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バトスピの構築済みデッキのあれこれ





はじめに





今回noteに記事を投稿しようと決めたきっかけは一ヶ月前の7月20日、
「次に発売するバトスピのデッキ1100円は高い!」と言うTwitterでのとある呟きです。
今回はその呟きに対して私の意見を述べ、そこから拡大してバトスピが今どのような状況なのかを考察していきたいと思います。





あらすじ




ではまず7月にTwitterで何があったのかざっくり紹介。
事の発端はバトスピの新作アニメ「バトルスピリッツ ミラージュ」の配信決定に連動し、その作品に登場するキャラクターをモデルにした2種類の構築デッキの発表された事にあります。
その内容に対してある呟きが話題を呼んだ。

そのを箇条書きでまとめると以下のようになる。
①"エントリーデッキ"として販売するには税込み1100円は高い。
②バトスピを知らない人が買うはずだから、ルールも分からない人に汎用性高いカードは(あるに越したことはないが)必要ない。(高価な汎用カードを入れて高くなるなら入れない方が良い)
③300円デッキのヴァンガードや500円デッキのポケモンカードゲームがバトスピと一緒に並んでいたら、右も左も分からない新規に手に取ってもらいにくい。
④汎用カード欲しさに既存ユーザーが大量に買ったら元も子もない。
⑤エントリーデッキなら2種類じゃなくて各属性ごとの6種類出してほしい。
大まかに意見を5つに分けたが、これを見て私が思ったこと・調べたことを書いていこうと思う。

私見①"エントリーデッキ"とはなんぞや?



ツイート主はエントリーデッキであることに注目している。
エントリー(入場)、つまり新規プレイヤーに向けて作られたデッキだと思ったのでしょう。実際私もエントリーデッキ=初心者・新規プレイヤー向けなのかな?と言葉だけの意味なら疑問に思いました。
ただ、バトスピにはしっかり"初心者・新規プレイヤー向け"を称したデッキシリーズがあります。それは「はじめてのバトルセット」です。

2500円と単価そのものはお高めだが、2種類のデッキとチュートリアル用DVDがセットになった商品で、ルールを学びながらすぐに家族や友人と遊べるというメリットがある。
(ただし2013年以降発売されていないためあまり参考にならない。)
じゃあこのエントリーデッキって何だよって事だが、





ごめんなさいホントに分からないです。
まずエントリーデッキなるシリーズが初めてで、誰目線のエントリーかは定かではありません。現段階では新デッキ発売します!汎用カード再録します!くらいしかロクに情報が無いのでデッキレシピから推察することも出来ません。ただもし本当に初心者向けにデッキを販売するなら商品紹介にその旨を書いているはずです。
またモデルとなったキャラが登場するミラージュ(アニメ)は異界見聞録シリーズと言うアニメプロジェクトで、10年前に放送されていたブレイヴ(アニメ)の地続き作品と言うマニアックなものです。
それに連動させたとすれば、この"エントリー"とは過去にバトスピをしていたユーザー、つまり復帰勢の入り口として名を付けたのではないかと考えます。

私見②汎用カードは入れるべきか否か

本デッキの目玉の一つとして、強力な汎用防御カードである選ばれし探索者アレックス(リバイバル)絶甲氷盾(リバイバル)の再録がある。
(再録先はアレックス→白銀の記憶、絶甲氷盾→紫翼の未来)
アレックスはバーストメタの採用率が下がったことによる再評価、
絶甲氷盾は手札でハンデスなどの効果を受けずライフが減るとノーコストで使える手軽さ、
アレックスは2000円前後・絶甲は1000円前後でそれぞれ取引されている。
新規ユーザーがエントリーデッキからバトスピを始めたとして、まずは基本的ルールを覚えるので手一杯だから、「効果を受けない」などの細かい効果処理は後回しでいいから、この2種類が理由で高くなるなら再録せずその分安くした方がいいのでは?という意見である。

残念だがこの意見には反対である。
まず再録の件だが、
使いやすく強いカードが再録されるのはどのようなタイミングでも関係なく、確証はないが再録の有無でデッキの値段が変動するとは思えない。

