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プー太郎日記:森の京都(京北・美山)

気が赴くままに、今月は2週末「森の京都」で紅葉狩をしてしまった。これらの地区で共通して感じたのは、自立した京都プライドである。フィルター(誰が案内するか)で得るものは大きく違うが、京北はIdeas for Good / COS Kyoto の企画  ・ROOTSさんのナビゲート(Ideas for Good(2021))、美山はあいだの探索・実践ラボの企画・京都大学明石先生のナビゲート(あいだの探索・実践ラボ(2021))双方共、視点が異なるが面白かった。

1、京都市右京区京北

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京北は京都中心部から車で1時間位で面積は大阪市と同じくらい、人口は5千人位の京都市北西部の地区。「長岡京・平安京の造営時や京都御所炎上の際には、膨大な量の建築用材が桂川・保津川を経て【筏流し】で運ばれ、それ以降も、都へ木材を供給していたことから、現在に至るまで木材の名産地としてその名を知られて」(京北自治振興会(2021))いるそうだ。

ナビゲートしていただいたROOTSさんの凄さは、グローバル相手に「体験x交流x貢献」するコミュニティツーリズムができる文化度であろう。代表のフェイランさん(Feilang Tseng) は、今月販売のフィガロジャパンで「起業で転職を見つけた、10人の女性たち」(Figaro Japan (2021))で取り上げられており、本当に茅葺屋根の家に住み、「里山の知恵を世界へ、次世代へ」を実践している。共同代表の中山慶さんは7カ国語を操ってガイド・通訳もしている。ROOTSさんは、民家を運営するだけでなく地元の林業家・茅葺職人などをローカルウィズダムマイスターとして招聘して、香港や台湾の大学生向けにサスティナブルスタディツアーを提供している。ここまでグローバルに知的にフィールドワークを運営できる里山、いや自治体はないのではないか。

彼女は、京北を「日本のバークレーにする」と言っていたが、ノマドワーカーだけでなく、芸術家や建築家が少しづつ集まりつつある。フランス人の建築家夫婦の家に案内されたが、彼らは今年移住し、馬小屋(馬2頭飼っている)を作り、茅葺屋根の民家をリノベーションしつつあった。京北はそしてROOTSさんはどこまでトンガったままで事業を進めるのか、それとも成長に舵を切って大きくなるのか注目していきたい。

2、南丹市美山町

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京北から車で更に山奥30分位いくと美山に入る。ここでスゴイの京都大学である。京都大学は芦生の森全体の5200haの内、4200haを所有・賃借している(京都大学芦生研究林(2021))。京都大学は1921年(100年前)から利用しており、新たに30年契約延長したそうだ。芦生の森は研究林である為、入場を制限しており、多様な生態系が長年維持されている。ここの山を登ると日本海が見えて山里海連携を実感する。また、昭和42年頃に美山地区にダム建設の話があったが、町民と一体となって京都大学がダム建設に反対して、ダム建設の話が流れた歴史もある。

ナビゲーターの明石先生のご案内により、自分ではなかなか気づかないキノコ類を多数見れました。

課題と言われているのが、鹿害である。昔は笹などの下草があったのが、現在は大幅に減っている。上の写真のように、フェンスがあるとないのでは生態系が異なることが実証されている。小生の実感でも、白神山地と比較して下草が少なく生命力が低い感じがしました。鹿が大幅に減ったので保護した経緯もあって鹿が近年増加しており、大雪だったこの地域も近年雪がほとんど降らなくなったことも影響し、鹿が下草を食べてしまっているとの説明だった。

京都大学さんが大きな土地を持っているので、小生は最近発表されたKDDIさんとの連携(KDDI (2021)) を生かしたIoTデバイスによる鹿の監視システムを工学部の学生さんとの共同開発、また経済学部と共同でマクロ的に生態系を把握する自然資本の時系列的データ収集(インパクト投資で使うENCOREとかNational Capital Protocolなどのフレームワーク)もして良いかと思いました。また、きちんと公表されていない美山地区での新幹線の地上口建設計画には、京都大学の敷地地下を通らないにしても、土砂運搬や騒音など環境への影響をフォローが必要だと思う。

企業提携を有効活用するだけでなく、芦生の森に入るのに入場料を取るスキームを大学として再検討すべきだと思いますが、寄付することはできます。京都大学芦生研究基金寄付リンク http://www.ashiu.kais.kyoto-u.ac.jp/fund/

<レファランス>

Ideas for Good (2021)  「KEIHOKU EDONOMY ~「あいだ」を再生する。里山リジェネラティブ・ツーリズム 」 Ideas for Good ホームページ viewed on Nov. 23, 2021 https://ideasforgood.jp/2021/10/27/keihoku-edonomy/

あいだの探索・実践ラボ(2021)「芦生の森・美山町フィールドワーク :みえざる存在とのつながり -菌類ネットワークと里山と茅葺と-」あいだの探索・実践ラボホームページ viewed on Nov.23, 2021  https://aida-lab.ecologicalmemes.me/

京都大学芦生研究林(2021)「芦生研究林の概要」 京都大学芦生研究林ホームページ viewed on Nov.23, 2021  http://www.ashiu.kais.kyoto-u.ac.jp/cms/wp-content/uploads/2021/05/550ee9f972c6c11015a1f81fcc8be7be.pdf

京北自治振興会(2021) 「京北ってどんなとこ」京都京北ナビ viewed on Nov.23, 2021 https://kyoto-keihoku.jp/about/

KDDI(2021)   「京都大学フィールド科学教育研究センター、KDDIによる
芦生研究林保全のための寄付贈呈式ならびに連携成果発表会を開催」KDDIホームページ https://www.kddi.com/corporate/csr/regional-initiative/pressrelease/20211110/ Nov. 10, 2021

Figaro Japan (2021) 「起業で転職を見つけた、10の女たち」フィガロジャパン 2022年1月号 pp.38-39

(一般社団法人) 森の京都地域振興社(2021) 「森の京都」viewed on Nov.23, 2021 https://morinokyoto.jp/

ROOTS(2021)  ROOTS 会社ホームページ viewed on Nov.23, 2021 https://rootsjourney.jp/about/  

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