68歳の違う世界線の冒険家
神割崎キャンプ場で横にテントを張った佐藤さん(68)。みちのく潮風トレイルをセクションハイク中。
身の上話をすると片親育ち同士という事ですっかり意気投合。30歳の頃にその母親も亡くしている。冒険に憧れはあったけど、病気がちな母親の意向もあり就職。母親が他界してから、会社を辞め、雑木林をチェーンソーで切り拓き、自ら木造のドームハウスを造り上げ、子どもたちを育て上げた。そして、今は仕事の合間にみちのくを歩いている。
佐藤さんは違う世界線のオレなのかもしれない。オレの母親は元気だから、冒険の道を選べた。願った夢の人生を生きてこれた。
30歳上とは思えない若々しい考え方、凛々とした眼差し。こんな68歳になりたい。人の本当の価値は、地位や名誉や財産ではない。人の価値は瞳に現れる。どのように人生の障害に立ち向かい生きてきたか。その生き方は後進の世代に憧れを与える。
「歳でヒザが痛くて」と言いながら、その日歩き終わった後の楽しみにザックに担いでいた缶チューハイを、「阿部さん、一緒に飲もう」と半分分けてくれた。その味をオレは生涯忘れないだろう。
トレイルには数多くのマジックが起こる。
佐藤さん、きっとまたどこかで会いましょう。
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