1.値段を決める

2.その中で値段に見合うデッキレシピを考案

3.付与価値(おまけ・サービス)を付ける

くらいの手順で考えるはずである。多分。(この再録は3にあたるものと仮定)
再録目当てに既存ユーザーが買い占めて新規に届かないとも言っているが、既存ユーザーはデッキごと買うとしても新規カード目当てに2~3箱買うくらいで、再録だけが目当てならデッキよりも値下がりしたシングルを単品で買うはずだ。少なくとも自分ならそうしてる。

次にややこしいルールと言うが、
既存ユーザー目線ではあるがアレックスや絶甲氷盾の効果処理はテキストに書いてある通りの処理であるためそこまで難しいとは思えない。
まずこの2種はどちらもバースト効果を持つカードである。
実装から10年以上経過しているバーストは新規ユーザーには基本ルールとして教える必要がある存在だ。時代が進むにつれバーストをメタるカード、セット中に妨害を受けないバーストも数多く登場した。
となると基本的バーストルールに加えて「バーストの中には、相手の妨害を受けないカードもある」と教える必要があるのは自然な流れではないだろうか。その中でも使用するデッキを問わずに耐性効果を発揮できるアレックスと絶甲氷盾は、それを教えるのにはピッタリなカードだと思う。
勿論「バーストを発動出来ない」と「バースト効果を発揮できない」の違いを理解させるのは難しいかもしれないが、そこは収録されるカードの中にその状況になるカードが無ければ問題ない。

更にこのエントリーデッキ、ツイート主は議題に挙げてないが新規の転醒カードと創界神ネクサスが収録されている。
デッキに入れず公式プロキシをデッキに入れるor本体カードを使用する際はスリーブ必須の転醒
"ネクサス"を指定した効果では妨害できないが処理によってはネクサスとして扱う創界神
アレックスや絶甲の再録やルール云々に目が行ってるが、正直こっちの方が遥かに教えるのが面倒だと思う。仮に難しい云々を語るのなら挙げるべきはこっちである。
(と言うかホントに初心者向けじゃないだろエントリーデッキ)

私見③他のデッキはもっと安く、種類も多い

はい。この記事を書くにあたって一番調べるのに時間がかかった問題です。
他のカードゲームの構築デッキと比べると高い!という話についてです。
ポケモンカードゲーム(以下ポケカ)、ヴァンガード(以下ヴァンガ)はどちらも過去に1000円未満の構築済みデッキを数種類発売しました
ツイ主は挙げていませんがデジモンカードゲーム(以下デジカ)も500円デッキを出しています。
せっかくの新規も値段で選んでしまい、バトスピには手を出さないのではないか?バトスピには属性が6種類もあるのに2種類だけしかデッキを出さないのはどうしてか?
よそはよそ、うちはうちと声を大にして言いたいですが、これに関しては自分も気になっていました。
確かに安いです。300円500円ですぐに遊べるって凄く良心的です。
自分も少し前に大学時代の友人たちとデジカの500円デッキで1日ワイワイ楽しみました。500円でこれだけ楽しめるのなんて素晴らしい!のめり込んじゃう!となりました。

ただ少し気になりませんか、これ商売になってるのか?と。

当たり前ですが企業は利益を得てこそ成り立ってます。只より高い物はないという言葉通り、安さには必ず理由があります。
ではポケカとヴァンガ(とデジカ)は何故これだけの安さを実現できたのか。
調べるに辺り、単なる憶測や公式HPだけでなくSNSにて複数人の当該TCGの既存プレイヤーに質問してデッキの内容などを教えていただきました。

比較に挙げられたそれぞれの商品の内容を確認してみる
ポケカのデッキ
ポケモンカードゲーム ソード&シールド「Vスタートデッキ」
発売日:2020年7月10日(金)

・定価税込み550円
・全属性11種類の内9種類が登場
・ルールブック無し
・プレイシート無し
・ダメカン / マーカーと言うカードの状態を視覚表現する道具は厚紙で同梱
・収録カードにレア仕様のカードは一切入ってない(加工されていないだけ)
・汎用カードを再録
・どのデッキでも必要なエネルギーと言うカード(単品で集めると1枚2~30円)が20枚収録

