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人力車で貰ってるのは乗車体験代ではなく、生涯忘れ得ぬ想い出作りのお手伝い代。

90歳になる祖母を秋田から浅草に招き、"自分"の人力車を引いて浅草を案内した。僕の父親は2人乗りのバイク事故で他界。実は招いたきっかけは2ケツしてた後輩のお母さま(90歳)だ。その息子さんは事故では生存したが別件で他界。生まれは違えど息子を早くに亡くした2人。

そのお母様がチャキチャキの浅草っ子で、
「あたしゃあ、浅草の生まれだから人力車に乗った事はないけど、あんたの案内なら、冥土の土産にあんたの祖母さんと乗ってみたいわ。」
というので、人力車を出して、2人がまだ元気なうちに集まる企画を作った。

祖母は、
「昔ほどの体力はないし1人の東京は久々で不安。」
と遠慮して渋るので、
「オレが全部アテンドする。新幹線もホテルもオレが予約するし秋田から同行する。人はいつ死ぬか分からないよ、逢える時に逢わないと、何かあった時に後悔するよ!」
と無理を押し通して呼んだ。

人力車に乗ったばあちゃんたち2人の嬉しそうな顔を見て、本当に良かったと思った。たまには無理を言ってみるものだなぁ。

きっと晩年のハイライトの1つになるはずだ。戦時・戦後・高度経済成長期。激動の人生を生きてきた似た境遇の90歳の2人は人力車の上で何を思ったのだろう。

浅草のばあちゃんは言った。
「過去は色々あるけどね、今と終わりが良ければそれで良いのよ。」
その言葉が持つ真実味は重い。

時に、人には理由や言い訳が必要だ。
日々を重ねるほど人は本音を伝えられなかったり、再会のきっかけを求めるが、それがなかなかない。

人力車に乗るのは大切な人と再会する理由や言い訳にきっとなる。隣同士で座るので心の距離もグッと縮まる。

人力車業はもう15年やっている。冒険と一緒でずっと続けたい生き方。元は冒険のトレーニングを兼ねて始めた稼業。しかしながら人力車で貰ってるのは乗車体験代ではなく、生涯忘れ得ぬ想い出作りのお手伝い代だろう。想い出はどこにでも持っていける、あの世にだって。モノやおカネは重くて持っていけない。

再会の理由や言い訳作りの片棒の担い手。
思い出したら思わず頬が緩んでしまう永遠の想い出作りのお手伝い。
わたくし阿部に任せて下さい。

浅草人力車"阿部屋"代表 阿部雅龍
https://www.jinriki-abeya.com/

※諸事情により人力車を譲り受けました。
南極へのトレーニングを兼ねて人力車業を復活します。雷門から徒歩30分圏内で人力車が格納できる車庫を探しています。物件に心当たりの方はお教え願います。
車庫が見つかり次第、遂に人力車業復活!



三年前、南極の費用を作るため、愛用していた人力車を”嫁”に出しました。南極終わるまでは購入しないと思っていましたが、今回、このタイミングでお譲り頂けるとの事で再開に踏み切りました。その時の記事は以下のリンクから。
https://www.facebook.com/photo/?fbid=10220820394805392

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