【週刊プラグインレビュー】Izotope / Ozone 10 advanced -Stabilizer編-
前回に引き続き、Ozone10であります。
今回は色々なアップデートがあったんですが、それぞれどういう工夫がはさまっているのか?
またどんな設定がオススメなのか?について今回は語っていけたらいいなと考えています。
それでは早速ですが、やっていきましょう!
プラグインレビュー!
Stabilizer
Stabilizerは入力信号に応じて動的に周波数補正を適応してくれるマスタリングイコライザーとのこと。
各プロファイルに応じて、足りない帯域を補ってくれたり、逆に出すぎている帯域を、その箇所、その箇所でその場で補ってくれるという代物。
最近はこの「必要な箇所に必要なだけ」の処理が流行っていて、Gulfossであったり、Soothe、DSEQ2なんかが先行しているプロダクトになる。
もちろんそれぞれ得意な処理と領域、用途は違うんだが、音に対して自動的にリアクションをするという点で同じ領域ではある。
機能面
さて、機能面を見ていこう。
izotopeのヘルプに詳細が記載されており、それぞれ見ていきたい。
Target
ここでスタビライザーのターゲットとなるトーンバランスを選ぶ。
ジャンルごとにプロファイルが用意をされていて、概ねこのジャンルならこのぐらいのバランス感でどうでしょうか?という分かりやすい代表例をあらかじめizotopeのほうで作ってくれている。
なお、「All-purpose(汎用プリセット)」については、Tonal Balanceでいうところの「Bass Heavy」に該当するとのこと。
この辺りは、恐らくairpods proを代表とする最近のノイズキャンセリングデバイスを強く意識してつくられているんじゃないかと思われる。
Mode
モードは2つのモードがある。
それぞれ紹介しよう。
Amount
このパラメーターでは、Stabilizerがどのぐらいのゲイン幅を調整するようにするかを設定できる。
パラメーターをMAXにしたときに9dBの最大値になる。
Speed
入力信号に対して、どのぐらい素早くStabilizerが反応するか?を設定することができる。
素早いスピードにしていくと、より正確な動きができる一方で、アーティファクトが増えていく副作用がある。
アーティファクトとは、しばしば、信号の人工的な歪みであったり、デジタルプロセッサーの副作用として使われる専門用語で、ざっくりと「意図しないノイズ」のことを指す。
Smoothing
Shapeモードを選択しているときにでてくる項目。
Stabilizerで利用する輪郭の細かさを設定するパラメーター。
例えば100で設定をしたときはEQの補正が3つから4つに見える程度に滑らかな補正をかけてくれる。
逆に0に設定をしたときには、非常に多くのバンドを細かくStabilizerが調整をしてくれるようになる。
これもSpeedと同様で、0に近いほうが正確な周波数補正を行ってくれるが、副作用としてのアーティファクトの量が大きくなる。
Sensitivity
こちらはCutモードのときにでてくる項目。
Stabilizerがレゾナンス(ピーキーな帯域)を検出する頻度を調整するパラメーター。0のときには過剰なレゾナンスのみに反応するようになり、100の場合はターゲットからのずれを抑制しようと動くようになる。
Tame Transients
Stabilizerが瞬発的なトランジェントに対して反応するようにするモード。
Low Mid High Amounts
Stabilizerを適用する3つの周波数領域で量を調整できるパラメーター。
Low:100Hz以下の帯域の量を調整することができる。同量のブーストとカットを適用することで、ラウドネスが変わらないように処理することができる。
Mid:100Hzから5.6kHzの間の周波数バランスを調整する。
High:5.6Khz以上の周波数バランスを調整する。
この中でいうとよく思想が表れているのはLowなのかな、と思う。
低域全体を一方方向に調整をしてしまうと、楽曲全体のエネルギー感がそもそも失われてしまうので、その辺りが損なわれないようにうまく調整してあるように感じる。
Delta
エフェクト適用前後の変化の差分のみを聴くことができる。
検証
実際どんなもんじゃい?ということで、データー集めてみますかね。
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