ヴァンガのデッキ
「カードファイト!! ヴァンガード overDress スタートデッキ」1~5弾
発売日:2021年3月25日(木)(1~3弾)、2021年4月3日(土)(4~5弾)
・定価税込み333円
・全属性6種類の内5種類が登場
・ルールブック無し
・プレイシート同梱
・レア仕様のカードは1枚のみ収録(同じカードが4枚収録され、うち1枚だけがレア仕様になっている)
・後に発売されるブースターパックが当該デッキを軸にデッキを強化する内容になっている

まずどちらのデッキもカードの加工や付属品を最低限にしている他、
ルールブックが付属せずパッケージなどに添付されたQRコードなどから自力でルールを調べるようになっている。本当にデッキだけなのだ。
(先日遊んだデジカには一応カードサイズの簡易的なルールマニュアルが付属されてたが、結局はQRコードから公式ルール解説動画を見た)
値段だけが先行してるがルールブックが無いのって初心者からすれば一番い致命的なところだと思う。

次はポケカはカウンター系の道具は厚紙で代用している。
バトスピもそれに倣って厚紙にしてコストを抑えるべきとしているが、バトルスピリッツと言うコンテンツにとってコアとは他のTCGにはない"違い"を魅せるキーパーツである
ポケカのように一時的に使うのではなくゲーム進行において常に使い続けるアイテムであり、その使い方が戦略性やプレイングに直結するもので、立体的な道具にすることでより特別感を演出している。
他のTCGにはないバトスピの"魅力""長所"を厚紙でケチるのはあまりにも勿体ない話である。
(と言うかもう10年以上生産されてるから言うほどコストかかってない気が)

では根本的な話、
何故ポケカとヴァンガはこの値段を実現できているのか。

まずポケカ・・・と言うかポケットモンスターのユーザー数はバトスピの比ではない。
全ての始まりとも言える赤・緑を発売してから20年超。
もはや遊んだことが無い人でもポケモンと言う存在を知っているほどの圧倒的知名度を誇り、どんなお店でもポケモンのキャラクターをプリントされた商品を目にしないことはないと言えるでだろう。
原作ゲーム、タイアップアニメ、コミックス、スマホアプリ、TCG・・・
老若男女とわない世界規模のファン達と、多種多様なメディアミックスを行えるだけの企業の莫大な資産がこれらの商業展開と成功を作り出している。

ポケカと言うプロジェクトは更に特異であり、
TCG業界の始祖であるMTGが発売された1993年からわずか3年後に発売開始された国産初のTCGであることを鑑みれば、
如何にポケカと言う存在が長く根強く愛され続けているのかが分かるだろう。

それだけの潤沢な資金で開発されているため、500円と言う低価格でも商売として成立しているのである。多くのユーザーが低い敷居(スターとデッキ)から別の商品を買ってくれるだろうという浅く広くの商法が出来るだけの下地が整っているのである。


次にヴァンガだが、調べたところかなり低迷しているようである。
2011年2月から発売開始したヴァンガード、10年と言う節目に発売した件のスタートデッキだが、その前まで展開していたカードプールを全てスタン落ち(公式大会での使用が不可能)させた背景がある。
どうやらヴァンガ公式は、2018年に改訂したVシリーズと呼ばれるレギュレーション(最初期はGシリーズだったが、そこから7年後に移行)での環境整備でインフレを制御することが出来ず、新たに発表されたDシリーズと呼ばれるものへルール改訂・事実上の2度目のスタン落ちが決定。
(カードプールだけでなく、アニメやTCG本体の背景ストーリーもほぼ一新)

このスタン落ち相当なものだったらしく、単にユーザーが離れるだけでなく
発表された当時はヴァンガの買取を一時中止にするカードショップが続出
これが原因かは不明だが、初期から支えてきたプロデューサーが交代する出来事も起きている。

このスタートデッキはそのDシリーズの出発点となる構築済みデッキであり、当然ながらこれより前のカードは全てスタン落ちしている。
つまり単なる「安いデッキ」ではなく、「新シリーズの足掛かり」であり「既存ファンを離さないようにするため低い敷居」でもあると見れる。

ヴァンガを愛している方々には非常に申し訳ないが、バトスピの現状とどっこいどっこいと言えるだろう。いや、アニメが地上波で放送している分まだマシとも言えるかもしれない。

