぁ、これはまさに大発見じゃよ‼︎
そうじゃ、アイちゃん。メデル君の培養液の予備はあっ

もっとみる
第8話 ドングリ募金

第8話 ドングリ募金

そして一方、メデタは給仕室の前に来ていた。
「さっきマーブル博士が出て来たけど何の用事だったんだろう?まぁいいか。」

給仕室の中に入ると、すぐに玉ねぎの匂いに気付いた。「ん?玉ねぎのみじん切り、何でそのままなんだ?博士かな?」

メデタはおもむろにみじん切りにされた玉ねぎを手ですくい匂いを嗅いぐと、なんとなく顔の前でそれを握り潰した。

するとメデタは「あっ!」と声をあげると、メデタの目

もっとみる
第7話 ドングリ豚

第7話 ドングリ豚

一方、研究所の外へと出てきたアイは、施設を取り囲む様に生い茂った森林の中を下を向いて歩いていた。手には大きめのナイロン袋を持っている。

「どんぐり、どんぐり。どこかな~、どんぐりちゃん。」
アイは木の付け根を主に見回しながらドングリを探している。
すると落ち葉の間からドングリらしき物が見えた。

「よ~し!まずは1個目発見したわ!このドングリはコナラね、小さくて可愛い。この調子でどんどん

もっとみる