【週刊プラグインレビュー】SCHWABE DIGITAL / GOLD CLIP
さて、今月二記事目であります。
前回のBOOSTはコンプレッションカーヴをアップワードにしていったのに対して、今回はWaveShaperのカーヴをアップワードにすることで、細部を聞かせる工夫を凝らしたクリッパーについてレビューをしていきたいなと思います。
それでは今回もやっていきます!
プラグインレビュー!
GOLD CLIPとは?
GOLD CLIPPERはグラミー賞のエンジニアリング部門でノミネート経験が複数回あるエンジニアのRyan Schwabeが自身の会社SCHWABE DIGITALでリリースをしたクリッパーだ。
MIXもMasteringも行うということと、フィラデルフィアのレコーディングアカデミー副会長、AES会計役ということもあり、かなり良質のフィードバックを受けて作られている印象がある。
なんとゴールデンな経歴よ・・・。
そして気になった理由は、推してるメンバーが凄すぎるのだ笑
凄くないですか?
これで期待値が上がらないほうがどうかしている・・・笑
周辺情報はそのあたりにしておいて、GOLD CLIPPERについて見ていこう。
特徴としては、
・Clipper、Gold、Alchemyの3つのアプローチ+BOXTONEでの高周波フィルタリングを備えている。
・2つの有名なハードウェアが元ネタということ。
GOLDというぐらいなので、恐らくLavryなんじゃないかと思う。
まぁ、似てるか、似てないか?でいわれるとAcusticaのASHのほうが似ている気もするけれども笑
そんなわけで、機能面を見ていこう。
機能面
CLIPPER機能
3つのモードがあり切り替えることが出来る。
・Modern→ソフトニークリッパー
・CLASSIC→ソフトとハードの間のクリッパー
・HARD→ハードニークリッパー
ModernとClassicはそれぞれの元ネタのハードウェアの特性とダイナミック応答に対応するように調整ををされていて、ハードニーはいわゆるデジタルのクリッパー的動作である様子。
TIPS
それぞれ全く違うモードなので楽曲に合うものを見つけて欲しい。基本開発者のRyanさんはClassicモードスタートが多いけれど、後述するGOLD機能やAlchemy機能を使うときはハードを使うことが多いとのこと。
分かりやすく聞き取りやすくしたい場合はモダンを選択するようだ。
なお、クリッパーはコマンド+クリックでOFFにすることも出来る。
GOLD機能
こちらは二つのモードが搭載されている。
・Modern
有名なマスタリングコンバーターのソフトラウドネスサチュレーションをエミュレートをしていて、Classicよりも短いニーを適用している。
最大で2.5dB適用できる。
・Classic
2000年代後半に人気を博したコンバーターの同じく、ソフトラウドネスサチュレーションをエミュレートしている。Modernよりもアグレッシブなのが特徴で、ニーがより低い位置から始まるようになっている。
最大で、6dB適用できる。
TIPS
マスタリングではModern設定でスタートするとよい。
リミッター直前に使用するのが王道だけれど、チェーンの最初がハマるパターンもある。
クラシック設定に関しては、ドラムバスや808、ボーカルなどのダイナミックレンジが広い楽器に適していて、モダンはフルミックスのような密度の高いコンテンツに適するように作られている。
他、考え方としてHPの説明が非常にわかりやすかったので引用をしておく。
GOLDプロセッシングはノンリニアなゲインを低い音量レベルの場所に足し算をすることで、ピークポイント以下の詳細な情報を引き出す。
これを、ゲインマッチングすると、結果としてソフトニーのカーヴをつくる・・・ということ。
アップワード式のWaveShaperのように思えるけど、カーヴの具合だったり、リフトの仕方にかなりこだわりがありそう。
ちなみにGOLD機能もコマンド+クリックでバイパスが出来る。
Alchemy機能
クリッピングによる高調波を和らげる機能。
周波数として高い信号を和らげることで、テープのサチュレーションのような効果を期待できるとしている。
このような調子で、動的に高周波を和らげる機能を持っている。
BOXTONE機能
これも3つ機能がある。
恐らくADコンバーター内蔵のLPFを模しているものだと思われる。
・Modern
輪郭とローパスフィルターを加える。
・Classic
より緩やかな輪郭とローパスフィルターを加える。
・Flat
ローパスフィルターを加えない。
他、気の利いた機能としては・・・
・設定のAB機能
・DRY/WETのリンクコントロール
・最大クリップした場所がどこであるか?の時間を表示してくれるクリップクロックを搭載している。
検証してみる
まずは素通しの特性について見ていく。
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