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10ヶ月ぶりの新曲リリース

皆さんこんにちは。MASQUERADE HOTELでギターや作曲、編曲など担当しているtogashiです。9月30日に僕たちの新曲「You're my pain」がリリースされました。ヤッタネ。
久々の新曲、みなさんどうでしたでしょうか?

昨年は毎月リリースや初の企画ライブを行ったりと、今までこのバンドでは行った事ない試みを実施してきました。今年もこの調子でバリバリ活動していこう、と色々考えていた中、新型コロナウイルスの流行。

強制的に時間が出来、どうしようかと過去を振り返りながら今後の活動について1人考えていました。

今までの活動を振り返り、そういえばSNS上でもあまり制作背景的な部分を語ったりなかったなあ、というのを思い出し、せっかくの空いた時間、この機会にと公開していこうかと考えました。
ただどうせなら新曲リリースもしたタイミングで公開したいと思いにいたり。ようやく新曲のリリースが出来ました。

この機会に今まで特に話してこなかった、楽曲への思いや制作背景など、このnoteの中で気が向いた時にでも公開していければなと思います。

きっかけ

とにもかくにもデモを作らねば何も始まらないので、僕がデモを作るとこからになるのですが、この曲自体は去年の年末ぐらいには思いつき、原型が出来ていました。

もう一つの別の曲の制作も進めつつ、少し温めて4月辺りには煮詰めて行きたいなと考えていたところに新型コロナウイルスが流行。

ドラム録りなどの予定も全て白紙に。
こりゃ制作が出来ん、どうしたものかと考えていたところメンバーから宅録でやらない?と提案があり、5月辺りから動き始め、この曲を本格的に手をつけ始めました。

制作開始

去年は色んなサウンドの楽曲を作りました。EDMやスムースなサウンド、ちょっと変わった変化球系など。その中で色んな意味で手応えを感じたものとしてスムースなサウンド感を軸とした楽曲がありました。

今作はそこを軸に攻めてみようと考え、自分自身がリアルタイムで感じているスムースなサウンド感をDAWに打ち込み、土台を作り上げていきます。


打ち込んでる途中、イントロ部分でメロディとして成り立っている曲がバンド初期の曲以外ではほぼ無いことに気づき、普遍的ではない目新しくも特徴的なイントロが欲しく思いました。

楽曲の不穏さをイントロから表しつつ、目新しいアプローチという事で、その当時良く耳にしていたクワイアに深くエフェクトをかけて作るメロディの手法を使用。
プレートリバーブの残響感でダークさをマシマシに。


歌が入ったセクションでは僕の大好きなプラック音もウワモノで入れつつ、リバーブ感強めのエレピやパッドを使用。
10年代R&B特有のハーモニー感がロストしてる印象を目指しました。

この段階でイメージしていた重苦しい浮遊感や歪さ、アングラな雰囲気を出せて思わずニッコリ。
作業始めて5時間程でデモが出来た気がします。


トラックのデモが出来た段階でトップライン(歌メロ)作成へ。

トップライン自体はトラックの簡素なイメージとは反対に、動きのあるものを目指しました。
淡々としてる分、クリスブラウンのような歌が縦横無尽に動き回るラインの方が面白いだろうなと。歌の自由度が高いので他人のアウトプットを取り入れても面白いかも知れないと考え、今回は一度Voに作曲を振ってみました。

戻ってきたデータのサビ部分が自分のアウトプットにはない面白いフレーズだったので、それが活きるよう、他セクションを調整。

結果的にかなり動きのあるラインが出来上がり、早速仮歌取って送ってもらいました。以前より歌がパワーアップしていて仮歌を一聴し、おっ!となった覚えがあります。2コーラス目から展開変えたから覚えるの面倒だったろうに。ごめんよ。


仮歌も出来た段階で、ベースをザワちゃんにパス。
しばらくして彼から出来た、と連絡が。

聴いてみたら自分の想定していたラインを120%上回ったものが帰ってきて聴いた瞬間ニヤニヤが止まらなかったです。

正直トラップビートの上であのラインは自分では思いつかないので驚いています。
彼のバックボーンとなってる音楽の深さを再認識した一曲になりました。

彼自身にこのラインを作った時の事を振り返ってもらいました。

思い浮かんだのは通常のエレキベース的なアプローチではなく、ヴォーカルのメロディとの掛け合いになる様な、もう一つのメロディを作る様なイメージでした。

"ベース"という役割りに囚われずより自由に、頭の中で歌い、その時鳴った音をそのまま再現。
こういったTrapをベースにした現代的なリズムの曲で、エレベを弾くことは出来ない(基本シンベかバスドラでローエンドを出すからそもそも不要)ので、視点を変え、 "ベース"というより"低音域が出るメロディ楽器"をアレンジの一環で一つ付け足してみた、的な感じ。

