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プロジェクトXレア File01:蛇皇神帝アスクレピオーズ

プロジェクトXレア

Xレア。
それはバトスピの最高レアにして強いカードにのみ許された称号。しかし、サービス開始から14年の月日を経て星の数ほど生み出されたXレア達は次第にその強さに序列が生まれてきた。
プロジェクトXレアはそのXレアの中でもハズレカード、いわゆる「エッカスレア」と呼ばれるカードの活用法を模索していきたいと思う。
なお、このシリーズは遊戯王Youtuber「あまくだり」氏によるクソカード診療所シリーズのバトスピ版である。

File01:光導Xレアといえばこのカード

今回ご紹介するエッカスレアは、
蛇皇神帝アスクレピオーズ。

筆者が大好きなカード

星座編 第四弾:星空の王者で登場した蛇使い座をモチーフにした光導スピリットである。
アニメ「ブレイヴ」では物語のキーとなる12宮Xレアと同じ力を持つカードとして扱われ、「13枚目の12宮Xレア」という番外とか0番が好きそうな厨二心をくすぐるおいしい立ち位置のカードであり、「背徳のXレア」と呼ばれている。
使用者のイザーズの過去の重さも相まって、終盤に出てきたカードでありながら印象に残っている視聴者も少なくないだろう。
さっそく効果を見ていこう。

9(5)/紫/光導・魔神
<1>Lv1 7000 <4>Lv2 12000 <9>Lv3 14000
Lv1・Lv2・Lv3『このスピリットの召喚時』
系統:「星魂」を持つ自分のスピリット1体を破壊することで、自分はデッキから3枚ドローする。
Lv2・Lv3『自分のアタックステップ』
系統:「光導」/「妖蛇」を持つ自分のスピリットすべては、BPを比べ破壊されたとき、回復状態でフィールドに残る。
Lv3『このスピリットのブロック時』
このスピリットがブロックした相手のスピリットの[ソウルコア]以外のコアすべてをボイドに置く。

非常に個性的な効果ですね(諦)
何が問題なのか順を追って解説する。

問題①激重コスト

軽減が5つあるとはいえ、素の9コストというのが何よりの足かせになる。
大型スピリットはたいてい自身の効果や専用サポートを駆使することで実質的な召喚コストを大幅に減らすことができるが、
開発から愛されている人気系統:光導でもこのカードを出すのは容易なことではない。

頼れる仲間

ピクシスリザードとエリダヌス・ドラゴンを活用することで、コストを5にしつつ軽減を全て満たし0コストで出すことは可能だが、
アスクレピオーズをフィールドに出す"だけ"の手間にこの2種類のカードをデッキに入れる余裕はない。
更に、コスト9というのが災いし、紫属性で重量級スピリットの召喚をサポートしてくれる偽りの地下帝国にギリギリ対応できないという悲しい結果となっているのも不運といえるだろう。

問題②代用可能な召喚時効果

①の課題をクリアして使える召喚時効果は味方星魂をコストにした3枚ドロー。
ドロー効果が豊富な紫でも1度に3枚ドローできる効果は限られているため魅力的ではあるが、その効果も割に合っていない

手札のアスクレピオーズで1枚、フィールドで破壊する星魂スピリット1枚、
計2枚のディスアドバンテージ(手札1枚を消費するのもディスアドと数える)
それに対してのアドバンテージが追加手札3枚、
2:3の比率で純粋なアドバンテージは1枚しか稼げてないのだ。
同じく1アドバンテージを稼ぐならダブルドローを始めとした単純ドローマジックの方が2枚ドローに加え、条件で更なるドローで1:2+αが可能となる。
さらに言えば同じ紫属性にはヴァイオレットフィールドという強力なドローマジックがある。

筆者はこれを見たとき謎の敗北感を味わった

こちらは手札の紫(を持っていれば混色でも可)スピリットをコストに3枚ドローできる4コストマジック。
この時点で星魂を場に用意する手間が必要なアスクレピオーズ以上に手軽で、ドローした後も創界神ネクサスのシンボルを消す妨害効果を持つため、
わざわざ9コストのアスクレピオーズを採用する理由はこの時点で薄れている。

