「週刊プラグインレビュー」 Plugin Botique / Scaler EQ
今月ラストの投稿になります。
あっという間に12月、今年も残すところ1か月ですね。
ぼちぼち、忘年会の予定が入りつつ、毎年恒例の大掃除をしつつ・・と、あっという間に1月になってしまいそうな気配があります笑
さて、今回取り上げていきたいのは、僕もみんなもお世話になっているScaler EQです。
斜め上の角度から投下されたプラグインですが、なかなかどうして、唸るものがあったので、ご紹介していきたいと思います。
それではやっていきます!
プラグインレビュー!!
Scaler EQとは?
Scaler EQは、Plugin Botique社が出している作曲支援ソフトのScalerのノウハウを活用して発売された、楽曲のキーに応じてブーストカットのポイントを自動で指定してくれるEQ。
非常に優れているのが、以下のポイントだ。
・楽曲のキーを自動で検出してくれる。
・インキーをブースト、アウトキーをカットが出来る。
・ダイナミックEQ機能も搭載。
どんな効果があるか、普通にEQ触ってると良くわからないことづくめだと思うので、「いいからどんな音か教えてくれよ!」という方はこちらの動画をまず見ていただくと話がはやいはず。
インキー、アウトキーって何?
このプラグインについて解説する前に、インキー、アウトキーって言われてピンとこない読者の方もいる気もするので、まずそちらについて軽く説明をしておきたい。
インキーというのは、楽曲のトニック音とそれに対応するコードのことで、そのスケール上に存在する音・・・という意味。
アウトキーというのは、設定されたキーやスケールから逸脱している音のことで、緊張感の演出に疲れ割れたりしている音・・という意味。
Scaler EQでは、このキーとスケールを自動で検出して、楽曲のキーに合ったピッチの強調、合っていないピッチの減衰をしていくことが出来る。
そんなScaler EQだが、どんな機能があるのか?
早速見ていこう。
機能面
特徴的なところをかいつまんでご紹介していきたい。
Detect Key、Global設定
Detect Keyは、Scaler EQが自動でこの楽曲のキーを検知して、インキーとアウトキーの音が何かを設定してくれる機能。
一度クリックをすると検知を開始し、Click to Stopで検知した結果を設定に反映する。
特徴的なメロディーの箇所を10秒以上流した上で検知させると精度が上がるとのこと。
もし、自動検知がうまくいかない場合、手動でキーとスケールを指定することも出来、鍵盤の上の音名をクリックすることで、スケールの音の追加と削除を行うことが出来る。
なんだかメロダインとかオートチューンみたいな話だが、それをEQでやってしまえ・・!というのがコンセプトだ。
グローバル設定については、このキーの設定をEQのエフェクト全体で共有するのか、各バンドごとに設定するのか?を選ぶことが出来る。
グローバルがONで青く点灯しているときには共通の設定を使い、OFFで消灯しているときには各バンドごとの設定となる。
Mono Freq、Stereo Width
Mono FreqはSide成分をどこからカットするかを指定することができる。
Plugin AllianceのMono Makerと同じような機能だ。
Stereo Widthはステレオ幅を調整する。
測定してみたところ結構ここは面白かったので後ほど詳しく触れていく。
Magic ShelfとHarmonic Peak
特徴的なのはMagic ShelfとHarmonic Peak。
それぞれ詳しくみていこう。
・Magic Shelf
M/Sで音楽的に聞こえるシェルフが設定してあり、より焦点の定まったサウンドになることを目指して作られたEQカーヴとのこと。
ステレオ信号のみに適用される。
M/SともにPultecカーヴのようなシェイプで、サイド成分が弱めに変化するように出来ている。
・Harmonic Peak
選択したバンドに関連するインキー/アウトキーの周波数をピーキングでブーストすることが出来るモード。
その際に、キーにピークを追従させるかどうか?を以下のScale Lock Modeで指定させることが出来る。
Scale lock modeがin scaleになっていると、ポイントがキーに追従し、flip harmonicsで、アウトキーの周波数を下げるよう自動で設定することが出来る。
どちらもデフォルトでONになっているので、例外的に個々の音程周りを下げたい・・・というとき以外はそのままの運用で良さそうだ。
EQパラメーター Range / Window width / Window Q
各バンドのEQを調整していくにあたって見慣れないパラメーターがあるので、そちらも解説を。
・Range
ハーモニックピークが選択されているときに、各個別の周波数範囲とバンド幅を指定するパラメーター。
レンジが低いほど、周辺の周波数も影響を受けるようにブーストカットされるようになる。
シェルフ、ローカット、ハイカットでは、レゾナンスを含む様々な動作を調整できるように設計されているとのこと。
要約すると、どのぐらい急峻にカーヴを適用するか?を調整する機能と捉えて良さそうだ。
・Window width
ハーモニックピークのときのみ有効で、どのぐらいの幅の音程でハーモニックピークを適用するか?を調整できる。
・Window Q
Window widthで設定された音程にどの程度ピークの形を適用するか?を選ぶことが出来る。パラメーターをゼロにすると、指定された範囲内を等しくブースト/カットをし、最大値ではピーキングの山の形上に処理をしていくよう指定する。
その他
右上の歯車のマークから色々と設定できるが、音質面に影響しそうなのはSmart Modeだ。
Smart Modeを有効にすると、全体的な制度はわずかに低下するものの、Post Filter Decayについては改善するらしい。どのように訳したらいいのかわからず、そのままの用語でご紹介したが、意味としては、フィルターの減衰特性の急峻さ・・・ということで良さそうだ。
これについては、使っていく中でアーティファクトが気になるとき以外はOFFで運用することがオススメと記載されている。
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Stereo Widthの動作
まず、面白いな・・・と思ったのがStereo Widthの動作だ。
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