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レイアウト⑥ レイアウト作業の流れ

■レイアウト(一原)作業はどうやって着手すればいいのか?
こなれた人にはそれぞれやり方があるだろうが、分からない人はこれから説明する手順で作業して自分なりのやり方をつかんで欲しい。

大事なことはアニメーターは絵を描くだけが仕事ではなく、担当するシーンの演出も作業に入っているのを忘れてはいけない。

やみくもに作業するのではなくレイアウト作業には一定の作業順番がある。


1.担当するシーンの内容把握

まずは全体把握。これがとっても重要。

その為に一度ざっくり描き起こし「カット内容」「芝居」「カットつなぎ」「確認すべき事や立ち位置や距離感」「作画のカロリー配分」等々を把握してプランと演出を決めるのだ。

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※この時アイレベルや空間はまだ決定せず、コンテのバランスを重視。
動きまで丁寧に作る必要はない。あくまで作業内容把握のラフ。

コンテには配置してほしいバランスや空間が意図して描かれているのでそれを尊重しつつ調整する為、可能ならコンテを下敷きに描き起こしてほしい。

拡大コピーが無ければ画面分割線によって位置を合わせる事は必要。

どういうことか?
コンテバランスが崩れた参考例を見てみよう。

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コンテバランスは重要なのでまた改めて説明するが、理由なき大きなずれはコンテ無視と同意語になるので気を付けてほしい。

大ラフを起こす時まずはコンテバランスを崩さないように描き起こそう。

2.マスターショットを見つけ出し把握

レイアウト④で説明したマスターショットを見つけ出しここをまずある程度固める。
※ない場合もある。担当ではないシーンが基準となる場合は作打ち段階か、後からでも制作に確認。

3.カットに着手

シーンの流れや諸々の把握が出来てようやく1カット事に着手する。

4.背景原図の影つけ

レイアウト原図の影つけは水色の色鉛筆がおススメ。
鉛筆の腹で塗る人も居るがそれはおススメ出来ない。なぜなら絵が黒くなって線の認識が落ちて把握しずらくなる

5.セルの影つけ

レイアウトラフ原すべてに影つけは必要ない。ただし、原画マン自身がカットでどういった影つけを目指すのかは示してほしい。

その為に一枚は影とハイライトを入れると分かりやすい。カット内で影が変化した場合や印象的な影は都度方針は示すべき。
下の絵を見て貰えれば影のプランを示す示さないで印象は大きく異なることが分かる。

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特に気を付けたいのは逆光やなめ影などコンテにほしい印象的な影がある場合、それを描かないと順光影だと思われてしまう。

6.タイムシート

絵がある程度組みあがればカット単位の作業ごとにタイムシートを書いていくが、レイアウトとタイムシートの関係性は深い。絵を描いて終わりではなく、どう撮影するのかを伝わりやすく指示書きするのだ。

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タイムシートは覚えるお約束が多いので説明はまた別のタイミングで。

7.作業を楽しむ

自分の担当するシーンの中でなにかしらの楽しみや頑張り所を見つける。
まず自身をわくわくさせてみよう。

8.可能なら一日寝かせる

発酵して良い出汁がでるなどではなく、これは一度冷静になって自身の絵と上りに向き合うと荒や修正箇所が見えてくる為。

時間がないと出来ない工程だが可能なら試してほしい。

まとめ

レイアウト作業には一定の作業順番がある。
それらを丁寧にこなしていけば必要な事柄やペース配分も見えてくる。
慣れれば自分なりのやり方も見えてくるかもしれない。

※旧レイアウトシステム(背景原図と大ラフまで描いてタイミングシートがほぼ白紙)のやり方は現在ほぼありません。特殊な作品、または本人希望や(実力が担保されてれば)演出との信頼関係によって行う場合もあります。

自身の為にも作品の為にもレイアウト作業の流れを大切に

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For the glory of Animation

最後まで読んで頂きありがとうございます。小さな知識の積み重ねが力になり、あなたがより自由な表現が出来るよう応援しています!