問題③レベル2,3効果のコスパの悪さ

Lv2・Lv3『自分のアタックステップ』
系統:「光導」/「妖蛇」を持つ自分のスピリットすべては、BPを比べ破壊されたとき、回復状態でフィールドに残る。

次にレベル2、3効果だが、実に使いにくい
妖蛇がバトルで負けて破壊されたとき回復状態で復活させるため、相手のブロッカーを気にせず確実にライフを削りに行けるというのがコンセプトであり、
契約編現在ではOCによって下級スピリットでもBPがアホみたいに高くなるので、効果によるビートダウンは狙いやすい。
が、効果以前にそのレベル維持コストが問題である。
コスト9の召喚コストを捻出してようやく出したアスクレピオーズをこの効果で活用しようにもレベル2の維持コストはなんと4。フル軽減で召喚したと仮定したら8コアも必要となる。
紫でそんな余裕は無い。あっても横に並べた方が強い。
この効果はライフダメージを確実に通す効果だが、他に妖蛇にシンボルを追加すると言った相手に負荷をかける効果を持っていないため、「バトルで負けても復活する」だけではコストに見合っているとは言い難い。
加えて、昨今のバトスピでは相手スピリットの攻撃をバトルで防ぐ事はほとんどなく、フラッシュで相手を妨害して攻め札を潰したり、ライフ減少をトリガーにした防御札で早々にターンを終わらせるのが基本である。
そして先程言った維持コストのせいで肝心な妖蛇を横に並べようにもコアが足りずに終わってしまうのが関の山だろう。

Lv3『このスピリットのブロック時』
このスピリットがブロックした相手のスピリットの[ソウルコア]以外のコアすべてをボイドに置く。

レベル3は、バトルした相手のコアを全てボイドに送る「相手スピリットに確実に勝てる効果」。
しかしその代償は維持コスト9と大きすぎる。

実はバトスピでは珍しい「神」サポート

超古代尖兵怪獣ゾイガーを横に立たせて常に最高レベルにするなどの支援を得てやっと実現するかもしれない効果である。何よりこのような目に見えた地雷効果は相手がフラッシュタイミングのカードコストに対象スピリットを消滅させれば簡単に回避される上、何の耐性もないアスクレピオーズがブロック可能な状態まで生き残っている可能性はほぼない。
余談だがなぜ唐突なブロック時ボイドシュート効果なのかというと、アスクレピオーズのモデルである蛇使い座にブラックホールが存在することが理由ではないかと筆者は予想している。

総括

①召喚するまでが手間
②他で代用可能な召喚時ドロー
③割に合わない効果

以上3つがアスクレピオーズの課題である。
③に関しては11年前のカード故にインフレに付いていけず、元々がロマン性能であるため改善が難しいが、
そもそも「ドローエンジン」「妖蛇/光導サポート」「ブロック時確定除去」を1枚のカードに詰め込んだ結果コストが重くなりやりたいことがとっちらかっている器用貧乏カードになったため全部実現させるのは無理に近い。
ドロー枚数そのものは非常に多く、対象が星魂に限定されるとはいえ自分のスピリットを自壊できる点を活用する方向でなんとかデッキに組み込んでいこうと思う。

改善策

改善①召喚までの手間

まず召喚コストを工面しなければどうしようもないのだが、光導の召喚サポートカードの多くは赤属性であることが多く、アスクレピオーズを抱えながら他属性のカードを準備するのはかなり事故率が高くなる。
そこで採用したいカードはビクティムだ。

ヴィクティムはスピリット1体の召喚コストを、1コストにつき手札1枚で賄うことができるマジックカード
軽減シンボルを確保するのではなく、召喚コストそのものを手札で代用可能になるため、召喚するスピリットの軽減を全て満たしている状態で払わなければならないコストも手札で補うことができる。
仮にアスクレピオーズを召喚する際にフィールドに軽減シンボルが5つある場合、手札を3枚消費したとしても、
召喚時の3枚ドローによってヴィクティムによる手札消費をケアすることができるのだ。

改善②場に用意する星魂

次に召喚時ドロー効果を発揮するために破壊する星魂スピリットだが、現在の環境で通用する星魂カードはかなり限られてくる。自壊させるため、召喚時効果持ちか破壊時効果持ちが手っ取り早いだろう。
そこでドローコストとして筆頭候補に挙がるのはリバイバル版ジャイナガン(以下ジャイナガンrv)だろう。

真の仲間
Lv1・Lv2・Lv3『このスピリットの破壊時』
相手のスピリット/アルティメット1体のコア2個を相手のリザーブに置く。

破壊時にスピリット/アルティメットのコア2個をリザーブにおけるため、アスクレピオーズを召喚するターンに限らず、序盤から場に出すことで相手の動きを牽制できる。
更に、コスト5の【不死】と白軽減を持つことから、コアブーストと白シンボル確保を両立する宵闇の蛇王アルベリヒとは抜群の相性を誇る。
アニメ「ブレイヴ」でもアスクレピオーズの召喚時効果を発揮するトリガーとなっており、ジャイナガン自身もそれを前提としたカードとして開発された部分があるため、やはり公式の提示した組み合わせは正しかったといえる。

今日からズッ友

改善③多角的なアドバンテージ

改善①②によってアスクレピオーズ召喚までの手順は踏めたが、これだけではヴィクティムによる手札消費の補填とコアシュートだけに終わり、ジャイナガンを失うことで全体の打点は減ってしまう。
そこで、アスクレピオーズのドロー効果を十全に活かす特効薬が黒龍神ゼオ・デュラムだ。

