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ブラウン管より愛をこめて

劇団チョコレートケーキ公演。今日の松本が大千穐楽。カテコでは上田出身の浅井伸治が挨拶。こういうのも地方公演ならでは。

座付き作家の古川健と上演前に話ができた。昨年の受賞もそうだが、近年の劇チョコの活躍は顕著で、古川・チョコファンとしては嬉しい限り。その最新作が松本で見られる。原村から車で一時間。古川は「遠い所から」と。いや「県内ならこんなもんです笑」。

(観劇後に投稿した内容に追記修正をします)
(追記)フライヤーにある、「あらすじ」
1990年、バブル景気に沸く日本。特撮ヒーローものを制作する会社の企画室。20代30代の若手クリエイターを中心に番組の脚本会議が行われている。少年時代、特撮巨大ヒーローのシリーズに熱中した経験のある彼らは、自分たちの仕事が、所詮は過去の名作の焼き直しに過ぎないことに忸怩たる思いを感じながらも、半ば先行の名作の後追いになるのは仕方ないとあきらめている。そこには、本来は大人向けの番組を作りたいという屈折した思いもある。
そんな覇気のない会議の中で、一人の脚本家があるシリーズで法曹された異色エピソードを話題にする・・・・

勤務する会社がちょうど四半期決算にあわせ、人権指針を開示した。そう、世界では、環境への貢献はもう当たり前、次は人権と生物多様性。日本でも人的資本経営がテーマ。そんな非財務面すなわちESGへの取り組みが求められる中、この作品は「差別」に焦点が当てられた。

時代は昭和か平成初期か(追記:フライヤーには、1990年とあるし、衣装や小道具からあの頃だとわかる)。今では禁句の言葉のオンパレード。でもその頃から人に言えないLGBTはあったし、被差別部落や在日への差別もそうなくなりはしない。(追記:でもきっと当時を生きた同世代の人たちなら、そのような振舞いが今のように「それは違うよな」とは思わなかったあの頃を思い出すだろう)

関西に顕著、というのは私も関西人だからよくわかる。でも部落も在日差別は長野にもある。むしろ、地方に移住して思うのは、今度は移住者への差別。劇中劇にあった、リビジョニズム的=部外者への恐怖が源泉といった考え方は確かに膝を打つ。

子供相手にこんなメッセージが、といった趣旨のセリフ。いや、最近は、小中学でE(環境)やらS(社会)を学ぶので、子供の意識の方が高いという指摘がある。B2Cビジネスは、まさに次の消費者(若年層)を意識した対応に舵を切っている。だから、子供向け番組に社会派的メッセージを出す発想は、(程度問題ながら)今ではきっと否定されまい。TV局の横槍やらオトナの対応といった理不尽に屈しそうな連中と、筋を通そうとする松村監督・脚本家の井川・キャストの戦いは、別の意味での勧善懲悪的ストーリーではあるものの、その「悪」たるTV局のロジックが、単に事なかれ主義によるものではないのではという裏読みもできる。

川崎なのか尼崎なのか、高度成長時代を支えた工業地帯の光は、地球の大気汚染により死にゆくカスト星人と唯一の味方の地球人を照らす星の輝きだった。あの場面、泣けたなぁ。

カスト星人。インドのカーストから取ったのかな笑。

オンライン配信があればもう一度観たい。大満足。




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