「大学受験イデオロギーと戦時下における総力戦体制ー「地方進学校」を事例にー」

大学受験私怨学会 報告

「大学受験イデオロギーと戦時下における総力戦体制ー「地方進学校」を事例にー」

はじめに

本稿では、頭の中で構築されつつある理論を文章に起こすことで、大学受験イデオロギー=「受験は団体戦」の論理を解明することを目的とする。その中で今回取り扱う「受験は団体戦」の論理を、教室内で学生が1つの目標に向かう「総力戦体制」と捉えることを試みたい。無論、第2次世界大戦期の日本でよく見られた「総力戦体制」を、やみくもに現代の大学受験に当てはめて思考することの危険性は充分承知している。
しかし、大学受験にて見られる「受験は団体戦」の論理が、単に学校運営の問題、学生気質の問題で語られることに対しては強烈な疑問がある。それは団体的に受験をするという意識が、当事者である学生にはあまり無いことが証左である。周りの学生と話しても、彼らが「受験は団体戦」だと認識している素ぶりは全くといっていいほど無かった。これは興味深い。「受験は団体戦」と全く意識はしてはいないものの、受験が終わった後、彼らは合格体験記に「受験は団体戦」の賛美を行うパターンがあるも事実である。今回『総力戦体制』(山之内、2015年)を読み、上記にある疑問の暗雲を晴らしてくれるのではないかと考えた。しかし、この文章を書くにあたって、先行研究など文献を全く参考していない。なぜなら、この文章は筆者の自由気ままに書く「私論」の形を取らせてもらうからだ。要するに分析というより、ただの主観である。研究としては、読むに全く値しないということなのである。

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