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日本上場株分析#2|「流通を最適化し、廃棄ロスを無くすパイオニア」オークファン(3674)

日本上場株分析#2では、株式会社オークファン(3674)について取り上げていきます。

※本記事は、2021年9月期第1四半期決算短信及び補足説明資料を参考にして、書き上げております。

1.企業概要

1-1.企業理念
『ESGを意識した経営』
ESGとは、企業が持続可能な成長を目指すために必要な「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「ガバナンス(Governance)」の3つの要素のこと。
特にオークファン社では、環境(E)と社会(S)に向き合っており、環境に関しては、主力事業での廃棄ロス削減やリユース事業者支援による環境保全を行い、社会に関しては、Otameshi事業での寄付活動による社会経済のサポートや自治体との取り組みによる地域社会への貢献と地方創生を行っています。

1-2.SDGs(Sustainable Development Goals)との関わり
SDGsとは、2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された17項目の国際目標のこと。

オークファン社では、日本国内で年間22兆円、世界では100兆円を超える規模の商品在庫の廃棄ロスの削減を事業目的としており、SDGsの12項目「つくる責任つかう責任」に完全に一致しています。

特にOtameshi事業では、パートナー企業とともに廃棄ロスの削減に取り組
み、売上の一部を支援先団体に寄付し、SDGsの「1.貧困をなくそう」「4.質の高い教育をみんなに」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」
目標の実現に向けて動いています。

1-3.強み
700億件を超える商品売買データをAIが「その商品がどこでいくらで売れるか」を解析し、139万アカウントを超えSMB(人)が商品の魅力を最大化して売り切るという、AIの解析と人の情熱のハイブリットが比類ない強みとなっています。

2.2つの主要事業と様々なサービス

2-1.在庫価値ソリューション事業

aucfanというサービスでは、680億件の保有データを基にしたネットショッピング・オークションの相場、統計価格比較サービスを主に個人に提供しています。
その他、aucfan connectという、出品作業を簡易化し、出品時間を大幅に短縮するAmazon特化の出品ツールや、また、aucfan Pro Plusという、プロが使う相場検索、データ分析ツール、世界の最安値も一括検索できるツールも提供しています。
aucfan Pro Plusの価格改定後、減少傾向が続いていたaucfanの課金会員数はコロナによる副業ニーズによって、復調傾向へ向かってきています。

タテンポガイドというサービスでは、複数ネットショップの受注・在庫・商品の管理システムを主に中小企業(EC事業者など)に提供しています。
また、zaicobanというサービスでは、AIにより時価を可視化し、企業が持つ在庫に関する課題を特定し、販売価格・品揃えを最適化するサービスを主に大手企業(小売・流通業など)に提供しています。

すべてのサービスがSaaSによる月額課金収益という構造になっているので、安定して収益を上げられるといえるでしょう。

2-2.商品流通プラットフォーム事業

NETSEA(ネッシー)は、BtoB卸売り仕入れプラットフォームを展開し、バイヤー登録数は約40万社、年間流通額は約80億円と国内最大級となっています。
最近では、愛媛県との協業の開始や大手製造・小売企業のサプライヤーが増加しており、地方自治体や大手企業との取り組みが強化されています。
また、BtoB越境卸売サイトをオープンさせ、国境を越えた取引の活発化を図っています。

Otameshi(オタメシ)では、近年問題となっている「食品ロス」、「衣服の廃棄」などの問題を削減するため、メーカーから買い取り、お手頃価格で
消費者に提供し、売上の一部支援先団体に寄付するという、寄付型ショッピングサイトを展開しています。

廃棄されうる在庫の商品を700億件のデータを用いて価格予測と販売管理を自動化し、その商品をNETSEA(間接流通)とOtameshi(直接流通)というサービスを介して消費者に届けるという一連の流れが出来上がっています。

2-3.インキュベーション事業
この事業では、事業投資活動を通じて、オークファン社が中長期的に亘り競合優位性を構築・維持していくための知見とネットワークを得ることを目的としています。

3.業績推移

3-1.連結売上高推移

Q1売上高は、主力事業で前年同期比107.7%、 インキュベーション事業
で前年同期比4894.6%の成長をし、2963百万円(前年同期比+88.4%)となりました。
主力事業があまり伸びていない点が気になりますね。

3-2.連結営業利益推移

Q1営業利益は、主力事業で前年同期比121.6%、 インキュベーション事
業で前年同期比38,844.8%の成長をし、1224百万円(前年同期比+1860.0%)となりました。
すごい伸び率と思えますが、QonQで見るとあまり伸びておらず、また、主力事業ではなくインキュベーション事業の恩恵を受けているだけの可能性が高いので、限定的になってしまうかもです。

3-3.セグメント別の業績

(在庫価値ソリューション事業)
売上高:472,192千円(前年同期比-8.5%)
営業利益:98,667千円(前年同期比-15.7%)

(商品流通プラットフォーム事業)
売上高:1,231,165千円(前年同期比+16.0%)
営業利益:62,950千円(前年同期比+96.0%)

(インキュベーション事業)
売上高:1,297,817千円(前年同期比+4,794.6%)
営業利益:1,151,941千円(前年同期比+38,774.8%)

4.財務状況

営業CF:824百万円
投資CF:-287百万円
財務CF:813百万円

総資産:10,764,247千円
負債合計:3,939,156千円

キャッシュ多いので、比較的健全と言えます。

5.株価

コロナの影響で、EC関連に追い風が吹いたため、株価は上昇しましたが、1/25に2830円の高値を付け下落。その後、2/12の決算でよい数字を出しましたが、主力事業の伸びが感じられず、そこから下落中です。(3/19の終値で1783円)
現時点での時価総額は、187.92億円なので、小型株に分類されます。

長期的に見ても、未だ上場来高値を越えられずに横ばいの状態が続いています。

6.最後に

今回の記事では、日本上場株分析#2として、株式会社オークファンについて取り上げてみました。

年々、成長を続けており、直近の決算でもいい数字を出しましたが、主力事業の伸びが感じられず、株価は上場以来低迷しています。

主力事業が伸びてくるまでは、今までの展開が続くと思われるので、主力事業の伸びが確認できてから、投資をするのが良いと思います。



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