私見④バトスピのデッキから見る大人の事情

改めてバトスピの現状(主にアニメ)を整理してみよう。

・スタン落ち概念無し(現在それを導入するような気配がない)
・アニメシリーズはソードアイズ(5作目)からDVDを一般販売せず完全受注生産性に
・最強銀河究極ゼロ(6作目)で地上波放送はしばらくの休息へ
・約半年の休息を経て、2016年より烈火魂(7作目)がテレビ東京で放送開始
・2017年のダブルドライブ(8作目)でテレビ放送終了
・2年後の2019年、人気を博したブレイヴの続編サーガブレイヴをアニメ新プロジェトの第一歩としてネット配信開始
・翌年2020年、新アニメ赫盟のガレットがネット配信開始

ホビー展開の中で重要なのはタイアップ番組の存在である。
実際に商品をメディアを通して宣伝し、見ている相手に欲しいと思わせるのも主題の一つだが、アニメともなればその作品自体にファンが生まれ、新たな事業として成長することもある。遊戯王アニメシリーズなどがその最たる例だろう。
だが、残念ながらバトスピのアニメの現状はどうだろうか。
DVDが一般販売されることはほぼなく、放送休止を乗り越えたと思えば2年で地上波から撤退。完全に先細り・ファンの精鋭化が行われいると言える。
(近年では過去作をYoutube上でアップするなど目にする機会は増えたが、これがどれほど新規獲得につながるか期待しているところである。)
アニメがこのような事になった理由は定かではないが、
少なくとも一般DVD化せず一定の受注が来てやっと生産と言うことは、資金がないのはほぼ確実だろう。
メディア露出・見る手段が減れば知名度が下がり、ユーザーの新規獲得の可能性は下がり、商品を取り扱う店舗は減っていくと負の連鎖が起きる。
事実、バトスピを取り扱う店舗そのものが希少であり、かつては祭典でビックサイトのホールを埋め尽くした数千人規模のユーザーは目に見えて減少した。
正直このまま先細りでコアなユーザーによってギリギリ食いつないでいくものだと考えていた。


ではこのような事態に対し、バトスピ公式はどのような舵を切ったのか。

過去最高の遺産であるバトルスピリッツ ブレイヴの各種リメイクだ。
元々リバイバルと言う名で過去の人気カードをリメイクし、創界神と言うキャラクターを活かす新システムで歴代アニメキャラを収録していたが、
異界見聞録シリーズと言う題で、多くのアニメファンが長年待ち望んでいた馬神弾の復活が成された。これに併せて人気系統であった光導を強化し、かつてバトスピを遊んでいた引退勢を引き込むことに成功した。
サーガブレイヴという馬神弾を活躍させる作品はそれ単体で完結せず、更なる続編を匂わせる形で世界観を共有する赫盟のガレットへとバトンを繋げた。
引退勢を巻き込んで現在進行形で進行している異界見聞録シリーズと言うアニメシリーズ。馬神弾と言う起爆剤はバトスピ全体の活気を取り戻すのに大いに貢献し、光導だけでなくWノヴァなども強化されユーザーからは満足いく結果となった。


ただしこれらは一時的なものである。
引退勢を引き込んだはいいが、問題はその引退勢を今後も売り上げに貢献してくれるユーザーとして成長させられるかである。
サーガブレイヴ・赫盟のガレットに続くミラージュで、馬神弾と同じく人気キャラクターである百瀬勇貴の再登場を匂わせるキービジュアルと構築済みデッキで古参ファンの興味を引こうとしている。
ヴァンガのように身を切る思いでユーザーを思いとどまらせる程には切羽詰まってはいないが、かといってポケカのように潤沢な資金があるわけでもない。
今はこれまで通りの価格でバトスピを遊ぶのに必要な分のカードとコアとルールブックとプレイシートを完備したデッキを作ってもらい、地道にユーザーが増えていく事を願うしかない。
ただもしかしたら、この先の売り上げによってはコアの光主と言う設定を活かして他の属性のデッキが登場するかもしれない。

終わりに

ほとんど重箱の隅を突くような殴り書き記事になってしまった。
ここまで書いておいてだが、これらの内容からツイート主を非難するような行動に走らない様お願いいたします。
本当なら件のツイートがされた一ヶ月前に文字起こすべき旬を過ぎた内容だったので今更感のあるネタだが、動画ではなく文字にしてバトスピを語るのは初めてで中々筆が乗らないなかったのも事実。
次からはもっとタイムリーな話題を書きたい。

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