利益保全の原則

これは私自身、トレーディングを行う上で一番最上位の優先順位としている利益保全の原則というのを書きたい。

トレード単体で見た時に、読みを必死になって行う人も多いのだが、個人的には優先順位は逆である。というか、そもそも読みは外れるのがデフォルトくらいに考えておく方がメンタルもブレなくていい。

それよりも以下の手法を用いた売買を行えば、それだけでもトータルで増えるのではないかと考えている。


・まず1割の力量でポジションを持つ。
・利益が乗って半日以上経過するか、口座資金の1-2%が削られた段階まで待つ。前者は増し玉、後者は損切り。または、2-3日以内に利益が伸びない場合は、損益の有無に関わらず即カット。
・そして、増し玉後さらに利益が乗って半日-1日以上経過した場合にのみさらに増し玉。
・上記をひたすら繰り返す。これをやると平均単価は跳ね上がるが、逆行確率が減少し、勝率も上がり出す。
・上記が2-3度繰り返し発生したら、そこで初めてトレイリングを引き上げる。初動でトレイリングを引き上げると大体狩られる。

お気づきだろうか。
ここにはテクニカル分析も手口分析も、ファンダメンタルズ分析、業績分析も一切ないのである。

そして、この時に注意するのは、最初の2-3段階で張るポジションは、2-4割程度。順行するにしたがって同枚数だけ買い増していく。
リバモアはピラミッディングを勧めているが、個人的には寸胴型か逆三角形買いが一番利益を最大化出来ると同時に、最も資金を失いにくいやり方だと考えている。


何故かと言うと、順行した段階では含み益が乗っており、それをベースにリスクを取る場合、当初資産へのダメージは殆ど無い。また、マーケットを突き詰めていくと分かるが、マーケットは独立事象ではなく従属事象的要素が強く、順行することで順行確率が上がる。これはバックテストしてみればよい。


そして、仮に最初の玉が損切りに引っ掛かっても、1-2割の力で買っていることと、資産の2%のしかリスクを取っていないので、逆複利が効きにくい。


さらに、ルールを付け加えるとしたら、連敗し出したらロット数を低減して行く。簡単に言うと、負けが続けば続くほど、加速度的に枚数を落としていくことになる。これは資産対ポジション比率を逓増させないことが目的にである。


そして、上記で逓増、逓減という言葉を使っているが、利益保全の原則では重要であり、徐々に増やす、徐々に減らすという意味になる。


これは何をやっているかと言うと、全て「破産確率が逓減する行動」をとっていることになり、これが利益保全の原則になる。


ただ、これをひたすら機械的にやるにはかなり骨を折る作業になり、半年ー一年以上続けられる人間は1%もいれば御の字なんじゃないかと思っている。何故かと言うと、上記をやれば勝ちやすくなるということに対し、体感で理解していないので、潜在意識が拒否するからである。


いやいや、上記は単に勝ちやすくなる手法で無くて、負けにくいというやり方でしょ、と言われるかもしれないが、機械的に繰り返せば普通に勝てるんじゃないかな、と考えている。


追記 


注意点等


色々と注意点があることと、多く寄せられた質問の中に「少額資金でやるには難しく無いのか」というのがあったので、これに対して書こうと思う。

まず、注意点としては、相場観に自信が無い場合は余剰資金を基本7-9割が絶対条件として、1-3割以下しか口座には残さないようにする。

つまり、1000万貯金があっても300万までが上限。

そんな少額資金では増やせる速度が限られるという意見もあるが、それは仕方ない部分もあるし、戦略にまだまだ改良の余地がある裏返しになる。

ちなみに筆者の経験を書くと、以前にもどこかで書いたが、専業になってからトレードに回せる資金が50万前後まで落ち込んだことが実は何回かある。この時に行った対処法が、その資金を5分割にして10万オールイン勝負を5回やったこともあるし、今回の記事に書いたように、増し玉増し玉で増やしていったケースもある。結果としては後者の増し玉戦略が一番効率よく増えている。

今でも覚えているのだが、最後にアカウントに残っていた資金は13万+余剰資金30-40万である。この段階でも一週間でアカウントに入金などを行わず、トレードの利益だけ70万前後に持って行けたし、地合いによっては十分可能な数字ではないかと思う。


少額資金だからこそ見えてくること


上記の戦略を思いついたことを含め、さらに実際に少額資金で運用していた時期に自分が体感したことで、実際のトレードにも役立つことを書きたい。

少額資金でやることは限定されるのだが、それゆえに戦略や相場の本質を突き詰めていったからこそ見えた来た部分もある。

例えば、回転率、勝率コントロール、期待値、それをどう弄れば、資産の増加速度が速いかが分かるし、また売買機会も重要性にも気づいた。

複利効果を得る為には、十分な売買機会と勝率が必要不可欠である。

この時、一つの銘柄のクセを深堀りしていき売買機会を増やす方法と、横軸展開、つまり一つの銘柄のクセをつかむのが難しい場合、単純なパターンに入っている銘柄を沢山見つけて監視しておく等がある。

筆者の場合は、後者が自分の適性と上手くかみ合っていたので、それを選択した。

具体的にやったことは、流動性の高い市場をメインに、為替であれば10-15銘柄、商品市場、株であれば主力株の50-200銘柄の過去の一連の値動きを記憶した。

売買機会を増やすには、すぐに飛び乗れる状況が必要であり、人間の瞬間の判断力には限界があるし、特に筆者の場合はそれが鈍いので土日など事前に時間のある時に十分な時間を取って記憶することで手を打った。

また、銘柄にもすぐに上がる物もあれば、出遅れと言って後で追随して上がって来るものある。どれから先にさばいて行くことで売買機会が増えて、さらに上がる速度が速い、遅い銘柄に優劣をつけて、資金を振り分けることで回転率を極限にまで上げる工夫を行った。もちろん、未だにそれらは研究の対象である。

振り返ってみると、何のことはなく手持ち資金が少額だったからこそ、必死に短期間で増やすにはどうしたら良いかを考えることが出来たし、人間の脳の性質から考えて、無い時ほど真剣に考えることが可能となる。その結果、ひらめきやすいのも資金が少額の時である。人間と言うのは、生命に危機を覚えない時は余裕があるので、中々閃かないようになっている。火事場の馬鹿力というのである。

これは、どこかの記事で書いたような気がするが(削除している可能性もある)、中学生くらいの時、トレーディングカードの転売のことや、ゲーセンに出禁になった話をしたことがあったかと思う。

原因は親父がITバブル崩壊で株で借金を作って、小遣いを貰えなかったからなのだが、中学生以降となると遊びたい盛りであるし、お金も必要になって来る。

そこで、カード転売だったり、ゲームセンターの機種攻略だったりした。ゲーセンに限っては、課金するタイプのものではなくて、メダルゲームだったので増やせば、再プレイにかかる資金は不要となり、店側にとっては迷惑な客と言う理由で2店舗から出禁を食らった。

高校生以降は今はブラックに近いグレーなのだが、ネットで稼ぐ方法があったので、上記をやったのは中学3年間だが、お金が無かったからこそ思いついた方法であるし、潤沢な貯金があれば、そんなことは一切やらなかったかと思う。

話が脱線したが、資金力が無ければ戦略で補うしか無く、さらにアレコレやれば良い訳でもない。

自分自身知識があるかと言えば、全くない。

それよりも自分に合った読み筋を狭く、極限にまで深掘りして行くことが重要なのではないかと思う。








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