リスクを取り過ぎてはいけない理由


リスクの取り方について執筆依頼を受けたので書く。

ぶっちゃけると、トレードでは戦略で一番大事なのはここかと思うし、一番地味でつまらないが一番資金を増やすために即効性があるのもこの考えだと感じている。

トレードする以上、リスクを全くとらないというのは原理的に無理なのだが、トータルで見てリスクは取らないようにしている。

トータルで見てリスクを取らないとはどういうことかと言うと、

・増し玉する時は、前段階で利益を積み上げておりそれをベースにする時のみ追加でリスクを増やしても良い

・負けだしたらポジションを徐々に出来る範囲から落としていく。
※いきなり落とすとダイエットと同じでリバウンドして悪化する恐れがあるので、徐々にというのがキモ

・逆張り時はロットを落とし、流れが噛み合ってきたタイミングで増し玉増し玉する。

・余剰資金対口座資金の比率は常に注意を払い、余剰資金比率が高くなるように設定を行う。
※これに関しては、その方の性格に合わせれば良く、口座資金に全財産放り込んでも別に精神的な負担にならない、あるいは逆に成績が良くなるのであれば突っ込んでも良いかと思う。ここは適正重視。

・回転率、期待値、勝率を考慮して玉取りや枚数を決定するが、、、
特に、インからアウトまでの時間を考慮した回転率が高い売買であれば枚数が多くても良いが、待ちの時間が予測される場合は指標や突発的なファンダメンタルズ出現リスクを考え、枚数を落とす、あるいは期待値と勝率を天秤にかけて割に合わない勝負と見たら即オリを選択する。


資金が増加するほど、リスクは累積的に減らしていく


これは、ラルフビンスやラリーウィリアムズが言っていたような気がするが、リスク率を口座資金の8-15%以上に設定すると数学的に資産が増加しにくいとしている。

これは私は、口座資金のリスク率が逓増することが主な理由だと睨んでいるが、勝率が9割ほどあって期待値の高収束が狙えるシステムでもない限り、どれだけ勝ち確案件でも基本的にはリスク率は10%以上は取らない方が良いと思う。

ただ、例外があって、余剰資金比率が95%オーバーなど、最悪口座が飛んでも痛手を被らないのであれば、期待値がモロ乗りする場面ではオールインすることもある。


怖いのは流砂である


流砂とは何かというと、簡単に言うと流れである。

麻雀などは完全確率論と言う人もいるし理論的にはそうであろうが、人間の脳みそというのは精密に出来ており、流れがわるくなると無意識化で脳の働きがわるくなるのである。これはホルモンバランス等が影響してるのだが、そのことを考慮した立ち回りが必要である。

もちろん大前提は確率論や期待値理論になる。
あくまでこれをベースとするが、一定割合流れというのは見ておいた方が良い。

ポジションを持つだけでビクビクするのであれば、経験上負け確定である。
本当に勝つ取引は、どれだけ不利な状況に追い込まれても高慢ではないレベルの確信があるはずである。

ポジションを取るだけで、お腹や体に力が入る、ケータイやPCを見ないと気が落ち着かないのは、それは深層心理下ではその取引ロジックのどこかに見落としがあるサインであるから、一刻も早くポジションを閉じるべきである。

リスクを取っては行けない最大の理由がこれであり、精神的に追い込まれれば追い込まれるほどプロスペクト理論は作用しやすくなる為、統計的確率的に資産が減らしやすい行動に出てしまうからである。
特にそれが無意識レベル下で進んでしまうので普段から意識下に置く必要があると考える。

と言っても、やらかしてしまうのが人間であるのでその対策を書く。


出来る範囲から行う


冒頭でも書いたが、出来ないことを無理してやろうとすると必ずリバウンドがある。

悪化させては本末転倒なので、まず出来る範囲から行うのが基本である。

これは聞いた話だが、海外のとある実験でダイエット志望の参加者を2つのグループに分けて、部屋にケーキを置いたそうである。すると両グループともケーキは食べたそうである。

ただ、この話には続きがあり、片方のグループには何も言わない、もう一方には「本当は食べてはいけないが、人間と言うのは完ぺきでは無いし、そういうこともあるでしょう。出来る範囲から行えば良いですよ」と言ったらしいのだが、その後の経過観察では後者のグループは実生活でも圧倒的にケーキを食べる回数が減ったという。

人間の潜在意識と言うのは、習慣化、心理学的に言うと恒常性維持機能やノーマライゼーションと言った物がある。
これを否定された場合、精神的に落ち着かなくなるので生命が脅かされると脳は考え、以前の習慣に戻そうとする。
※これには諸説あるかとは思うが、脳的には、以前の習慣をこれまでの人生行ってきた結果今がある、つまり生が確保されているので、それを正しいとして極力それを維持した方が死ななくて済むと考える為。

トレードの話に戻すが、損切りしましょう、ナンピン禁止という原則を声高に言う人もいるが、私は両方しないことなど沢山あるし、やはり数十回の取引のうち数回は損切りが遅くなることもある。また戦略的に行うナンピン以外に躍起になってナンピンすることもある。
簡単に言うと、生涯鉄人には慣れないなと常々思う。

要はトータルで見て、回数を減らせばよく、仮に乱心して不測の売買を行うことも考え、冷静な時にそのことを考慮した立ち回りが必要なのかと思う。

メンタルコントロールが大事だというが、メンタルコントロールに持ち込んだら勝負は負けである。
冷静な時に準備しておいて、いざメンタルが崩壊しても被弾しないシステムを事前に作っておき、実際に切羽詰まった状況に追い込まれたら、それは仕方ないと考え、傷口を出来る範囲内から小さくしていくようにすればいいかと考えている。


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