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【週刊プラグインレビュー】LOUDER THAN LIFTOFF / SILVER BULLET

さて、今月最後の更新になります!
来月の前半は韓国の音楽ソフトウェアフェスとK-POPのエンジニアリングセミナーに参加をして、そのまま家族行事でキャンプになるため、ちょこちょこと準備をしている今日この頃であります。
皆さんにも、ちょっとしたお土産話ぐらいは出来るといいな・・なんて考えておりますです。はい。

さて、今回ご紹介したいのは銀弾こと、SilverBulletであります。
一言でいうと、MOJOという夢を追い求めた成れの果てというべき仕上がりでして笑
今回もやっていこうと思います!プラグインレビュー!!

SILVERBULLETとは?

僕はSilverBulletの実機を持っていたことがある。
発売日の1か月後ぐらいに購入をして、開発者のBillさんと「日本人かい!?どこで僕の機材を知ったんだい?」「世の中にはそういうオタクだっているのさ・・笑」なんてメールのやりとりをした記憶がある。
当時は、MIXもお仕事としてそこそこやっていたので、MIXBUSとしてよく使っていた。その後、愛知のエンジニア、松井さんの手に渡り・・・そして松井さんから、また、どなたかの手に渡り・・・。今日もきっと元気に働いていることだと思う。

説明書を読んで、発売から10年経ったと聞いてびっくりした。
短いような長いような。

さて、このプラグインも実機もコンセプトとしては、所謂、
「僕の考えた最強のMIXBUS」のようなコンセプトになっている。

APIのオペアンプを搭載したAモード、そしてNeveタイプを謳ったカーンヒルのトランスを搭載したNモード。主にこの2つのルーティングを自由に配置をしていき、BAXタイプのEQとHPF,LPFがセットになり、歪を調整することが出来るようになっている。

これに加えてMk2では、Cモードが搭載され、自分で好きな歪のモジュールを追加できる、EQのバンド数が増え、ASPECT Retioでステレオエンハンスが出来るかたちになっている。

さらにプラグインバージョンにおいては、特許申請中のDYNA REALISM機能とCircuit Blend機能が追加され、Cモードの開発にUnfiltered Audioが参加した。

そもそも、機能が盛り盛りである上に、デジタルならではのアナログらしくない部分・・・を克服しにきたかたちである。


機能面

非常にたくさんの機能があるのでわかりにくいところは補足をしつつ、解説をしていこう。
熱が入りすぎてる説明書に加えて、機能が豊富過ぎて、結構な長さになるため、試しながら読んでいただくのを推奨します・・・笑

以下がルーティング図だ。

説明書より。

ざっくりと解説をしよう。
まずモードセクションでどのようにSilverBulletを使うか?を決める。
次にMOJOセクションで、どのアンプでどのぐらい色付けをするかと、それぞれのアンプのルーティングを決める。
続いて、Cモードをどれぐらいドライヴさせるか、そしてどれぐらい混ぜるか・・・を決める。
その後、Tight(HPF)→BAX EQ→Aspect Retio(イメージャー)→Vintage(LPF)と接続され、出力がされるようになっている。

それぞれのセクションごとに詳しくみていこう。

左のスペースマンくんをクリックすると白→黒に切り替えられます笑

各種モードについて。


・MIX
全ての機能を使うことが出来るモード。通常はこれを使う。

・PRE EQ
MOJOとTightフィルターを使うことが出来る。

・POST TIGHT
EQ、Vintage Filter、Aspect Retioのみを使うことが出来る。

MIXモードはともかくとして、他の2つは何のためについているかというと、SilverBulletのルーティングの途中に別のエフェクターをインサートしたいときのためについている。

例えば、コンプレッサーを途中でインサートしたいときは、

SB(Pre EQ)→何かのコンプ→SB(Post Tight)
と挟み込んであげることで、EQの前に別のエフェクターを挟んであげることが出来る。

MOJO Ampについて


歪をつかさどる2つのアンプと、Cのモジュールを調整する。
これは割とみたまんまで、歪ませたいモードのゲインをそれぞれ上げてあげるだけでいい。画面下部のGainLinkがONになっていれば、音量が変わらないように自動で調整してくれるようになっている。