音色について、オクターバーを掛けた音作りはベースラインを考えるにあたり最初の方に思い浮かび、オクターバーありきの音を基礎に、ベースラインを構築。
エレベはシンベに比べローエンド(低域帯)が出ないので、より自由に弾くとなるとボトム(ローエンドの土台となる圧力感)が出ない、それを補うためにオクターバーを使用。

デリックホッジがエレベにオクターバーを掛けシンベ的なアプローチをしていて、その音圧感をイメージしてみました。

使用楽器はこちら。

詩の背景

歌詞については全てボーカルに一任しているので彼に聞いてみました。

"仮歌入りのデモを聴いたときに、どことなくストーリーテリング色を強めた作詞が良いのでは、と思いそこを念頭に作業を開始。大体40分後くらいには作業終了。
サビのフレーズはメロが自分発信だったからか、一回適当に歌ったのをほぼまんま入れただけで完成。
チル感を殺さず印象も強すぎない良いフレーズができたと我ながら思う。

そこからこじつけるかのように各セクションに取り掛かるのだが、コロナのせいでネトフリ三昧だったためかほぼ悩まずに書き上げ。

ファイトクラブという映画、好きなので内容はそこから。曲調的にサスペンスっぽいテーマがいいかなと。

少し迷ったのは導入部分。起承転結の「起」というよりここは全体がこんな雰囲気で展開するよ、みたいないわゆるホントに長編小説の導入みたいにすると、何となくそれっぽくなるかな、と考え抽象的に。

気付けば大して物語っぽくならなかったけど、これはこれでアリやろ、のノリで校了。"

松屋ばかり偏食している彼ですが仕事の速さとクオリティは凄いですね。

実際に曲に対しての言葉の鳴りや詩の響きもフィットしていると感じたのでこのまま進めてもらいました。

いよいよ最終工程

曲のパーツが全部揃い、残すはミックス/マスタリング作業です。

正直ミックス/マスタリングは毎回毎回曲作るより時間がかかるし、現時点で出来る最善の音までどういう工程を踏むのが最短なのか未だに良くわからないし、前日に聴いた音と今聴いてる音が違うしで、最終的にミックスとは一体?と虚無感に襲われます。
本当いつも終始しんどい思いしながら作業していてしんどいです。

そんな状態でもアナライザーと自分の耳とミックス用のリファレンス曲を信じ、なんとかEQやコンプ処理を終え2mixに。

そこからマスタリング用のストリッププラグインで全体の高域と低域微調整、ダイナミックEQで耳の痛い部分を抑え、MSも持ち上げてetc…

この工程を来る日も来る日もトライ&エラー。
書き出しては思ったよりスネアが抜けてるから修正、ベースの低域出過ぎてモッサリしてるから修正、修正、修正…と僕の中のプロデューサーがOK出すまで何日も修正し続けました。

リリース前の段階で500回以上は聴いてると思います。
現時点で世界一この曲聴いてる自信ある。

馬鹿みたいな回数聴いてもめげずに調整を続けていたおかげで現状出せる最善のサウンドを世に出せました。

無事リリース!

こんな工程を踏んで何とかリリース出来ました。実に長かった。
もう少し色々ありましたが割愛。

リリース後も各配信ストアで取り上げられていて、作った楽曲は間違いなかったと自信へと繋がりました。
特にAWAでは公式プレイリストに加えR&B/Soul枠でレコメンドもされ、かなりプッシュされてる模様。

前回はここまでプッシュはなかったのでそれを考えると、一歩だけ前進したように感じます。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございます。
そして、いつも僕たちの曲を聴いていただきありがとうございます。
新曲リリースのたび、SNSで感想を目にすると作って良かったなとホッコリしています。

シェアしていただける方達の投稿も見るたび、嬉しいと同時に活動の励みにもなります。

ただまだまだ僕たちの音楽を知らない人達も数え切れないぐらい沢山います。

毎回曲をリリースするたび1人でも多くの方に触れて欲しい。そして曲を聴いた時の気持ちを共有したい。そんな気持ちでいつも制作に励んでいます。

この輪をもっと大きな輪にしたい。
一つのコミュニティとしてみんなで盛り上がっていきたい。
1人1人、ゆっくりでも、繋がる事が出来れば大きなものになると考えています。

その為には皆さんのもつ一人一人の”声”が大きな力になります。是非SNSなどで感想を投稿して、その”声”を日本中、世界中に広げていければ嬉しく思います。

このサブスク時代、フィジカル全盛期の時に比べると圧倒的に人に聴かれる機会は増えたと言われています。
それでも完全インディペンデントの僕らの力はとても小さくて弱いです。

皆さんと一緒にこのバンドをでっかいものにしていきたいです。

今年はアクシデントさえなければまだまだ他の新曲やコンテンツをリリースする予定があるので続報をお待ち下さい。

この記事読み終わったらまた新曲聴いてね!

曲の感想などもたくさん聞きたいのでハッシュタグ#youremypainもしくは#masqueradehotelと一緒に投稿して、盛り上がっていければ嬉しいです。

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