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運動オンチ

 駆けっこはビリ、野球をやっても飛んできたボールも取れない、それどころかボールを追っかけようとして転んでしまう。幼少の頃から病気がちで気も弱く、人見知りのところがありました。親はとても心配したと思います。子供が成長して思うのはどのような親であっても心配はするものです。また、生まれてくる環境は誰も選ぶことはできません。不幸と言えば不幸で、幸せと言えば幸せなことです。

 体や能力も先代の祖先や親の遺伝子が大きく関わってきますがこれもまた、不幸と言えば不幸で、幸せと言えば幸せなことです。

 物心がついて他人との違いがこれほどまでに違うのかと思い知らされたのが徒競走やボール投げです。要するに走るのが早いか、遅いか。ボールを投げるにしろ、遠くまで投げられるかです。見てる人には一目瞭然でその違いが判りますね。そこで運動オンチとか言われて悩むことになります。

 子供ながら悩むのは大変つらいことだと思うがそれでも何とか生きていかなければなりません。だから運動オンチを克服するため、それなりに努力をしますが思うように体がついてこない。運動に関しては落ち込んで悩むことばかりになりますね。

 私は大の運動オンチで小学校の運動会は嫌いでした。しかし、欠席することなく、良く耐えていたと感心します。運動オンチでしたが運動は嫌いではなかったです。いま思えば下手の横好きですね。

 小学生の頃(昭和40年代)は夏休みに入ると地域の公民館対抗の球技大会があっていました。チームは3年生から6年生の生徒でソフトボールの試合でした。世話役はそれぞれの公民館の大人の方でした。おじさん、おばさんたちが教えて、チーム監督でした。1、2週間の練習を決められた時間に集合して小学校のグランドでやっていました。チームには上手な子もいれば下手な子もいるわけで監督のおっちゃんも最初は遊び半分でも地域の公民館対抗なので勝って面子も立てたいわけです。当然、やる気を出して力も入るわけでそのとばっちりが運動オンチの子に向かうことになります。「へたくそが!」、「バカたれ!」、「なんで出来ないんだ」とか平気で雑言が飛んできます。運動オンチにしてみればやる気をなくして、泣きたくもなります。補欠選手だとほっとしますがチームとして試合のメンバーに選ばれるとうれしくもあり、緊張もします。

 いよいよ試合当日になって、初戦の相手チームの顔を見て一喜一憂することになります。相手のメンバーを見て勝てるぞとか負けそうだとか思うわけです。運動オンチのもっとたる悪いところはすでに気持ちで負けてることです。そう言ったマイナスな気持ちは態度に表れているので運動が上手な選手は見逃しません。

 さあ、ソフトボールの試合が始まると運動オンチは自分のところにボールが飛んでこないことを祈って、早く終わることを願っています。そんな願いもむなしく、打席に立った運動上手な選手は運動オンチな私を狙ってきます。捕球できると思っても緊張と苦手意識で体も思うように動きません、これが運動オンチたる所以なのです。そして、飛んできたボールを捕球できなくて転んで後ろに逃し、泣きたくなるのをこらえて追いかけているのです。打席に入っても上手な子がピッチャーなのでボールも速くて当てることさえできません。毎回、三振で監督のおっさんやチームからはチャンスをつぶしたと、罵声やため息が聞こえます。

 運動オンチは解決します。それは苦手意識をなくし、筋力を付けることです。苦手意識を楽しさに変えることです。それは運動オンチにとって変化を感じて運動の楽しさを知ることです。それが向上心を生み、次第に苦手意識が楽しさになります。どんなに上手な選手でももっと上手になりたいと思っています。試合でミスをしたり、相手に負けると「何故、ミスしたのか」「敗因はどこにあったのか」を分析して、さらに練習をします。上手な選手は悔しさをバネにして、苦しみを乗り越え、試合に勝利することで喜びに変えていきます。そして、大事なのが筋肉量を増やすことです。

 運動オンチの子と上手な子の差は意識の持ち方と筋力が違うと言うことです。だから、お父さん、お母さんがあたたかく見守って、運動やスポーツを一緒にやりながら楽しさを教えることです。どんな子でも上手な選手の真似ができるようになると楽しくなります。まずは運動しながら筋肉を付けることからです。しかし、運動ばかりは続きません、運動に飽きたら休み、また練習をするこの繰り返しが大事ですね。何か一つでも運動が出来ることで苦手意識から楽しさに変わります。

 私が運動オンチなら当然、息子も運動オンチです。さぁ、キャッチボールから始めますか。

 

 

 




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