クロスロード

7月末から久しぶりに実家に帰る機会があった。気がつけば空ばかり見ていた。

今年の夏の雲は台風の影響もあってか空のなかで湧き上がるような「the 入道雲」みたいなものはほとんど見なかった。その代わりに子ども部屋のカーテンの柄になりそうな絵に描いたような雲を青空に沢山見つけた。

生まれてから思えば、いつも空ばかり見ていた。空が広い街で育った。

夜空を訪ねていた…
入道雲湧き上がる空…
空の下背伸びしてさ…
いつも同じ空の下で…
あの日の空が笑いかける…
都会の空は…

パッと思い浮かべただけでも歌詞に空がたくさん入ってる。

上京して気がつけば3年経った。いまもマンションの玄関を出て先ず無意識にしてしまうのは、やはり空を見上げることだ。家と家が連なりひしめき合う様に建物が並ぶそのなかでは田舎の空に見つけられた景色を探すのにも一苦労だ。

「生きていくには鈍感力を身につけることも必要だよ。」

昔、豊田市にあるスタジオを主宰するOさんに言われたことを思い出した。

鈍感になると言うのは、徐々に慣れて行くと言うことだろうか。慣れて行くのは最初に感じた何かを忘れていくと言うことだろうか。

笹塚駅から新宿駅を目指して歩いて行くと初台の交差点辺りで高速道路のジャンクションが空の上でいくつも交差する。最初に東京に出てきたときそのスケールに固唾を飲んだ。

今ではその景色を見ても何も思わなくなってしまった。

新東谷橋を渡るときに見えた景色

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