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子どもの頃に出会いたかった大人になりたい!

マスターピースでは現在、組織基盤整備の取組をしていますが、その一環で「代表の想いインタビュー」をしていただきましたので、こちらに記事掲載します!
 
インタビュアー:五井渕さん(認定NPO法人かものはしプロジェクト)
インタビュイー:マスターピースまりっぺ(菊池まりか)

子どもの頃に出会いたかった大人になりたい!

 
 団体運営に関わるメンバーのみんな、そして若者たちのポテンシャルが、最大限発揮されて活躍できる組織・活動をつくりたい。そんな思いで始まった組織基盤強化プロジェクトの出発点として、一般社団法人Masterpieceの代表理事、まりっぺこと菊池まりかさんにインタビューを行いました。

わたし自身、助けてほしいこどもだった

 保育園のころ、他の子にいじめ・支配を受けていました。でも、当時は自分で自分の状況がよくわからなかったし、誰にも声をあげられなかった。だけど大人になって今思うのは「誰かに助けてほしかった」ということ。そういう逆境体験があるからこそ、わたしはこどもの声に気づける存在でありたいと思っています。

保育園時代の内気なまりっぺ

幼少時代の内気な性格から

 そうした経験の影響もあって、小中学校時代は人の顔色ばかりうかがう性格だったというまりっぺ。ですが、経験を人に打ち明けていくようになって自分自身が変わっていったそうです。
高校生の時に、クリスチャンとして参加していた教会のキャンプで初めて思いや悩みを話せたり、その後ボランティア活動に一生懸命になるうちに自分の得意なことや表現方法に気づいたり、ということが現在のまりっぺを支える原体験にもなっていきます。

ーー若者の時代って、すごく大事だと思いませんか。すごく多感で、変わるきっかけになったり、人生のことで悩んで時に「もうやだ死にたい」と思っちゃったり。そういう時期だからこそ、良い人や機会との出会いがあることが希望です。その時のその後の人生に影響を与えていくし、大人になってからも支えになると思います。

理論ではなく感情、熱い思いを示す芯であり続ける

 大学生時代の知人から紹介されたことがきっかけで入職した児童養護施設。1日1日がとても濃くて、これは一生かけてやりたい仕事だと思ったそうです。一方で、働いて約3年が経つ頃から、施設を巣立った後のアフターケアが気になり始めます。

ーー退所後のこどもたちの様子を聞くたびに、「えっ、施設では模範生だったような子も壁にぶつかっていくんだ」というショックがありました。何か力になりたい、でも、いち職員にできることには限界があるし、片手間でやれることではない。退所後こそが人生の本番なのに。そこで何もできない無力感・モヤモヤを感じたことが、Masterpiceを立ち上げるきっかけになりました。

児童養護施設職員時代のまりっぺ。同僚との写真。

 そして現在、Masterpieceの代表を務めるまりっぺ。「毎日がやりがいありまくり!」と語ってくれました。特に、シェアハウスなどの活動を通じて、もしもMasterpieceが出会えなかったらホームレスや危ない目に合っていたかもしれないと思うと、本当にこの場を作って良かったなと思うそうです。住居は特に人生の中でも大きな分岐点なので、若者の人生や命の分岐点に立ち会うことができた時は、日々の大変さが吹き飛ぶということでした。

ーー自分自身もですが、他のメンバーにも、自分のやりたいことをやるのを大事にしてほしいです。そしてわたしは、みんながビジョン・目指す姿を見続けられるようにするのが役割です。理論ではなく感情、熱い思いを示す「芯」であり続けようと思っています。

 同時に現在まりっぺは、事務・総務のリーダーでもあります。実は仕組みやマニュアルをすっきり整える作業は嫌いではないそうなのですが、徐々に手放していきたいとも話してくれました。

「みんなでやれる」が増えてきた、けれど課題もある団体運営

 最近の団体運営の変化として、チームワークで若者サポートに取り組めていること、まりっぺ不在でも食料配送が進むようになったこと、シェアハウスの環境整備や若者との関わりが充実してきたこと等を通して、「みんなでやれるようになってきた」とまりっぺは実感しているそうです。

 一方、団体運営にはまだまだ課題があります。スタッフやボランティアメンバーへの内部研修、会計管理の月ごとの確認、セキュリティ問題、採用、人事労務、助成金申請、などなど。

ーー正直、これまでは行き当たりばったりでやってきました。なんとか整えるところまでは自分もがんばっているんですが。それに、こんなことができたらいいのにというアイディアはたくさん出てくるので、資金調達がもっとうまくできれば、とも思います。でも、最初は「支援するなんてそんな大それたこと言えない。でも、目の前の一人の若者が『よかった』と思えるならやろう」から出発しているんですよね。だから、活動の規模が大きくなりすぎると全体が見えなくなる、一人ひとりに関わりきれなくなる不安や寂しさもあります。

葛藤も感じながら、それでもまりっぺには、野望があります。

今後のビジョン

ーーいつか「ナガヤタワー」(鹿児島県にある多世代のコレクティブハウス)をつくりたいんです。若者だけではなく多世代が暮らしながら支え合う住居支援をやりたいし、全国に広げていきたい。いまシェアハウスなどをやっているけれど、それがベストとは思っていません。多世代の中に里親さんや社会的養護の若者も住んでいるこのナガヤタワーを見た時にナガヤタワーを見た時に「これだ!」と思いました。それに、若者のいろいろなチャレンジを後押しできるような活動もしていきたい。Masterpieceが、若者にとって次のステップへのジャンプ台のようなプラットフォームになったらいいなぁ。

そうした活動の展望・未来構想と同時に、将来的には代表のまりっぺが、たとえば沖縄に(笑)移住してしまっても大丈夫になるぐらいの団体運営にしていけたら、と笑いながら話してくれました。

そして最後に、Masterpiece「らしさ」とは何か、ということを教えてもらいました。

ーーアドボカシー的なマインドを大事にすること。わたしは、逆境体験を生き抜いてきた若者たちのことを「先生」だと思っているし、みんなの生の語りに触れられるのはとても貴重な時間です。本人の希望を大事にする、ちょっと時間がかかっても本人と一緒に悩む・揺れるマインドを大事にしています。
 周囲から、Mastepieceはヘビーでディープな相談にも幅広く対応する、小回りがきく団体だとよく言われますが、今は相談件数も多くなってきて、細やかな対応がしきれなくやるせないことも多々です。1人が走り回って100人を助ける社会ではなく、1人が1人を助けるくらいの社会になっていってほしいなと思っています。若者たちを皆で支えようという普及啓発も私たちにとって大事な使命だと思っています。

ーーあと、Masterpieceはホワイトでありたい!この領域に関わる大人たちはとても貴重な国の宝です!みんな、無理しないでね、セルフケアしてね、残業ぜったいしないでね!

まりっぺの仕事の様子

2024年3月


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まりっぺ(菊池 まりか)-Masterpiece
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