偶然にもジャイナガンの【不死】対象のコスト5

ゼオ・デュラムはドローした時にドロー枚数に応じたコアシュートをタイミングを問わない常時効果として内蔵している。
これによりアスクレピオーズの召喚時ドローに反応して3コアシュート、ドローのトリガーとなったジャイナガンで2コアシュート、合計5コアシュートが可能になる。しかもゼオ・デュラムのコアシュート効果は複数体対象に取れるため、横に展開した相手を一掃することができる。
自身の妖蛇の数(自身も妖蛇)に応じた召喚時ドローでもコアシュート効果は反応するので、事前にフィールドに用意されたジャイナガンを併せればアスクレピオーズを出さずとも2ドロー2コアシュートすることができる。
とはいえ如何に相手のスピリットを消滅させても、ソウルコアさえあれば魂状態としていつでも煌臨できる契約環境ではリザーブへのコアシュートは盤面除去として効果的ではなく、むしろ相手の更なる展開とアタッカー/ブロッカー生成の隙を与えてしまう

だが、この問題を一気に解決するカードが紫属性には存在する。
それが、魔羯邪神シュタイン・ボルグだ。

筆者の星座
Lv2・Lv3
スピリット/ブレイヴ/マジックの効果で相手のリザーブに置かれるコアすべては相手のトラッシュに置かれる。

シュタイン・ボルグのレベル2,3効果によって、コアシュート効果の送り先をリザーブからトラッシュへと変更することができる。これにより、相手のソウルコアにトラッシュに送り契約煌臨のカウンターを封じることができる。余談だが、シュタインボルグのレベル2,3の「相手のリザーブに置くコアの行き先をトラッシュへ変更する」効果は、相手が発動した相手リザーブにコアを増やす効果にも反応するので、ジャイナガンと同じく序盤に召喚しても場にいるだけで相手の動きをある程度牽制することができる。

ここまでの改善策を見ると、「ヴァイオレットフィールドの3ドローで3コアシュートすればいい」と思うバトラーもいるだろうが、ここでアスクレピオーズとヴァイオレットフィールドの決定的な差別点が真価を発揮する。

ヴァイオレットフィールドはドロー効果使用後にフィールドにセットして追加効果を発揮するようになる。これは強制効果なのでトラッシュに置いてシュタインボルグで使いまわすことができないのだ。

持ち味を活かせッ!

一方でアスクレピオーズはスピリット故に維持コアを外すだけで消滅させることができ、シュタイン・ボルグで簡単に回収・再度召喚が可能になる。
フィールドの準備が出来ていない序盤でヴァイオレットフィールドで破棄したアスクレピオーズをシュタインボルグで回収するもよし、
ビクティムでアスクレピオーズを召喚した後にシュタイン・ボルグを出し、シュタイン・ボルグの召喚時効果でトラッシュからビクティムで破棄したカードを回収することで無駄がなくなる。

総括

頼れる仲間たち

①ビクティムによって召喚コストを抑え、召喚時ドローで手札をケア
②ジャイナガンを破壊することでドロー以外のアドバンテージを確保
③ゼオ・デュラムとシュタイン・ボルグを採用することで、ドロー効果がそのまま相手のカウンターを封じる妨害行動に繋がる
これらのカードにより、召喚コストと割に合わない召喚時ドローが、
召喚するだけで相手スピリットのコアを根こそぎ除去し契約降臨によるカウンターも許さないスピリットへと変貌し、文字通り「背徳のXレア」と呼ぶにふさわしい爆発力を発揮する。

このコンボの優秀な点は、召喚/煌臨時効果メタとして採用されるカシウスの槍でアスクレピオーズが消滅させられたとしても、

後続のシュタイン・ボルグを召喚してアスクレピオーズを回収し再度召喚できるのだ。
しかも本来は破壊されるはずだったジャイナガンと合わせて2枚のカードを回収できるので、ビクティムも一緒に戻してカシウスが飛んでくる前とほぼ同じ状況に戻ることができるのだ。

デッキ紹介

最後にデッキを紹介する。

こんなに強いエヴァが構築済みデッキに入ってたなんて

エヴァンゲリオン 試験初号機 -決意の出撃-アタックステップを終了できなくするアタック時効果を持つスピリットで、
絶甲氷盾を封じるのがメインだが、他のアタックステップ終了メタスピリットと違い、【A.T.フィールド】による効果耐性で氷刃血解のバウンス効果を受けないため、バラガン・オリジンの効果も封じることができるのだ。

