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ウマ娘のシーン色と組版が良い

ウマ娘を3週間遊んで、特にシーン色と組版が素晴らしいなと思ったのでメモ。

本記事には以下のキャラクターのストーリー内容やスクリーンショットを含むのでネタバレ注意。

アグネスタキオンさん、シンボリルドルフ会長、ナリタブライアン副会長、エアグルーヴ副会長、サクラバクシンオーさん、ウオッカさん、ウイニングチケットさん

シーン色

シーンごとにキャラクターの色が調整されている。すなわち照明の色やグローの強さが天候や時間帯、場所で変わり、キャラクターが背景美術に馴染んでいる。

しかもその種類が結構細かい。スクショしてまとめたものを一部抜粋して下記に貼った。真ん中の横並び6枚は色が同じなので、これが標準色らしい。大まかに昼、夜、曇りがあって、同じ室内でも昼夜で色が変わる。場所によってさらに変わり、学園の室外だけでも女神像前や中央広場、トラックは学園内の他と色が違う。夢の中や停電時のようになかなか見られない色があったり、リムライト(MatCap的な)の色も異なっていたりと、並々ならぬ努力が窺える。

ちなみに下記画像に映っているキャラクターはナリタブライアン副会長。鼻の白いガーゼが色を拾うのにちょうどいいなと思って彼女にした。ただ、カーゼの色が標準色だと純粋な白(彩度ゼロ、明度最大)で、グローで白飛びしているっぽい。もともとのディフューズ色は黄色だと思うけれど不明。

ウマ娘_COLOR


表記と組版

かなり読みやすい。俗な日本語におけるルールブックにしたいぐらい。こちらもまとめたものを下記に貼った。

特に改行位置には気を遣っているように思う。ローカライズされたスマホゲーにありがちな半端な改行がない。一方で過度な改行を避け、極端に短い行ができないようにしている。唯一、メインストーリーでログを開くと分割禁止なしのベタ打ち文が表示される。

組版の好例は下の文章。名前の途中で改行するなんて珍しいと思ったけれど、実際に改行位置を変えてみるとどうにも収まりが悪い。なるほど名前の途中で改行するわけだと膝を打った。この文章はサクラバクシンオーさんのストーリーで登場するので、サクラとくればバクシンオーと続くのは必然であり途中で改行しても読みが途切れる心配はない。私が入力していたら思いつかずに中段の「~探していたのだと/伝えた。」で諦めていたと思う。

また、キャラクターごとの文法というべきか、性格を反映して表記が大きくアレンジされる。補助動詞に漢字が使われたり、促音がカタカナになったり……基本ルールに従いつつキャラクターごとに追加ルールを用意しているおかげで読みやすさとキャラクター表現が両立している。

それはシンボリルドルフ会長のように四字熟語を多用するといった喋り方に限らない。例えばナリタブライアン副会長は引用符の多用や特殊なルビ振りが目立つ。同じくエアグルーヴ副会長は三点リーダやダッシュを多用し、ダッシュ4つだけのセリフも多い。キャラクターごとに文章全体の雰囲気が変わりストーリーの雰囲気によく合っている。実際には、エアグルーヴ副会長のストーリーに登場するシンボリルドルフ会長もダッシュ4つを使うなど“感染”が見られるのでライターさん自体が違うのだとは思うけれど。

約物については引用符は左右を使い分けるとか、倍角ダッシュがちゃんとつながっているとか、そういう部分もきちんとしていて安心する。しかも引用符はフォントを変えている(わんぱくルイカの引用符はいわゆる斜線タイプ、一方でウマ娘のは曲線タイプに変えている)。細かい。ここまでしてくれると人はさらに欲が出るもので、完全に個人の好みでいうと右引用符はNHK方式に則って下付き(U+201Eのやつ)にしてくれると泣いて喜ぶ。

ウマ娘_文法

おわりに

流行るだけあってしっかりしている。これだけの仕事でスタッフクレジットがないのが切ない。ウマ娘自体はあとは特にフジキセキ栗東寮長のスト―リーが見たかったけれど、ガチャで出なかったのでしょうがない。タキオンさんのメインストーリー7話を見られるまで細々と続けようかなと。

プレイ前の競馬知識といえばハルウララとディープインパクトぐらいなものだったけれど、今では「中山の直線は短い」「仁川はこれから坂がある」「大ケヤキを超える」ぐらいの知識はついた。遊んでよかった。

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