AとNについては、それぞれだけしか通さない、あるいはA→N、N→Aと直列の順番を変えることが出来るように作られている。

Cモードについては、画面下部のMOJO C SELECTでモジュールを選ぶことが出来、ドライヴさせた信号をDry/WETで混ぜる方式がとられている。

なお、選ぶことができるモードは以下の通り。

Hitmaker 4000:1980年代のVCA機能が付いたコンソール(〇SLだと思う)から着想されたモジュール
Bitmaker4000:12ビットにリダクションされたHitmaker4000。80sのデジタル機材や、ドラムマシンの存在感を表現するためにつくられた。
Viny Saturation:レコードのような温かい歪を付加する。Unfilter AudioのNeedle Pointを大元にしている。
Helical Scan:テープのVHSのような、揺れるサウンドを付加する。C-DRVでピッチの変動の深さと強度を調整する。C-MIXの値を100(wet)にするとドライ信号に加えて8ms送れるように出来ていて、それ以外の値ではwet信号は20ms送れるように出来ている。元ネタはUnfilter AudioのLO-FI-AFとのこと。
VHS AF:Viny SaturationとHelical Scanを直列でつなぐことができる。

このような調子で、懐かしさ要素を自在に加えることが出来る。

フィルター類、各モードについて


・TIGHT
わずかにレゾナントしたハイパスフィルターを加える。
重低音の濁りをとり、ヘッドルームを減らす役割をしている。
25Hzと50Hzを選ぶことが出来る。

・TONE EQ
BAX式の3バンドEQ。
LF、HFは周波数帯をそれぞれ4つから切り替えることが出来る。

AIRバンドについてはMK1のノブが標準搭載されているが、右クリックすることで、MK2のものに切り替えることが出来る。
マニアックだ笑

・Vintage Mode
6dB/octの緩いスロープのローパスフィルターを加えることが出来る。
これはNeveのソフトでシルキーなトップエンドを表現するためにつくられていて、EQセクションと併せて使ったときに真価を発揮するとのこと。

・Aspect Retio
ステレオ幅、高さ、明瞭度をミックスに加えるモード。
独自のアナログプロセッサーを元にしていて、回路を完成させるためにまるまる1年かかった力作とのこと。
広く派手に効かせたいときに押すということの様子。

その他、AUXパネル

他、触れていないモードについてもざっくりと。

・Circuit Blend
様々な部分で電気経路をショートさせて、破壊的な歪を生み出すためのモード。
Blend2でさらに過激な結果をつくりだすことが出来る。

・DYNA REALISM
アナログとは何か・・・を追求するためにつくられた、静的および動的なバリエーションを追加するモード。個々の挙動はすべてのパラメーターに影響するように作られている。
また、後述するシリアル番号の変更(!)と連動している。

  • SYM(Symmetric):左右の対称性が高く、最も左右差が少ないモード。Mojoセクションのポテンショメーターは、実際に測定されたポット値を使用している。

  • ANLG 1(Analog 1): これは、モデル化したリアルなハードウェアユニットに最も近いモード。モデル全体で個々のポテンショメーターギャングとディテント(固定位置)の間にはバリエーションが設けられている。

  • ANLG 2(Analog 2): ANLG 1よりも微妙ではなく、いくつかの成分に「B-ストック」Virtual Parts Binsからの成分を使用している。チャンネル間のステレオバリエーションはより誇張されている。

  • FLUX: これは回路自体が音楽と一緒に動いているかのように、バリエーションをランダム化だが音楽的な方法で動的に揺らす。DEPTHとRATEノブは、FLUXが有効なときに操作できるようになる。LEDが視覚的なタイミングを示すように出来ている。

  • SYNC: FLUXのRATEをDAのテンポに同期する。回路のバリエーションは、設定されたテンポの音楽的な倍数で発生させる。

DEPTH
DEPTHノブは、FLUXが有効な場合にアナログのバリエーションの量を設定する。高い設定では、極端なレベルと周波数のシフトが引き起こされる可能性がある。

RATE
RATEノブは、FLUXプロセッサがアナログモデルを変化させる速度を設定する。高い設定では、ステレオソースで多くの音楽的なバリエーションが生まれる。このノブの隣にあるLEDは、FLUXおよびBPMモードの両方でバリエーションと同期する。

・Virtual Parts Bin
ロゴをクリックすると背面のシリアル番号にアクセスできるようになる。

クリックするロゴ
右上のシリアル番号に直接入力をする。

6桁のシリアル番号を入力することで、それぞれの個体の個性を表現することが出来るとのこと笑
これが、Dyna Realismと連動していて、あらゆるパラメーターに影響を及ぼす。

これに関してはTNTでもよかったんじゃないか?と思うものの・・・
GearSpaceを読んでいると、LTL本家の独自開発でPAはディストリビューションだけ・・とのことのようで、かなり深部までこだわった実装が成されている。

検証してみる。

まずは歪エフェクターということで、A、Nについて見ていきたい。
とりあえずPDを通して、すぐに気づいたのは、昨今のPulsarModulerだとか、Kiiveとかの方式に近いということ。
ユニットのセルフノイズでずーっと揺らいでいる。
これはどの設定にせよそう。

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