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【週刊プラグインレビュー】Vertigo Sound / VSE-4

さて、今月2記事目であります。
VSE-4は先週に買ってから仕事で即戦力で投入、活躍しまくってるEQなんですが、これの何がすごいのか?どんなことが出来るのか?についてお話していければと思います。

結論から言えば、Kirch-off含む過去のデジタルEQが苦手だった、「明確な芯があるEQ」が出てきてしまった衝撃作・・という感じです。
基礎スペック化け物な上に、可能性も無限大・・・。

とはいえ、その凄さはなかなかデーターにでてこないのであくまでも感想メインではありますが、この凄さを少しでも皆さんに共有できたらと思い今書いています。

それでは今回もやっていきましょう!プラグインレビュー!

VSE-4とは?

VSE-4は、名門マスタリング機材メーカーのVertigoの新作EQ。
スタジオで、VSC-2とVSM-2の実機を経験したことがあるけれど、基本的には美しい系の音が得意で、質実剛健の機材が多いイメージがある。

前作の、VSM-4から実機でリリースされていないが、Vertigoの哲学を反映したプラグインの第二弾がこのVSE-4になる。

VSE-4はカテゴリーとしてはGyrator EQで、実機があるVSE-2の方式からインスパイアされ開発されたようだ。
Gyratorとは、1948年にEQの中心として機能する電子回路だ。
インダクターの後継にあたる回路のようで、リンギングや奇数倍音の問題を克服した回路であるとのことのようだ。
で、Gyrator回路自体はICベースで、設計の自由度が高いので例えばVSE-2のように真空管の歪を再現したり・・・ダイアルした周波数に応じて歪を加える・・ということが出来るらしい。

で、このVSE-4はVertigoの作ったオリジナル設計のGyrator回路を忠実に再現した上で、13の選択可能なフィルターに対して歪を加えられるように出来ている。

ちなみに、同じく歪を各バンドで設定できる実機にBUZZ REQというEQがあるが、あっちはLC回路なので方式がそもそも違ったりする。

じゃあ、どんな機能があるのか?
それぞれ見ていこう。

機能面

基本的にはマニュアルの通りなんだけれど、引用しながら特徴的なところを解説していく。

https://www.vertigosound.com/media/1566/vse-4-plug-in-user-manual.pdf


設定について

Vertigoのロゴマークをクリックすると設定画面がでてくる。

・オフラインバウンスのみX16が設定できる。(←バージョンアップで消えたみたい。)
・オーバーサンプリングの倍率を変更できる。
・お気に入りの設定をデフォルトにセットできる。

INPUT/OUTPUTセクション


・インプットノブのSAT、FMDriveはグローバル挙動
・HPFのSATとFilter Slopeは右クリックでON/OFF出来る。地味に便利。


INPUTと同じ操作感。

EQバンド1~4について


・Qはダブルクリックで12時に戻る
・XYをドラッグで周波数とゲインを調整出来る。
(ホイール操作でQも出来て欲しかったが笑)
・Gyrator Saturation(Saturation)を右クリックでON/OFF
・Filter Frequency Self Modulation(FMDrive)を右クリックでON/OFF
なお、FMDriveは初耳だが、シンセサイザーに載っているFM変調と同じ使い方であっているような気もする。
セルフモジュレーションなので、自分の波形で自分を変調させているのかな・・? 特にその辺の詳細な記載はないです。

基本的には
・FM-Drive→FM変調させる。
・Saturation→飽和する。
で良さそうだ。

Filterタイプについて

13種類の中から選べるぞ~!

面白いモノだけかいつまんでみよう。
・ALL PASS1,2
その帯域をEQせずに、SAT、FMDriveだけを追加できる。もちろん位相も回転させられる。
・Bell
ゲイン量に応じて歪みかたが変わる。
・Vari-Q
同じくゲイン量に応じて歪方が変わる。こちらはゲインに応じてQが狭くなっていくBELL。
・Tilt
4バンドしかないので地味に嬉しい。

オーバードライブモジュール

・OverDriveタイプはSoftとHard。
・Shapeを変えると倍音構成が変わる(書いてないけど)

シグナルチェーンについて

初見殺しすぎる仕様・・・これによって半端ない多様性をもっている。

・VSE-4はINPUT(左)→OUTPUT(右)に信号が流れていて、それぞれのモジュールを自由にドラッグで組み替えることが出来る。

これによって半端ない自由度がある。

例えば・・・

ローを持ち上げた音源の隣にオーバードライブをいれて、その結果を受けて残り3バンドで音をトリートしたりだとか。

オーバーリアクトしがちなローをHPFで整理してオーバードライブを入れる→その後、EQで音作りをするだとか。

EQでガッツリ変えて、最後にオーバードライブさせることで、もともとこんな音でしたよ?という処理にするだとか。

この実装のおかげで、実機だと難しいルーティングを自由自在に組み替えすることが出来る。素晴らしい・・!

検証してみる。

EQ自体のスペックについて

まず、素晴らしいのが、EQのSN比の異常な高さである。
この辺がPDの上限値なのか、Kirch-OFFとほぼ変わらない数字を出している。

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