昨日の上位互換(てき)は今日の友

ヴァイオレットフィールドは序盤に来たアスクレピオーズを破棄し、キーパーツを引き込む為のカード。
上位互換であるヴァイオレットフィールドがアスクレピオーズコンボのドローエンジンとして一役買うという熱い演出を盛り込みつつ、
相手にアスクレピオーズを見せつけることでデッキのコンセプトを読みにくくするという心理戦(不必要な思考)を押し付けることもできる。

白蛇帝アルデウス・ヴァイパーRvはリバイバル前と同様にコアシュートと消滅数に応じたコアブーストの召喚時効果を持ち、この召喚時効果をアクセルでも使用できるようになった。
単独で偽りの地下帝国効果を内蔵するようになり、打点の低いこのデッキではサポートからフィニッシャーまで幅広くこなしてくれるカードだ。

知っておこうアスクレピオーズのあれこれ

本記事の改善コンセプトから外れるため紹介しなかったが、アスクレピオーズをサポートするカードはまだまだ存在する。

オエージ!!

アンクは「オーズ」をデッキサーチする召喚時効果を持ち、「〇〇」の場合は《××「〇〇」××》というカード名であっても〇〇が名前にあれば効果の対象になるため、アスクレピ「オーズ」も問題なく回収することができる。
リバイバル版・X化したアスクレピオーズを採用することで、【オーズ】デッキでの緊急時用の煌臨元として使用するというのも一考の余地がある。

魔界幻龍ジークフリード・ネクロは煌臨時にトラッシュのコスト0/1/3/6/9をノーコストで召喚でき、魔界騎士パンデガイズはアタック時にトラッシュの魔神を4コスト支払って召喚できる。
前者はコスト9、後者は魔神というアスクレピオーズのためにその効果を作られたのかと勘違いしてしまうほどピンポイントな効果対象であり恩恵を十分に受けられる。
優秀なのはどちらも召喚時効果を使えるため、3枚ドローによるのちの展開のサポートをすることができる。

The SevenShogun

魔界七将ベルゼビートXは召喚時に夜族と魔神をコスト合計13まで召喚できる召喚時効果を持つ。アスクレピオーズを召喚可能だが、ベルゼビートXの優秀な点は夜族も蘇生対象であり、

夜族アスクレピオーズの召喚時コストになる星魂の両系統を併せ持つフライスカルをコスト合計12で収めつつ同時に召喚可能なのだ。
しかもベルゼビートXの蘇生スピリットへの召喚時封じはコスト4以下限定なので、無駄にコストのデカいアスクレピオーズは問題なく蘇生させたフライスカルを破壊して3枚ドローできる。
更に更にフライスカルもジャイナガン同様に破壊時にコアシュート効果を内蔵しており、上手く相手を消滅させればそのままベルゼビートXの転醒条件を満たすルートまで繋げることができる。
何よりも「13番目の12宮」を「コスト合計13まで蘇生する」効果で召喚できるのはまさに運命というほかない。

2022年10月29日に発売される契約編第3章:ライズオブライバルズで収録される創界神ククルカンを始めとした妖蛇カードはソウルコアをカウントエリアに置くことでコアブーストなどの恩恵を受けることができる。デッキ紹介で載せたデッキには妖蛇の代表格である妖蛇の神皇シェンマドーを採用していないためソウルコアを失うことは特別問題にはならず、場合によっては風石神殿をドローソース兼コアブーストカードとして採用するのもアリだろう。
更に創界神ククルカンは自分フィールドのネクサスが「ククルカン」だけの時に妖蛇の効果を装甲以外で防げなくする耐性貫通効果を持ち、今回のアスクレピオーズコンボの最大の弱点である効果耐性持ちへのコアシュートも可能になる。ククルカンを採用する場合は摩天楼とアイランドルートは採用できなくなるためドローカードをより見直す必要が出てくるが、クルワカンでゼオ・デュラムやアルデウスを引き込みながら展開できるためこちらも採用する価値は十分あるといえる。

最後に

アスクレピオーズを好きになって早6年、多くのピオーズカードが登場して様々な用途が研究されてきたが、元祖である蛇皇神帝アスクレピオーズが日の目を浴びることはなかった。
時にはウエハース版のCGイラストを作られ、時にはXXとして華々しい再登場を果たすものの、どうしても実用性という面では敬遠されてきた。
今回のデッキはあくまでも「アスクレピオーズを使うとしたら」のデッキであるため、通常の妖蛇デッキと比べればパワーも勝率も格段に下がるであろう。
しかし、今回のコンボを発見したことで、アスクレピオーズというカードの強さを立証し、アスクレピオーズが好きなバトラーの更なるコンボ開発の一因になればこれ以上のことはない。
それでは、次なるプロジェクトXレア特集にてお会いしましょう。

追伸

アスクレピオーズ無限回集中。
いらないアスクレピオーズカードください。

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